英国王室に男の子が誕生した。テレビは、病院前で報道陣に囲まれたウィリアム王子と赤子を抱くキャサリン妃の嬉しそうな様子を伝えていた。王位継承順位はチャールズ皇太子が1位、その息子であるウィリアム王子が2位、赤子は第3位となる。英国の王位継承ルールは、女性が王位を継ぐことを認めているものの男子を優先してきたが、「最初に生まれた子」と変わった。
英国では王室への尊敬と愛着が強いのかと思っていたら、意外にそうでもないようだ。国民の6人にひとりが王制廃止を支持しているという。王室の新しい命の誕生についても、芸能ニュースのひとつというところなのかも知れない。王室ニュースと言えば、離婚や不倫スキャンダルが主だったから、王室離れを食い止めたい狙いが今回の報道にはあるようだ。
日本の皇室については、さすがに離婚や不倫の記事はないけれど、嫁と姑、皇太子の妻同士の確執などが報じられることが多い。他人の家庭のことを取り上げるのは、どうみても「不幸を喜ぶ」スタイルである。日本では、天皇が政権を握ったのは奈良時代前のわずかな期間しかない。天皇は政治を行なうものにとって利用価値のある存在としてあった。世界的にも珍しい統治機構ではないかと思う。
皇室が「政治に利用されるばかりで自由もなく、廃止にしたい」と思われるなら、それでよいではないかと思う。天皇が政治の形の中に留まらなくても、日本はやっていける。象徴の名の下に自由の無い生活を強いる方が可哀想な気がする。会社で創業者やその子孫が、代表権のない会長に祭り上げるのは、会社にとって利益があるからだけれど、そういう利用の仕方をしていいのかと思ってしまう。
人は誰でも自分の力で何かをしたいと思うものだ。それが生まれた時から、自分の意思を発揮できないのは苦痛そのものだろう。人は自由に生きてこそ幸せと言えるのではないだろうか。