「ふ~間に合った…」とミモロがやってきたのは、鞍馬口にある日蓮宗本山の「妙覺寺」です。ここでは5月31日まで新緑の特別拝観が行われています。
「何度もこのお寺の前、通ったことあるけど、参拝してことなかった~」とこの日ミモロは初めて境内へ。
「広い境内・・・大きなお寺だね~」キョロキョロ。
ここは日蓮宗の本山で、洛中法華二十一ヶ寺本山のひとつなのです。室町時代の創建で、この場所には、豊臣秀吉によって、二条衣棚のそばから移転し、4回目の移転になります。
実は、その少し前の時代、この寺は織田信長の京都における宿所で、信長は上洛した折、なんと18回もここに宿泊。本能寺は3回宿泊して、その最後が「本能寺の変」になりました。信長の異変を知るや、その子、信忠はここから光秀を討つために移動し、戦死します。
「え~もし信長が、いつものようにここに宿泊してたら本能寺の変は起きなかったのかも…。でも妙覺寺の変になってたかなぁ~?」とミモロ。
ともかく両寺院とも日蓮宗のお寺です。京都では、天文年間、宗派間の紛争が激しく、日蓮宗は、かつて天台宗の比叡山の宗従らに洛中二十一本山がことごとく焼き討ちされた歴史が。一方信長は、比叡山を焼き討ちしました。そう考えると、信長が京都の宿所として安心して過ごせるのは、再建された日蓮宗のお寺だったことが伺えます。
さて、まずは参拝しましょう。
受付で800円の拝観料を納め、中へと進みます。
お寺には、数人の参拝者…「はい、とてもゆっくりおすごしいただけますよ~」と受付の方。
「へぇ~中庭も立派だね~」
そして拝観順路に従ってお座敷へ。
窓からは、外の緑がまるで絵のように見えます。
そこには、この寺で信長によって行われた茶会の料理を再現した写真も展示されていました。
「わ~ご馳走がいっぱい~それにすごくヘルシーな感じ~きっと美味しかったね~」とじっと見つめるミモロです。
別の座敷には、お寺の様子を案内するビデオが…ここは休憩室で、椅子も用意されていました。
さぁ、庭を拝見しましょう。
「うわ~広いお庭なんだ~」と、ミモロの目の前に緑の世界が広がります。
緑の苔が地面を埋め尽くし、そして楓の木が新緑の葉を茂らせる、まさに緑の世界です。
「法姿園」と名付けられた庭で、そばの説明書によると、「日蓮宗の庭は特に定義がなく、いわゆる紅葉を植えただけの「自然庭園」です」と。
あるがままの姿を素晴らしいという教えに通じるそう。
禅宗の枯山水庭園や浄土宗の西方浄土を表す庭園のように、そこにある石や木をいろいろなものに見立てるのではなく、ただその姿を見ればいいということでしょう。
ミモロもしばらくその庭に向かいます。
「新緑がキレイだね~風が気持ちいいね~」だれも周りにいないことを確認し、そっとマスクを外し、深く息を吸い込みます。
「ここにいると、コロナで大変な世の中が嘘みたい…別世界だね~」と、だれもいないお寺で心を鎮めるミモロです。
この新緑の特別拝観は5月31日まで。
そして次の特別拝観は、秋の紅葉シーズンだそう。「秋になったら、また来よう~そのころは、きっとコロナも収束してるね~」と、それを期待するミモロです。
「妙覺寺」京都市上京区新町頭鞍馬口下ル下清蔵口町 新緑の特別拝観 5月31日まで 10:00~15:00受付
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