今朝、ルーフバルコニーで鉢植えの草花に水遣りをしていると、壁の下のところに羽化したばかりのアゲハチョウがいた。既にミカンの木とその周りには3匹のアゲハチョウの抜け殻がある。そして悲しいことに、うまく羽化できず、最後にはアリたちに襲われてしまったアゲハチョウもいる。先日、ベランダに置いてあるサンショウの鉢の周りに青虫のフンが落ちているのを見つけた。見ると、サンショウの中に大きくなったアゲハチョウがいた。このままではサンショウを食べ尽くしてしまいそうだったので、そっとミカンの木に移してやった。
その時の青虫がサナギになり、今朝、羽化したのだろうか。1時間経ってもなかなか飛び立たない。身体が温かくなるまで待っているのだろうか。見ていると別のアゲハチョウがやって来て、花たちの間を飛び回っている。それでもまだ、羽化したアゲハチョウは飛び立たない。どこか、羽でも痛めているのだろうか、そう思いながらもどうすることも出来ず、近寄って驚かすことになってはいけないと思って、そのままにしておいた。次に見に行った時にはもう、そこにはいなかった。ルーフバルコニーを見回したけれど、どこにもいない。やれやれ、飛び立って行ったのだと思う安堵と、それでいて何か寂しい気がした。
先日、久し振りに同じ歳の女性に会った。目のパチッとした可愛い人で、若い時はさぞかしモテタだろうと思う。何年か前からか、ダンナがアルツハイマー病となり、そのために同じ歳の集いには参加できなくなっていた。お酒の強い秋田美人で、友だちも多いから、みんなが残念がっていた。「ダンナの具合はどう?」とたずねると、「今、デイサービスに送って行ったところ」と言い、それから堰を切ったように話し出した。「身体はいたって元気で、3食モリモリ食べるのよ。食べるからいいと思うでしょうけど、3食食べさせる方にとっては大変よ。それにビールも飲むし、そりゃー美味しいでしょうけれど、何しろ一日中相手をしているわけでしょう。こうやってデイに行ってくれている間だけが私の時間よ」。
短い間のことだったけれど、きっと私が立ち止まって耳を傾けてあげたなら、積もり積もった胸のうちをもっと話したかったかも知れない。私は別れ際にポンと彼女の肩を叩いてビックリした。乙女のような柔らかな身体でないのは当然だろうけれど、痩せて骨っぽい身体ではなく、筋肉質で厚みのある、堂々と一家を支えている身体だった。言葉以上に苦労をしているんだなと思った。ダンナの方もよく知っているけれど、ふたりがどうして結婚したのか、そういういきさつまでは知らないが、恋愛結婚だとは聞いた。
長い間、寝たきりになったダンナを介護してきた女性がいる。献身的な介護でさぞ辛かったことだろう。子どもたちがダンナを見送った母親に言葉をかけると、彼女は「お父さんを好きではなかった。やっと肩の荷が下りた」と言ったそうだ。今日、シアトルマリナーズのイチローがニューヨークヤンキースに移籍した。その初打席の対戦相手はマリナーズでしかもセンターへのヒットだった。イチローは野球の頂点であるニューヨークヤンキースでもう一度飛び交うだろう。頑張って欲しいと思う。