風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

サンデー朗希

2022-04-19 22:07:08 | スポーツ・芸能好き
 ロッテの佐々木朗希投手が、この日曜日にまたしても快投を演じた。8回を投げて14奪三振、102球に達して、一人の走者も許さないまま降板したのは、前回よりもコントロール、球質ともに良くなくて、疲れも見えていたから、ということのようだが、野球ファンとしては素直に、史上初となる2試合連続完全試合を見たかった。
 井口監督によれば、「いろいろなことを加味しながら、今日は100球弱だと思っていた。できれば我々も最後まで見たかったし、ファンの方も見たかったと思いますけど、いろいろと先々のことを考えると、ちょっとあそこが限界だったのかなと。7回が終わった時点で朗希がちょっとへばりつつあったので、何とか8回までと思っていました」とのことであり、たとえロッテがリードしていても「8回で代わっていました」ということだ。吉井理人ピッチングコーディネーターもブログで、「佐々木は1年間フルに戦ったことのない見習い投手です。(もはや見習いとは言えない実力だが)壊れてからでは、遅いのです」「若者が早い時期に故障するのは、見ていて辛いです。野球に故障はつきものですが、なるべく故障しないよう、我々指導者がしっかり管理していきたいと思っています」と記されたらしい。試合後には佐々木自身もテレビカメラが入ったインタビューに、「途中疲れている部分もありました。首脳陣の判断なので、納得する形で降りました」と語ったということで、本人の素直さと言うより、この年齢にして目先のことに拘らないスケールの大きさには驚くばかりだし、球団としても慎重過ぎると思えるほど、まだ成長途上の佐々木朗希投手を今後ともじっくり育てて行く方針のようで、外野の私は何とも言いようがない。もはやロッテという球団を超えた球界の至宝であり、分からなくはないのだが、ミーハーな私は、やっぱり史上初となる2試合連続完全試合を見たかった。
 世に記録は残さないが記憶に残る選手がいると言われる。私が大好きな清原や江川がそうだろう。しかし、リアルタイムで見た私が忘れることはないにしても、そうじゃない世代には忘れ去られる。今回、完全試合達成を目前に控えて投手交代を告げられた先例として、2007年の日本ハムとの日本シリーズで中日が3勝1敗でリードして迎えた第5戦で、8回まで完全投球を続けていた山井大介を、完投ペースの86球で交代させ、その後を引き継いだ守護神・岩瀬仁紀も日本ハム打線を三者凡退に抑えて1-0で逃げ切った落合博満監督の采配が物議を醸したことが、再び話題になった。しかし、確かにそういうことがあったなあと朧気な記憶を辿るが、所詮、記録にないものは記憶からは薄れてしまうのだ。
 そんな「記録」ということでは、2回までに4三振を奪い、山本由伸(オリックス)に並ぶ日本人最長タイの25イニング連続三振をマークした。17イニング連続の無安打(完全投球)は実に1948年真田重蔵(大陽)がマークした16回を74年振りに更新するプロ野球新記録で、記録を継続している。4月3日の西武戦8回2死でから岸潤一郎から空振り三振を奪って以来、メジャー記録46を超える52打者連続アウトも、記録を継続している。
 佐々木朗希投手のどこが凄いのか、専門家によると、「ボールに角度があり、回転数が違う。大谷翔平と比較してもボールの質が違っていて、実際は伸びているのではなく落ちていないだけなのだが、打者の感覚としてはコンタクトしようと考えているポイントからボールが浮き上がっているように感じるのではないか。打者はストレートを狙っていても空振りになりボールが前に飛ばない。そこで同じ腕の振りで147kmのフォークを落とされては誰も対応できない。しかも、そのフォークはコントロール、落差も含めて抜けたボールがほとんどなく精度が高いのだ。打者は追い込まれたくないので早めに仕掛けてくるので、そこでカウントを稼ぎ、ストライクが先行することになり、ますます佐々木が有利のカウントで打者を支配することができるので、ほとんど打たれる感じはしない」という。球威があり、本来は落ちて行く球筋が落ちなくて、却って球がホップしているように見えるのは、かつて江川や小松にも言われたことだった。いつの時代にも「怪物」は出現するものらしい。
 もはや終わったことに拘るのはやめよう。何と言っても弱冠20歳で、将来性十二分な佐々木朗希投手のことだ。次の日曜日にはまた登板する。17イニングまで続けている完全投球回数と、52打者まで続けている連続アウトがどこまで伸びるのか、楽しみにしたい。
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