次女は昔気質の女だ。古来からの風習を大事にするし、迷信に近いような習慣も守ろうとする。どうしてこんな子に育ったのだろうと思うくらい頑固で保守的だ。姉が19歳の時、アメリカへ出かけたので、妹も同じように行かせないと不満に思うだろうと考え、「あなたもアメリカへ行ってみる?」と聞くと、「海外へひとりで行くのはイヤ」と言う。新しいことに挑戦することよりも、無難な道を行くタイプである。
人当たりがよく、与えられた仕事は決して手を抜くことがないから、学生の時も社会人となった時も、職場では結構重宝されていたようだ。声が大きく、ちょっとがさつなところがあって、父親にはウルサイ女に思えるが、職場の上司は「よく間に合う、いい子ですね」と言う。小さい時から掃除とか洗濯のような家事が好きで、それも徹底してやらないと気がすまない方なので、「あなたはいいお嫁さんになるよ」と褒めたけれど、20代後半になっても嫁にいく気配がなかった。
ひとりで暮らせば人のぬくもりが欲しくなるだろうと思い、家から出て行くように言った。「娘に出て行けと言う親はいない」と泣いて怒ったけれど、結果的には素敵な男性と出会えて結婚することができた。相手の男性は年上なのに、まるで幼子を扱うようにおせっかいであることが父親としては気になってしまう。ダンナに絶対服従する昔気質は健在で、ダンナを尊重しているのに、「本当に困った子ね」などと電話で話している。これも世代のギャップなのだろう。
次女が我が家に来るというと、カミさんは大慌てである。水周りが汚れているのが大嫌いなので必ずひと言あるからだ。今回も事前にトイレ、風呂、洗面所をきれいにしていたのに次女からは合格点をもらえなかった。次女は「お風呂は私が掃除するから」と言って、一日かけて徹底的にきれいにしていった。口数も多いけれど、自分でやるから立派と認めてやろうと思う。
昨日は大安で戌の日、八事の塩竈神社まで行き、そして祖父母の墓がある日泰寺にお参りしたいと言うので、車に乗せてカミさんと3人で出かけた。「今日はありがとうございました。お昼は私が払います」と言う。カミさんが「あなたはこれからもっとお金が要るようになるから」と替わろうとすると、「これからは出してくれればいいから」と賢いことを言う。主婦の技も磨きがかかってきた。