週末、まるで梅雨明けしたかのような暑さやなあと、暑さにまだ慣れていない身体を持て余していたら、今日、本当に梅雨明けしたので驚いた。関東甲信は平年よりも22日早く、最も早い梅雨明けとなったようだ。この暑さで、東京電力管内で電力需給が厳しくなる見通しとなったのを受けて、経済産業省は昨日、初の需給逼迫注意報を発令していた。
我慢強い日本人のことである。「古くて効率が悪くなっていた火力発電の休止や廃止が相次ぎ」(今日の日経新聞・電子版)、「東日本大震災の後、原子力発電所の稼働も減っているという構造的な問題がある」(同)上、「3月に福島県沖で起きた地震の影響で、いくつかの火力発電所が損傷して供給力が低下していた」(同)ところに、「想定以上の暑さが追い打ちをかけることになった」(同)ということだが、その経緯はともかくとして、如何にも場当たり的な「節電」が呼びかけられた。
我慢強いのは美徳には違いないが、何事も程度の問題であって、過ぎたるは及ばないのが世の常だ。コロナ禍の前に日本だけがデフレだったのも、価格競争が厳しくなったり不況になったりした事業で、なかなか撤退する英断を下せず、構造改革と言う名の身を削る努力をし、給与レベルを上げなくても頑張る・・・というような日本人の我慢強さが影響しているに違いない(もとより、それが全てとは言わないが)。
このあたりを匂わせる記事が、昨日の日経新聞・電子版に出ていた(*)。
「政権発足からもうじき9カ月。特になにかをやったわけではない。もちろん大きな失敗があったわけでもない」(同)のに、「なぜ岸田文雄内閣の支持率は高いのかという素朴な疑問」(同)に答えるべく、安倍内閣と比較して、二つの顕著な違いを挙げる;
- 安倍内閣が一貫して男性の支持率が高い「男高女低」だったのに対し、岸田政権では「男女同等」であること
- 安倍内閣の支持は若手がシニア層より圧倒的に高い「青高老低」だったのに対し、岸田内閣では正反対の「青低老高」であること
さらに、内閣支持の理由にカラーが出るとして、「人柄が信頼できる」が岸田内閣ではいつも上位にランクすることを挙げながら(勿論、この点は安倍内閣と対照的である)、岸田政権を次のように活写する。
(引用はじめ)
まじめで一生懸命。変幻自在・臨機応変なのか、朝令暮改なのかは見方によるがこだわりなく変える。寡黙だった前任者、国会答弁で反論した前々任者。前の2人が強烈なリーダーシップを発揮したのに対して無色透明感。
政策運営も積極的に打って出るのではなく、コロナ、ウクライナと起こったことに反応していくタイプだ。ゆるくて、ふわふわとして、そして、なんとなくの支持である。
(引用おわり)
安倍内閣は、第三の矢として規制緩和などの成長戦略を掲げ、若者を中心に大いに期待させて支持を広げた(が、実際には政策に見るべきものがなかった)。岸田内閣は、他人の話を聞いて「検討する」と言うだけで行動に移さないところが、変化を求める若者の支持率の低さと、安定を求める年配者の支持率の高さに繋がっているような気がする。
日本の社会は、危機や問題に真正面から立ち向かって痛みを伴う改革を断行するリーダーシップより、誰もが少しずつ不満を分かちあいながら変化を避けて丸くおさめるムラの長者のような存在感に人気があるようだ。そうである以上、電力不足に対しても、根本問題としてのエネルギーミックス、とりわけ原発再稼働のように不人気で角の立つ問題に真正面から取り組むのではなく、節電という忍耐に訴えて急場を凌いでよしとするのだろうか。暑さにストレスも加わるような夏は勘弁して欲しいのだが。
(*)https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK192QP0Z10C22A6000000/