友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

異常な母子愛

2013年02月22日 19時43分07秒 | Weblog

 木曜日の夜は結構忙しい。9時からは朝日テレビ系列の『おトメさん』を見て、10時からはフジテレビ系列の『最高の離婚』を見る。『おトメさん』は途中から見始めたので、よく分からないけれど、主人公の黒木瞳さんの演技に注目している。黒木さんは渡辺淳一原作の映画『失楽園』で、大胆な演技をした女優という印象だった。それも実際は見たわけではなく、そんなことで盛り上がっていたことだけの記憶だから申し訳ない。私は黒木さんの顔が好きだ。

 『おトメさん』という題名の意味はなんだろう。分かっているのは、黒木さんと石田純一が夫婦で、洒落た家に住んでいて、庭には彼女が育てているバラが植えられていることだ。その家もやっとの思いで手に入れたものらしい。物語のテーマは「家庭」で、黒木さんが演じる姑と息子の嫁との確執にあるようだ。どうも一人っ子なのか、黒木さんは息子を溺愛している。嫁がキャバクラ嬢だったことから、家と財産を乗っ取るのではないかと疑っている。

 黒木さんが姑の役をやるとは思えなかったので、生年月日を調べてみたら、1960年生まれとあった。孫がいても不思議ではない歳だ。若い女優さんだとばかり思っていたのは私の間違いだった。それにしても息子を可愛がり過ぎている。子離れが出来ていない。近頃はそんな母親が多いのだろうか。中学生の息子とお風呂に入っている母親がいたけれど、それは小説だけの話だろうと思っていたので、本人から聞いた時は驚いた。

 葉山修平著『時よ乳母車を押せ』は、すさまじい母子愛だった。ひとり息子をなんとしてでもT大に入れたいと願う母親と祖母、そのために家庭から切り離される父親、そして有名高校の2年生となった息子の苛立ち、悲惨な結果は目に見えていた。母親は息子のために高校の先生と肉体関係を持つし、息子のためにと息子とも関係を持つ。そのすさまじさは反吐が出そうなほどだ。母親が母親として、父親が父親として、振舞える環境であったなら、救われたかも知れない。けれども、なぜかT大こそが最大の目標で、そのために全てを捧げている。

 高校生の息子は、中学・高校と進むにつれて、自分の力を知ることになる。有名進学校はテストの日々であり、その結果は逐次発表される。成績の悪い息子にとってはこれほどの苦痛はない。私も高校生の時そうだった。両親は私より少し上の世代だから、私の子どもより息子は年上の設定だ。家庭崩壊とか学級崩壊とかが問題になった時代だったかも知れない。息子の通う高校の様子は、私が通った高校と余り変わらないから、読んでいてもなぜかちょっと昔の気がした。

 むしろ、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』の方が現在に近いかなと思うし、全く違うけれど、こちらの主人公の高校生に似たところを感じている。いや、似たところと言えば、『時よ乳母車を押せ』の息子の苦悩の方が近いのかな。黒木瞳さんの息子を思う気持ちから、とんだ方向へ飛んでしまった。

コメント
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