「今年も、会いに来ました~」と、毎年、ミモロが楽しみする雛祭りの特別公開が京都各所で始まりました。
「北野天満宮」のそばにある大正時代に建てられた数寄屋建築の「平野の家 わざ 永々棟」のお座敷に、「永々棟」所蔵の江戸時代から現代までのいろいろな雛人形が、1年に一度飾られます。
「ここのお雛様、素晴らしいものばかり…見ごたえあるんだよね~今年は誰に会えるかな?」と、訪れるのを楽しみにしていたミモロです。
貴重な江戸時代の雛人形として、有職雛、古今雛、享保雛、次郎左衛門雛などが…
いろいろなお雛様を見てきたミモロですが、ここの雛人形のサイズは、かなり大きなもの。
「きっと大きなお屋敷に飾られていたんだよね~」と想像させる堂々とした姿です。
雛人形づくりは、すべて分業制。衣装、顔、手、髪、小物など、それぞれの職人さんが手掛け、人形師と言われる人が、最後にすべてを組み立てるのです。
「人形は顔が命…」と言われるほど、上品な面持ちこそ愛されるポイント。
「この雛人形が、ミモロ好きなんだ~」というのは、「次郎左衛門雛」。
ミモロは、この丸顔の雛人形に相通じる感覚を抱くよう…。
「確かに、なんとなく似てますね~」と、「永々棟」の方。丸顔で小さな瞳…瓜実顔の雛人形とは異なる愛らしさが…。
江戸時代末期から明治にかけて、京都の人形師 雛屋次郎左衛門が製作。公家や大名の子女たちに愛された雛人形です。
皇女の中には、幼いころからお寺に入り、その人生を終えるという人生を送る人も。その皇女が暮らした尼門跡と言われるお寺に保存される品々の中には、この「次郎左衛門雛」の姿も…。
「幼い女の子には、こういうお顔のお人形が親しみやすいよね~」と思うミモロ。親元を離れ、お寺に暮らす幼女の寂しさをきっと癒したお人形なのでは…。
雛人形は、一緒に遊ぶことは少ないお人形ですが、雛祭りには、他のお人形たちも1年に1度暗い木箱の中から、そとの光と空気を浴びることができます。「きっとみんな待ってたね~」
大きな稚児人形は、まるで実物大の赤ちゃんのよう。
「これでおままごとしたりしたんだね」人形の顔や手足には、塗が剥げた場所も。「抱っこしたり、着せ替えしたり…したんだね」
手足の関節が動くので、本物の赤ちゃんのように抱っこできるのです。
こちらは、市松人形…
江戸時代中期ごろから江戸や京などで作られた着せ替え人形です。
市松人形というのは、市松の着物を着せることが多かったからとか、子供に市松という名前を付けるケースが多かったからとか、歌舞伎役者の市松という人に似ていたからとか、諸説ありますが、その真意は不明です。
「あまりにリアルでお家のお座敷に置いてあるのを見ると、夜中に歩き出しそうだよね~」とミモロ。
確かに、髪の毛が伸びたとか、笑うとかいう伝説があるのは、そのあまりにリアルで美しい表情のせいかも…。
明治期以降は、安価で大量生産ができるセルロイドやソフトビニール製の人形素材に押され、もっぱら観賞用に。
「確かに抱っこするには、重いし、冷たくて硬いしね~あんまり遊ぶのには適さないね」とフワフワで温かい毛皮に覆われたミモロ。今や、その芸術性の高さから、優れた品は、愛好家の憧れの人形になっているとか。
「これで遊びたい~」とミモロがいうのは、雛道具の数々。
どう見ても、その筋の職人さんが面白がって作ったとしか思えないほど、精巧な小さな道具。
「リカちゃんハウスみたいに、折りたたんでお片付けできるだって…」とミモロ。
あのね~リカちゃんハウスがこの雛道具の折りたたみシステムを使ったんです。
どんなに小さな道具でも、本物の素材を使って作られているところがスゴイ!
2階のお座敷などの展示のほかに、期間中は、雛菓子の「ひちぎり」とお抹茶が頂け(別途1000円)、茶道教室でお稽古を積んだ子供たちの「ひな茶会」、「京の伝統産業わかば会」の実演販売会なども行われます。
「お菓子は、3月からだって…少し早く来すぎちゃった」と雛菓子が食べれなかったのが、心残りのよう…[ありがとうございました~」とお礼を言いながら、玄関の戸を閉めます。
この時期、京都にいらしたら、ぜひ訪れたい場所のひとつです。
*「永々棟のひなまつり」の詳しい情報はホームページで
*尚、写真撮影は、取材許可を頂きしています。
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