友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

東浦町の人口水増し

2013年02月26日 19時36分23秒 | Weblog

 愛知県東浦町が、2010年の国勢調査で人口を水増したと新聞で取り上げられていたが、とうとう当時の副町長が統計法違反の疑いで逮捕された。人口の水増しくらいで逮捕なのかと驚いた。ことの発端は、町長を連続8期務めた前町長が、「2012年1月の市制移行」を打ち出したことにあったと思う。2011年は町長選挙の年に当たる。ここで勝利して初代市長になることを望んでいたのだろう。

 逮捕された前副町長は、前町長の右腕と言われていた人で、2008年に副町長に就任し、積極的に市への移行策を推進してきたようだ。2010年12月議会では、「市移行に向け検討委員会を早急に設置したい」と発言している。また、翌年の1月には町内6箇所で住民説明会を開き、市制移行の狙いや利点を説明している。「町から市へ」が東浦町職員の合言葉となっていたようで、その旗振り役を前副町長が果たしていたのだろう。

 しかし、2011年の町長選挙で、連続9期目を目指した現職が敗れて事態は一変したのだと思う。多くの議員が現職を応援したにも関わらず、多選阻止を目指した若い候補が当選した。けれども、いかに大変な選挙だったかはその結果から想像できる。勝利したと言ってもその差はわずか400票ほどだ。県からの指摘(?)を受けて、人口の水増しはなかったのか、新町長は内部調査を行なった。その結果は、職員に理解不足があったが組織的な意図はなかったというものだった。

 それが今回、ひっくり返ってしまった。「町から市へ」を合言葉に取り組まれていたのに、組織的な意図がなかったこと自体が不思議だ。けれども行政を知る人なら理解できるだろう。部下が新しい提案をしても上司は、「もし失敗したなら誰が責任を取るのだ」と言って取り上げない。同期で入った者の中で目立つことをする者が出れば、みんなで押さえてしまう。仲間をかばい合うけれど、だからと言って、落ちていってくれと願っている。「みんなで渡れば怖くない」意識が強い組織なのだ。

 莫言著『白檀の刑』にこんな言葉が出てくる。住民のために、住民を助けようと必死になる役人に部下の老人が言うセリフだ。「役人たるあなたさまは上司の役人であって、民百姓の役人ではございません。役人をやるなら良心など棄てること、良心が大事なら役人などにならぬことです」。国は違っても、時代は違っても、変わらないものなのか。東浦町の新町長がどんな裁きをするのかと注目している。一緒に酒を飲んだ友人だから。

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