節分である。ということは、明日はもう立春ということでもある。カミさんは「今晩は白ワインね。冷やして置いてね」と言ってゴルフに出かけて行き、友人から恵方巻きを買って帰ってくると、冷蔵庫を開けてワインの存在を確かめた。何時からか、我が家も節分は豆まきをして、恵方巻きを食べる習慣が根付いている。豆まきは私が子どもの頃からやっていたが、恵方巻きを食べる習慣は最近のことだ。日本人は何でもかんでも行事にしてしまうと嘆く人もいるけれど、こうして家族揃って食べることは楽しい。
すぐにやってくるバレンタイン、3月のひな祭り、4月の桜まつり、5月の節句、7月の七夕、8月のお盆、9月の月見、10月は運動会、11月は紅葉祭り、12月はクリスマスと、数えてみれば月に一度はみんな揃って食事をする行事がある。これに加えて、誕生日や結婚記念日や卒業祝いや入学祝いなどもある。私の部屋からは濃尾平野がズゥーと広がって見えるから、西の向こうには伊吹山や養老山脈がよく見え、黒い雲が山々を越えて流れて来て、時々、雪が舞う様子がわかる。特に今日のように、ひとりで一日中家の中にいると、こうした行事がなければ誠に寂しいものだと感じる。
中学3年の孫娘が「ああ、疲れた」と、息抜きにやってきた。「ねえ、ママちゃん。パパちゃんの初恋の話、聞いた?」とカミさんに話しかける。先日、塾へ彼女を送っていった時、初恋の人に「あなたが好きなのはあなたが作り上げた私なのよ」と言われて振られたのだという話をした。孫娘は私を完璧な人間などと全然思ってはいないけれど、選挙にも出たスゴイ人だくらいには思っている。高校入学を前に、高校はどんなところかと夢を膨らませているが、試験という関門の前で今は少し投げやりになっているようなので、人に出会うことや分かれること、そういうことが高校にはあることを、祖父は6年間好きだった女の子に振られた情けない男だったと話しておきたかったのだ。
孫娘はカミさんに向かって「ママちゃんの初恋の人は?」と聞いた。「ママちゃんは好きになった人はなかった」と言うと、「えっ、じゃーパパちゃんのことは?」と聞いた。「そうねぇー、いつもそばにいたストーカーだったのよ。空気みたいな存在で。結婚してからね、好きになったのは」とおっしゃる。おいおい、いくらなんでもそれはないんじゃーない。本人が目の前にいるんだぜ。すると孫娘は「そうか、ママちゃんは男探しを諦めたんだ」と言い、加えて私を指して「パパちゃんは男探しを諦めさせた男なんだ」と言う。カミさんは「うまいこと言うわね。そのとおり。いつもどう説明しようかと思っていたけれど、ずばり、そのとおりよ。男探しを諦めたんだはピッタリだわ」と妙に納得している。
納得いかないのはどうも私だけのようだけれど、そんな風に人生は過ぎていくのかとガッカリするような、そうだよなと思うような、複雑な思いでいる。
すぐにやってくるバレンタイン、3月のひな祭り、4月の桜まつり、5月の節句、7月の七夕、8月のお盆、9月の月見、10月は運動会、11月は紅葉祭り、12月はクリスマスと、数えてみれば月に一度はみんな揃って食事をする行事がある。これに加えて、誕生日や結婚記念日や卒業祝いや入学祝いなどもある。私の部屋からは濃尾平野がズゥーと広がって見えるから、西の向こうには伊吹山や養老山脈がよく見え、黒い雲が山々を越えて流れて来て、時々、雪が舞う様子がわかる。特に今日のように、ひとりで一日中家の中にいると、こうした行事がなければ誠に寂しいものだと感じる。
中学3年の孫娘が「ああ、疲れた」と、息抜きにやってきた。「ねえ、ママちゃん。パパちゃんの初恋の話、聞いた?」とカミさんに話しかける。先日、塾へ彼女を送っていった時、初恋の人に「あなたが好きなのはあなたが作り上げた私なのよ」と言われて振られたのだという話をした。孫娘は私を完璧な人間などと全然思ってはいないけれど、選挙にも出たスゴイ人だくらいには思っている。高校入学を前に、高校はどんなところかと夢を膨らませているが、試験という関門の前で今は少し投げやりになっているようなので、人に出会うことや分かれること、そういうことが高校にはあることを、祖父は6年間好きだった女の子に振られた情けない男だったと話しておきたかったのだ。
孫娘はカミさんに向かって「ママちゃんの初恋の人は?」と聞いた。「ママちゃんは好きになった人はなかった」と言うと、「えっ、じゃーパパちゃんのことは?」と聞いた。「そうねぇー、いつもそばにいたストーカーだったのよ。空気みたいな存在で。結婚してからね、好きになったのは」とおっしゃる。おいおい、いくらなんでもそれはないんじゃーない。本人が目の前にいるんだぜ。すると孫娘は「そうか、ママちゃんは男探しを諦めたんだ」と言い、加えて私を指して「パパちゃんは男探しを諦めさせた男なんだ」と言う。カミさんは「うまいこと言うわね。そのとおり。いつもどう説明しようかと思っていたけれど、ずばり、そのとおりよ。男探しを諦めたんだはピッタリだわ」と妙に納得している。
納得いかないのはどうも私だけのようだけれど、そんな風に人生は過ぎていくのかとガッカリするような、そうだよなと思うような、複雑な思いでいる。