月曜朝に台湾に向かい、一泊して翌・火曜朝に香港に移動し、一泊して翌・水曜夜に帰国した。相変わらずの駆け足の出張、弾丸ツアーである。いずれの地も4年振りの訪問だった。
台湾は、新入社員の頃、というのは、ちょうど戒厳令が解除される前後のことだが、毎月のように修行のために出張させられたことがある。その当時の台湾のことはシカとは覚えていないのだが、なんだか当時も今も余り変わらない気がする。薄汚かったタクシーが見違えるようにキレイになったのは確かだし、さすがに街の佇まいも近代的に立派になったことだろう。屋台の車は見かけなくなったし、若い人たちも垢抜けたに違いない。しかし、目抜き通りのすぐ傍に場末のようなところ、日本人ならそれなりにキレイにするところ、ぽつりぽつりと開発し忘れたようにそこかしこに残る。一見派手で豪華だが、洗練を貫徹できないところがあり、それを気にしないのもまた台湾だ。そして台湾の人々は賑やかで調子がよくて、相変わらず日本人に優しい。現地駐在の同僚の中に、北京駐在のあと横滑りで台湾に駐在することになった人がいて、緊張感のある生活から一気に楽園に来たようだと形容していた。この20数年で、台湾は経済的には中国との関係が深まったが、政治的には依然中国に対して拒絶反応があるのは、ひまわり革命でも、この前の選挙でも明らかだったし、来年の総統選挙でもその通りに予想されている。台湾(国民党)は、自ら中国を代表するものであると(中国共産党に対して)正統性を主張し得る立場にあるのだが、所謂中国たり得なくて、やはり台湾なのである。諸事情あって台湾島に亡命した中国国民党の中国ではもはやなく、台湾なのである。
若い人と、日本のキャラクターの話になった。アニメのしんちゃんやドラえもんや、キティちゃんのことである。台湾で絶大な人気を誇るのは周知の通りだが、その若者は、その理由について、人物(果たして一言で人と言ってよいのか躊躇われるが)造形が良く出来ているのだと解説した。いろいろ話しながら、じゃあ、そんな人物造形を何故台湾人はつくりあげることが出来ないのか、ふと疑問に思った。しかし日本人なら出来るであろうことを確信するのは、何故か・・・それは日本人の職人技そのものだからだ。
日本人は、ゼロから全く新しいものを発明するのは苦手だが、現にあるものを改善するのは得意だと、言われ続けたもので、それはちょっと癪だった。例えばIT業界でビジネスモデルを変革するのは、だいたいアメリカの企業や起業家であって、日本ではない。他方で、アメリカで生まれた家電製品などのエレクトロニクス製品に磨きをかけたのは日本だったし、同じくアメリカで生まれた自動車の燃費を上げ使い勝手を良くしたのも日本だった。大陸から伝わった米を、ブランド米として本家の米以上に美味しく仕上げたのも日本だ。セブンイレブンは元はアメリカの氷販売の小売店であり、ローソンは看板のミルク缶に見られるようにアメリカのミルク・ショップだったが、日本でコンビニとして独自の進化を遂げた。だからと言って、発明家が日本にいないわけではない。要は芸を磨くことにかけては、日本の職人技に勝るものはない、ということではないだろうか(イタリアやドイツにも近いものがありそうだが、第二次大戦で同盟を組んだのは何の因果であろうか)。それが何故日本の強みになったのかは、歴史的に検証する必要があり、島国で、よその民族の侵略を受ける機会がなく、仲良く住みなした、あるいは今西進化論のように棲み分けをしたことが影響していそうに思うが、そのあたりの思考の遊びは別の機会に譲りたい。
台湾に目を戻すと、パソコンやスマホの製造では、これまでのところ世界をリードしてきたが、果たしてこれからもスマホあるいはその後継となる情報機器でリードを守ることが出来るだろうか。先進国でも順調に経済成長する国とそうでない国があるように、新興国でも経済成長する国もあれば遅咲きの国もあり、浮かばれない国もあるだろう、そんなことをふと思った台湾訪問であった(台湾が新興国だと言っているわけではないし、実際にそうではないのだが)。
