鴨川にかかる団栗橋を西へ、松原通を少し進むと、昔ながらのお菓子屋さんがあります。
店の壁際には、レトロな感じのケースにいろいろな種類のあられが入っています。
「ここの前通ると、いつもあられ買うんだ~」と、煎餅好きのミモロ。
この日も、お店の中で、好みのあられを見つけます。
「こんにちは~時々買いに来てます。今日はこれください~」とミモロは、お店の中の奥から出てきた店主の坂東英子さんに、欲しいあられを渡します。
「いつもあらればっかり買うんですけど~。ここには、いろんな飴があるんですね~」とミモロ。
「あられは、昔から作ってもらう場所があって、そこでお願いしてるんです。うちはもともと飴屋なんだから…ほら~」と店内につるされた店名を書いた紙を指さします。
「あ、ホントだ~飴屋さんなんだ~あられ屋さんだと思ってた~」とミモロ。あられは、戦後扱うようになったそう。
店の外に看板がないので、長い間お店の名も知らなかったミモロでした。
よく見ると、店の中央部分に大きなガラスケースに入った飴が並びます。
黒飴、抹茶飴、ゴマ飴など、コロンとした形で、それぞれが微妙に形が異なります。
「これは、私が作ってるんですよ~」と坂東さん。
「え?全部手づくりなんですか?」とミモロ。
ここの飴屋さんは、大正8年、四国から京都へ出てきた先代が飴づくりの修業の後に、開店したそう。
お嫁に来た栄子さんは、先代の飴づくりをそばで見ながら学んだそう。
「そんな、教えてなんてくれません。だから見て技を盗むんです~」と。
大きな銅の鍋に、砂糖と水飴をいれ、1時間じっくり煮詰めます。すべて昔ながらのやり方で…
「そのあんばいが、むずかしいんですよ」と。
飴の色の濃淡は、実は、飴を煮詰める時間の差によるものだそう。
短ければ薄めに、長ければ濃い色になります。
また、煮る途中で、抹茶や胡麻を入れたものも。「入れるものも本場もん使ってます~」と。
ここの飴は、長く棒状に伸ばしたものを包丁で切るのではなく、波のような溝のあるものに流し込んで、それで丸めてゆきます。「あ、昔、お薬を丸くするような物使うの?」とミモロ。「そう、そういう感じのものやね~」と坂東さん。「だからひとつひとつ微妙に形が違うんだ~」とミモロ。市販の飴のようにすべて同じ球体ではないところが、また素敵~。
「なんか温かい感じがする飴ちゃん…」とミモロ。
「飴の冷まし具合もむずかしいんですよ。硬すぎると丸められないしね~」と、例えマニュアルがあっても作れない、長年の技がなしえるもの。
今年86歳という栄子さん。娘時代から能を習い、今も、能舞台で演ずるのが楽しみと語ります。
「え~そんなご高齢に見えない。だってすごく姿勢いいもの~」とミモロ。「まぁ、能をやっているからかもしれへんね~」と微笑みます。
「すご~い」とミモロ。京都には、家業以外の分野でプロのような技を持っている方が大勢いらっしゃいます。そこが京都のすごいとこ。
「あ、この飴キレイ~」とミモロが興味を持ったのは「御代の石」という色とりどり飴。
「これだけは、切って指で形づけたもの」と、小石のようないびつさが魅力。
この色の飴も、オレンジ色以外、天然素材の色と、炊き具合で色が異なるものです。
「飴ちゃん、買おうかな~」とミモロは、小袋に分けられた飴の中から探します。
「計り売りなんですか?」とミモロ。「そうやけど、ガラスケースは触らんといてね。これ貴重なもんやから~」と坂東さん。なんでもこのガラスケースは創業当時からのもので、今はどこにもない品だそう。
「修学旅行生が来ると、ひやひやするわ~」と。リュックなどをひっかけたら大変です。
お嫁に来てから、飴づくりを先代から学び、今も、その味を守る坂東さん。
やさしい味の飴は、今も地元の人に愛されています。
「娘が手伝ってくれるようになったんです」と微笑みます。
「また飴ちゃんとあられ買いに来ます~」と手を振ってお店を後にしたミモロ。
松原通には、昔ながらの店がいろいろ。「京都らしいものが残ってる通りだよね~」
ぜひ、京都の町歩きで松原通を歩いてみては…かつてここを祇園祭の山鉾も巡行した通りです。
*「坂東飴」京都市下京区松原通木屋町東入る材木町423 075-351-0283 9:00~19:00ごろ 不定休
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