歴史小説と言えば、一般に戦国時代や幕末・明治維新のような激動期に人気があります。時代の波に翻弄されながら運命を切り開く輝かしい個性に魅せられ、私もこれまでは専らそうした小説を楽しんで来ました。一方で、昭和や太平洋戦争は、日本人にとって歴史と言うよりもまだ経験の部類に入る生々しさがあり、もし私がその時代に興味も持つとすれば、せいぜい開戦や終戦にまつわる秘話という外交・政略が中心でした。ところが最近、特に仕事でアジア・大洋州事業に携わっていたここ数年は、とりわけ太平洋戦争における帝国陸海軍の戦略と行動に、俄かに興味を覚えるようになりました。当時の日本軍のアジア攻略における行動と失敗の歴史が、今の私たちのアジア事業の失敗に重なるからで、60年の時を経て、同じ過ちを繰り返しているのではないかという暗澹たる思いに囚われたものです。そのあたりの論考は、まだ自分の中で十分に熟成しきっているわけではないので日を改めます。
今の政界も、同じような危うさを持っているように思います。
国力を冷静に分析することなく、財政的裏づけが乏しいながらも、戦略と戦術の華々しさに流されてしまうことの空しさ。日本海海戦以来の艦隊決戦主義という古い思考から抜けきることが出来ない内に、空母と航空機を中心とした空軍力に作戦の主力が移りつつある時代の波から取り残されて、大和や武蔵の建造に賭けて資源を無駄にすることの愚かさ。そして何よりも激動の世界情勢の中で、陸軍と海軍という内輪の組織が牽制と妥協を続け、国家として真の戦略を実行出来ないことの哀しさ。
古い思考の自民党に愛想を尽かすのは結構、必ずしも支持しない政策を掲げる民主党にとりあえずは賭けてみるのも結構、しかし清き一票を投じたから、後は民主党のお手並み拝見と決め込むのは、無責任のそしりを免れません。政治の主役は政党や政治家ではなく国民であり、政治は民度を映す鑑です。まさにこれから全てが始まるのであり、国民は今後の民主党の政治運営を監視して行かなければなりません。
上の写真は、シドニー湾に侵入した潜水艇から助け出された日章旗です(キャンベラの戦争博物館にて)。
今の政界も、同じような危うさを持っているように思います。
国力を冷静に分析することなく、財政的裏づけが乏しいながらも、戦略と戦術の華々しさに流されてしまうことの空しさ。日本海海戦以来の艦隊決戦主義という古い思考から抜けきることが出来ない内に、空母と航空機を中心とした空軍力に作戦の主力が移りつつある時代の波から取り残されて、大和や武蔵の建造に賭けて資源を無駄にすることの愚かさ。そして何よりも激動の世界情勢の中で、陸軍と海軍という内輪の組織が牽制と妥協を続け、国家として真の戦略を実行出来ないことの哀しさ。
古い思考の自民党に愛想を尽かすのは結構、必ずしも支持しない政策を掲げる民主党にとりあえずは賭けてみるのも結構、しかし清き一票を投じたから、後は民主党のお手並み拝見と決め込むのは、無責任のそしりを免れません。政治の主役は政党や政治家ではなく国民であり、政治は民度を映す鑑です。まさにこれから全てが始まるのであり、国民は今後の民主党の政治運営を監視して行かなければなりません。
上の写真は、シドニー湾に侵入した潜水艇から助け出された日章旗です(キャンベラの戦争博物館にて)。