台湾は、新入社員の頃、というのは、ちょうど戒厳令が解除される前後のことだが、毎月のように修行のために出張させられたことがある。その当時の台湾のことはシカとは覚えていないのだが、なんだか当時も今も余り変わらない気がする。薄汚かったタクシーが見違えるようにキレイになったのは確かだし、さすがに街の佇まいも近代的に立派になったことだろう。屋台の車は見かけなくなったし、若い人たちも垢抜けたに違いない。しかし、目抜き通りのすぐ傍に場末のようなところ、日本人ならそれなりにキレイにするところ、ぽつりぽつりと開発し忘れたようにそこかしこに残る。一見派手で豪華だが、洗練を貫徹できないところがあり、それを気にしないのもまた台湾だ。そして台湾の人々は賑やかで調子がよくて、相変わらず日本人に優しい。現地駐在の同僚の中に、北京駐在のあと横滑りで台湾に駐在することになった人がいて、緊張感のある生活から一気に楽園に来たようだと形容していた。この20数年で、台湾は経済的には中国との関係が深まったが、政治的には依然中国に対して拒絶反応があるのは、ひまわり革命でも、この前の選挙でも明らかだったし、来年の総統選挙でもその通りに予想されている。台湾(国民党)は、自ら中国を代表するものであると(中国共産党に対して)正統性を主張し得る立場にあるのだが、所謂中国たり得なくて、やはり台湾なのである。諸事情あって台湾島に亡命した中国国民党の中国ではもはやなく、台湾なのである。
若い人と、日本のキャラクターの話になった。アニメのしんちゃんやドラえもんや、キティちゃんのことである。台湾で絶大な人気を誇るのは周知の通りだが、その若者は、その理由について、人物(果たして一言で人と言ってよいのか躊躇われるが)造形が良く出来ているのだと解説した。いろいろ話しながら、じゃあ、そんな人物造形を何故台湾人はつくりあげることが出来ないのか、ふと疑問に思った。しかし日本人なら出来るであろうことを確信するのは、何故か・・・それは日本人の職人技そのものだからだ。
日本人は、ゼロから全く新しいものを発明するのは苦手だが、現にあるものを改善するのは得意だと、言われ続けたもので、それはちょっと癪だった。例えばIT業界でビジネスモデルを変革するのは、だいたいアメリカの企業や起業家であって、日本ではない。他方で、アメリカで生まれた家電製品などのエレクトロニクス製品に磨きをかけたのは日本だったし、同じくアメリカで生まれた自動車の燃費を上げ使い勝手を良くしたのも日本だった。大陸から伝わった米を、ブランド米として本家の米以上に美味しく仕上げたのも日本だ。セブンイレブンは元はアメリカの氷販売の小売店であり、ローソンは看板のミルク缶に見られるようにアメリカのミルク・ショップだったが、日本でコンビニとして独自の進化を遂げた。だからと言って、発明家が日本にいないわけではない。要は芸を磨くことにかけては、日本の職人技に勝るものはない、ということではないだろうか(イタリアやドイツにも近いものがありそうだが、第二次大戦で同盟を組んだのは何の因果であろうか)。それが何故日本の強みになったのかは、歴史的に検証する必要があり、島国で、よその民族の侵略を受ける機会がなく、仲良く住みなした、あるいは今西進化論のように棲み分けをしたことが影響していそうに思うが、そのあたりの思考の遊びは別の機会に譲りたい。
台湾に目を戻すと、パソコンやスマホの製造では、これまでのところ世界をリードしてきたが、果たしてこれからもスマホあるいはその後継となる情報機器でリードを守ることが出来るだろうか。先進国でも順調に経済成長する国とそうでない国があるように、新興国でも経済成長する国もあれば遅咲きの国もあり、浮かばれない国もあるだろう、そんなことをふと思った台湾訪問であった(台湾が新興国だと言っているわけではないし、実際にそうではないのだが)。