久しぶりに三重県立美術館まで出かけた。高速道路を走っていくのはちょっと気が重かったが、余りスピードを上げて走る車は無く、ゆったりと走ることが出来た。着いたら丁度お昼だったので、まずは美術館にあるレストランに行った。
「本日は予約でいっぱいですので、お名前を書いてお待ちください」とある。なかなか雰囲気の良さそうな店だったので待つことにした。芝生のテラスに、パラソル付きのテーブルが2セット置かれ、その1つを子ども連れが使っていた。子どもたちは食事をしたり、遊びまわったりして、とても楽しそうだった。
そんな光景を眺めていると、席が空いて座ることが出来た。見るとワインがたくさん並べてある。美術館に付属しているが、独立したフランス料理の店のようだ。コース料理もとても美味しかった。美術館で観たかったのは『ダリ展』で、1月9日から3月28日までの長期開催だが、それだけ人は呼べると見込んでいるのだろう。恥ずかしいことに、日本でダリの作品を所蔵している人がいることを私は知らなかった。
この『ダリ展』は福島県にある諸橋近代美術館から借用したとある。これまでのダリ展では見られなかった作品もあり、興味深かった。作品の前で、若い男が女に、「結構、絵うまいじゃん」と話していた。デッサンが出来ていると言いたいのだろうが、「腕前は天才的だよ」と教えたい気になった。
ただ、晩年の作品は迫力が無かった。私が描いた蝶よりも下手だ。私は子どもの頃、兄の部屋でアメリカの雑誌に掲載されていたダリの絵を見て、惹きつけられた。美術を専攻し、シュールリアリズムに関心を持った。何だかよく分からなかった『マルドロールの歌』(ロートレアモン)は、不条理で超現実だが心地よかった。ダリは私の手本だった。