風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

プーチン健康不安説

2022-04-05 23:48:58 | 時事放談
 プーチン大統領はパーキンソン病ではないかと噂されてきたが、ロシアの独立系メディア・プロエクトが甲状腺がんの可能性を伝えて、再び健康不安が取り沙汰されている。
 記事によると、「2016年以降、プーチン大統領のもとを、甲状腺疾患を治療する耳鼻咽喉科の医師が59回訪れたと説明。また、甲状腺がんの専門医も35回訪れた」「医師は全員、内務省に所属している機関の中央臨床病院の先生方」(*1)と、やけに具体的である。
 これに対して、慶應大学の広瀬陽子教授は、「プロエクトというのは相当、芯の通ったメディアですので、かなり信ぴょう性はあるのではないかと思います」「このプーチンの病状については、私も直接いろいろ聞いたことがあり、がんについては、2017年から18年にかけてフィンランドで研究を行っていたんですが、その際に研究仲間が“どうやらがんらしい”と言っていた」(*2)と語っている。
 これが事実だとすれば、要人(しかも情報管制がとりわけ厳しいはずのロシアの独裁者)の健康問題はトップ・シークレットであるはずなのに、誰がどういうルートで情報漏洩したのか気になるところだ(不謹慎ながらそれが内部崩壊に繋がらないかと期待してしまう)。また、プーチン氏は既にロシア男性の平均寿命を越えた年齢不安があり、健康不安もあり、ソ連崩壊の歴史に報復するという自らの野望を一刻も早く果たすべく、焦って、自暴自棄に陥らないか、憂慮される。第二次世界大戦でナチス・ドイツを破った「戦勝記念日」の5月9日には、此度のウクライナ戦争の勝利宣言を出すシナリオが想定されているとの噂もある。キーウ陥落は諦めて、東部に集中して圧倒的勝利を収める・・・ということは、首都キーウ近郊ブチャで明らかになった住民の大量虐殺や暴行や略奪が、東部でも繰り返されるのではないかと思うと、胸が痛む。撤退する腹いせなのか見せしめなのか、ブチャでの惨劇がプーチンの指示によるものか、現場の暴走によるものか、定かではないが、いずれにしても最高指揮官として現場の規律を守れない責任は免れない。実際に、戦場での野蛮な振舞いの点で、ロシア兵は、第二次大戦の頃からチェチェン紛争や南オセチア紛争に至るまで、頗る評判が悪く、恐れられてきた。
 10年前に出版された『顔のない男 ウラジーミル・プーチンの異例の昇進』(米ペンギン社)という本(多分、未邦訳)の中で、モスクワ生まれのジャーナリスト、マーシャ・ガッセン氏は「プーチンは顔のない小柄で小物の人物。シニカルで暴力的。クレムリンに冷酷なニヒリズムを持ち込み、被害妄想となった。無感情で残酷、慈悲心がなく、腐敗している」などと酷評しているらしい(名越健郎・拓大教授による *3)。まがりなりにも民主国家であれば、権力の抑制と均衡が働いて、一人の狂気(とその取り巻き)が暴走することはないであろうに、権威主義の独裁国家の悲劇である。2月24日の開戦以来、これまで何度も思って来たことだが、この狂気を早く止めて欲しい。
 なお、キーウ近郊ブチャの虐殺について、ロシア国防省は「一人の住民にも手を出していない。(民間人犠牲の)写真はウクライナ政府の挑発だ」などとシラを切るが、民間のオシント(オープンソース・インテリジェンス)専門家やNY Timesなどの欧米メディアは、衛星画像などを使ってロシアの主張に反論して、矛盾を次々に明らかにし、平気でウソをついて恥じないロシアの醜態を世界中に晒している(気の毒なのは、情報統制されて何も知らされないロシア国民だ)。これもまた現代的な情報化時代の戦争だと、感慨深い。

(*1)https://www.fnn.jp/articles/-/341914
(*2)https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/04/03/kiji/20220403s00041000438000c.html
(*3)https://president.jp/articles/-/56183
コメント
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