風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

爆買いの諸相(下)

2016-03-03 01:10:33 | 時事放談
 「爆買い」で垣間見える中国人のマナーの淵源について、ビックリ・エピソードをググってみた。
 かつてソフトブレーンを創業し、今は生活の拠点を北京に移した宋文洲さんによると、この5年間で家政婦さんの給料は3倍近くになり、2009年には月に1500元で雇えたが、2014年になると月に3000元でも雇えなくなったという。そして、所得が上がったことを示すエピソードとして印象的なのが「家政婦さんも子供を連れて飛行機で帰省するようになった」ことで、「彼女にとって飛行機は初体験のようだったが、貧しい地域から来た家政婦さんが汽車ではなく、飛行機に乗って帰れるようになった」のだと感慨深く述べておられる。
 産経Webによると、不慣れな航空機への搭乗で中国人客が相次ぎトラブルを起こしているため、業界団体の中国航空運輸協会が「違反者はブラックリスト(黒名単)入りさせて情報を共有する」などとして中国人向けに10項目の警告をまとめ、厳守するよう呼びかけたらしい。そこで禁止される行為とは・・・

(引用)
 1.空港カウンターなどをふさぐ行為=昨年バンコクで重慶行きの便が遅延したことに怒った中国人客がカウンターをふさいで空港職員を吊し上げ、大声で中国国歌を歌い続けて脅迫した
 2.空港や機内での乱暴な言動=昨年ユナイテッド航空機内でエコノミー席の中国人がファーストに変えるよう執拗に迫り乱闘騒ぎを起こした
 3.客室乗務員らへの暴行や脅迫=昨年バンコク発南京行きの便でサービスに難癖をつけた中国人客が激高して客室乗務員に熱湯をかけてやけどを負わせた
 4.客室乗務員の指示の無視=シートベルト着用や着陸直後の携帯電話、荷物の引き下ろしなど
 5.勝手に非常ドアを開ける行為=国内便だったが中国人客が到着時に人より先に降りたいとの理由や、離陸待ちの機内で外の新鮮な空気を吸いたいとの理由でそれぞれ勝手に非常ドアを空けてしまった
 6.無理に搭乗しようとゲートを突破=手荷物の重量オーバーによる追加料金を拒否した中国人の女が無理やり搭乗しようとして大騒ぎし、ゲートを突破して職員に取り押さえられた
 7.空港施設の破壊行為=2年前に国有企業の幹部が雲南省でフライトに乗り遅れたことに腹を立てて空港の設備を破壊し、逮捕された。
 8.ニセの爆破予告=3年前に立て続けに中国の航空会社に5件の爆破予告があり緊急着陸するなどの事件となったが、いずれも「社会に不満をもつ中国人」のしわざで逮捕
 9.滑走路などへの立ち入り=3年前にフライト遅延に怒った中国人客が上海と広州でそれぞれ滑走路付近に飛び出して抗議活動を行い、拘束された
10.航空スタッフへの業務妨害や他の乗客への迷惑行為=飛行中にトイレが満杯だったとして機内の通路で小さな子供に平然と大便をさせた中国人の母親など
(引用おわり)

