「あいつはバカだ」とか、「愚図で出来ないヤツ」とか、挙句の果てに「性格が悪い」とまで批判する。こういう人は他人を一度もほめたことがないのではと思う。他人の優れた点や善い点を見つけようとせずに、欠点ばかりに目が行ってしまうのだろう。子どもの頃から成績優秀で運動も出来て、叱られたことも無かったのかも知れない。
おそらく本人は、事実は言っていても、批判も非難もしているとは思っていないのかも知れない。「人の振り見て我が振りなおせ」のことわざは知っていても、自分のこととは思っていないから、「人に七癖我が身に八癖」と謙虚に自分を観察できない。クセというか、性格は、自分で直そうと思わない限り変えられないだろう。
インターネットにブロニー・ウェア氏の『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)が載っていた。5つとは何かと思い見てみると、1)自分に正直な人生を生きればよかった。2)働きすぎなければよかった。3)思い切って自分の気持ちを伝えればよかった。4)友人と連絡を取り続ければよかった。5)幸せをあきらめなければよかった。とある。
75歳の私は、いつ死が訪れても不思議ではない。しかし、ここにある5つに思い当たるものがない。もう少し自分を謙虚に見つめてみれば、1つや2つ後悔することがあるだろうと思ってみるが、傲慢なのか鈍感なのか、思い当たらない。いろいろあったけれど、いい人生だったのだと逆に思い知らされた。
自分のことは自分では分からないのかも知れない。私は「どういう人間なのか」「評価できる点や出来ない点」など、誰か私について教えて欲しいと思う。私自身は自分の人生に何も悔いはないと思っているが、「お前のこういうところが鼻持ちならない」と指摘してはくれないだろうか。私は第3者の目には、どう映っているのだろう、とても興味がある。