里芋の皮を剝いていた時、電話がかかってきた。私の後を継いで、地域新聞の編集長を務めている女性だ。昨日、近所を散歩していて、びっくりする庭に出会った。畳み1枚ほどの広さに、つくしがニョキニョキと生えている。つくし以外には見当たらないから、育てているのだろうか。地域新聞社にメールしてみた。
彼女は「現場に来ているが、その家は留守のようだ」と言うのである。「隣りの家の人に連絡先など教えてもらったら」と言うべきところを、彼女のブログを見ていて思わず笑ってしまった、「体重計が壊れた」話をしてしまい、そのことで盛り上がってしまい、伝え忘れてしまった。
まだ彼女が20代の新婚だった頃、会社の仲間と彼女の家へ行ったことがある。その時、彼女の素足を見て、何と美しい足だろうと感激した。美術教室に置いてあるギリシア彫刻の女性の足のように、ほっそりした形のきれいな足だった。「体重計が壊れた」と、ブログに載せている足先とは余りにも違っていた。
彼女が入社してくれて、私の活動は広がった。私は新聞社に勤めたことは無いが、高校・大学と新聞部に在籍し、新聞記者になりたいと思っていた。先輩がいなかったので、高校1年の後半から部長になり、自分で割り付けをして、原稿を印刷してもらっていた名古屋タイムズ社に持って行った。
その時、「これではダメだ」と言われ、その場で割り付けをやり直した。今なら流行りだが、当時はまだ見出しは斜めに、次の記事が読めるように割り付けするのが基本と教えられた。記事も5W1Hを基に、形容詞は出来るだけ避けると指示された。新聞作りは、名古屋タイムズ社の人に負うところが大きい。私のところで働くことになった彼女の父親は、名古屋タイムズ社の人だったから不思議な巡り合わせだ。