 ところ構わずの傍若無人ぶりが目に浮かぶ。特に10番目は強烈だが、中国では路上だろうが地下鉄車内やプラットホームだろうが普通に「大便小僧」がネット上で話題になるようだ。故宮(紫禁城)内の故宮博物院でもお構いなし。産経Webは、ところ構わず用を足す「中国式用便」と呼ぶ。タイ北部の寺院ワット・ロンクンでは、以前から中国人ツアー客の「文明的でない」行為に悩まされていたが、とうとう「破天荒なトイレの使い方」に寺院側が激怒し、中国人ツアー客の拝観を禁止したことがあるらしい。的を外すほか、小のところで大をする、水洗用の水をためた水槽に使用後のトイレットペーパーを投棄する、トイレットペーパーをリュックに入れて持ち帰る、極めつけは使用済み生理用品をトイレの壁に貼り付けていく女性もいたという。いやはや中国人恐るべし。話としては実に興味深く面白いが、その場には居合わせたくないものだ(苦笑)。
 尾籠な話はこれくらいにして・・・中国の地下鉄車内は、案の定「悪マナー」のオンパレードだそうだ。車内での飲食は珍しいことではなく、車内でラーメンを食べる女性を携帯電話のカメラで撮影しようとした乗客が、女性にラーメンをぶっかけられる事件がネットで紹介されたらしいし、ホームでサトウキビやヒマワリの種や落花生を食べては、食べかすを散乱させ、上海市は車内での飲食を禁じる政策を導入しようとしたところ、出勤途中に朝食を摂れなくなる(!?)と通勤客から反対の声があがって見送られたらしい。産経Webは、ところ構わず食べるという、こちらの「中国式」も改まりそうにない、などと言っている。地下鉄、路線バス、切符売り場などで乗客同士のけんかは日常茶飯事で、北京の地下鉄で、乗客4人が混雑した車内で「押した」「押された」などといった小競り合いになり、数駅にわたって殴り合うけんかになったこともあるという。日本でもないわけではないが、中国では激しく、人騒がせだ。
 車社会となった中国では、ドライバーも歩行者も交通法規やマナーと無縁らしい。そもそも譲り合いの精神など中国人の辞書にはなく、自分勝手が徹底される・・・というのはよ~く分かる。高速道路などの合流点では、割り込みが横行し、相手の車の進路をうまく塞いだ方が勝つので、つばぜり合い・・・というのは、私も華人社会のマレーシア・ペナン島で毎日格闘したものだ。高速道路から出る場合も、出口用の車線にお行儀よく並ぶことはなく、走行車線を走って出口手前でいきなり割り込むドライバーが横行するというのも、よく目撃したものだ。渋滞で停車中の車からはペットボトルやごみ袋、食べかすなどが次々と投げ捨てられ、路上はあっという間にゴミ捨て場になるというし、長時間の渋滞で、我慢できなくなった人が路肩で用を足して悪臭が漂う・・・またしても尾籠な話になってしまった。一般道でも、自動車は赤信号で止まるべき横断歩道で、「行ける」と思えば警笛を鳴らして突っ込み、あるいは歩行者を蹴散らして突き進み、歩行者も、赤信号でも一定の人数が集まれば片側3車線の道路でも渡ってしまうという。似たような話は中国営業担当の知人からよく聞かされた。
 海外でも、中国人の本領発揮で、インド洋の島国モルディブでは、中国人旅行者がホテルの部屋でカップ麺ばかり食べるため、湯沸かしポットを撤去したところ、「(人種)差別だ」と大騒ぎになり、中国ではモルディブ旅行をボイコットする動きが広がったという。エジプト・ルクソールの古代神殿で15歳の少年の落書きが判明したのは、まだカワイイものだが、世界各地で品位のない振る舞いが余りに顰蹙を買うものだから、3年ほど前、国家観光局は「文明的旅行者であることは、国民一人一人に課せられた義務である」といった書き出しで始まるガイドラインを中央政府のウェブサイトに掲載し、「道に唾を吐かない」「ゴミのポイ捨てをしない」「列の順番は守る」「歴史的価値のあるものを傷付けない」など、小学校の校則のような禁止事項を列挙して、自国民のマナー改善に乗り出したらしい。「公共秩序の遵守」「環境保全」「他人の権利の尊重」「礼儀をもって接する」といった旅先での振る舞い方も具体的に列挙し、「適切な娯楽を見つけるべきだ」と節度ある行動を求めてもいるらしい。繰り返すが、学校の校則ではなく、中央政府のウェブサイトである。
 政府の、ということでは、2008年8月、北京オリンピック開催にあたって、北京市当局が、市民のマナー向上のために「外国人に聞いてはいけない8つの質問」を纏めていたのを思い出した(シドニー滞在中のブログに掲載: http://blog.goo.ne.jp/sydneywind/d/20080808)。

(引用)
 「個人のプライバシーや家族のこと」
 「収入や支出について」
 「家族の財産について」
 「年齢や結婚の有無について」
 「健康状態について」
 「家族の住所・出身地について」
 「政治や信仰について」
 「性生活について」
(引用おわり)

 どんなに親しい仲でも聞かないだろう・・・というような質問が含まれるのには驚かされる。これを街行く見知らぬ外国人にいきなり聞くというのだから、厚顔無恥もいいところで、やはり中国人は大物である。以前、日下公人さんが言われていたように、古代世界に住んでいた中国人が、中世や近世・近代を経ることなく、いきなり現代社会にタイム・スリップしたような感覚かも知れない。また、漢民族国家というのはまやかしで、唐代末の混乱で漢民族は絶滅し、農耕民族ではなく、西方や北方の遊牧民族や騎馬民族がその後の中国人を形成していると言われるから、性格が激しいのであろう。私たち現代人が唖然とするような、否、私たちを楽しませてくれるような光景は、当分、なくなることはないかも知れないから、諦めた方がよさそうだ。
コメント
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