韓国とニュージーランドとの間にちょっとした揉め事がある。なかなか興味深かったので、以下に詳述したい。
3年前の2017年11~12月頃、駐NZ韓国大使館に勤務していた参事官が、事務室で現地職員に対してセクハラ行為をした疑いが持たれた。韓国外交部は翌2018年10月、実態調査の末、減給1ヵ月の処分を下したが、この軽い対応に納得できなかった被害者は、NZ警察にセクハラ被害を訴えた。NZ裁判所は今年2月になって、韓国大使館に関連資料の提出を命じるとともに、当時の参事官に逮捕令状を発行し、NZ外務省は同令状の執行協力要請を行ったが、韓国外交部は「外交官免責特権」などを理由に全て断った、というものだ(このあたりは、韓国人ジャーナリスト金敬哲氏が現代ビジネスに寄せたコラムによる)。
ここまでなら、些細な出来事のように思うが、7月28日の韓・NZ首脳電話会談で、文在寅大統領がアーダーンNZ首相から直接、この件に関する抗議を受け、これがNZで報道されて、また火がついた。
8月25日の韓国・外交通商委員会では、「外交の恥さらし」として叱責が続いたという。ある与党議員から、首脳間外交で外交官のセクハラ事件が取り上げられたのは韓国外交史において初めてのことだとして「外交の基本が議題調整だが、首脳間会談で議題管理をきちんとしなかった」と指摘されたのに対し、外交部の康京和長官は「首脳会談の議題を調整する過程でニュージーランド側からこの議題を扱うという話がなかった」「ところが、結果的に文大統領が心地悪い位置にいらっしゃることになったことを申し訳なく思う」と釈明し、NZ側に謝罪するかについては「他国に外交部長官が謝罪するのは国家の品格の問題」として「今この場で謝罪することはできない」と述べたという(このあたりは韓国紙・中央日報・日本語版による)。
韓国で「国家の品格」と日本語訳されるものの実体が何なのか、情報が少ないし、日本人の私には測りかねるが、いったん自国の参事官に対する処分を下しながら、NZに対する謝罪を頑なに拒否する姿勢は、日本に執拗に謝罪を求め続ける執念深さとの対比で、やや異様に映る。NZといい、日本といい、与しやすい相手だと、まさか見ているわけではあるまいに(これがアメリカや中国相手だと対応が違った・・・ということは、まさかないだろうと思いたい 笑)。
これに関して、韓国・漢陽女子大学・平井敏晴助教授によると、韓国では「少なくとも朴槿恵政権以降、フェミニズムへの意識が高まり、日本よりもセクハラに対して敏感なところがある」ようで、実際に韓国の首長によるセクシャル疑惑が話題になった。今回は加害者・被害者ともに同性(男性から男性)だったということで、平井助教授に言わせれば、「韓国でのこの事件の扱いづらさは、根本的な理由として韓国とニュージーランドにおける性的マイノリティ(LGBT:性的少数者)に対する受容度の違いにあるように思われる」「若い世代の人たちも、拒否感までは示さないが、性的マイノリティは遠い存在と考えている。日本に旅行して衝撃を受けたことは何かと聞くと、男性なのに女装をした芸能人が活躍していることだと答える人が多い」「NZ側が声をあげても、韓国側は戸惑ってしまう。韓国政府はこの件に関しては『特殊な事案』だと述べていて、できれば穏便に事を済ませたかったのではなかろうか」ということだ。興味深い見方で、まあ、こういった面は否定しないが、そうは言ってもこれは歴とした外交案件なのだから、相手(NZ側)への配慮や想像力がなさ過ぎると言わざるを得ないように思う。
韓国・国会での議論で、セクハラ問題そのものよりも、外交上の手続きを問題とするのも、目上(大統領)を気遣う儒教社会の内輪揉めのように見える。報道される限定された情報をもとに決めつけるのはよろしくないと思いつつ、こうして二つの点から、結局、この国を動かすのは、儒教倫理に基づく内輪の論理かと、ちょっと溜息が出てしまった。私の独りよがりであることを望む。
(注)なお、何故、こんなちまちましたニュースを取り上げたかというと、Yahooニュースの履歴に、最近どうも韓国紙の記事が増えているからだ。偏向ではないのか? 韓国の作為がないか? 見たくなくても、つい目に入るので、困る(苦笑)
3年前の2017年11~12月頃、駐NZ韓国大使館に勤務していた参事官が、事務室で現地職員に対してセクハラ行為をした疑いが持たれた。韓国外交部は翌2018年10月、実態調査の末、減給1ヵ月の処分を下したが、この軽い対応に納得できなかった被害者は、NZ警察にセクハラ被害を訴えた。NZ裁判所は今年2月になって、韓国大使館に関連資料の提出を命じるとともに、当時の参事官に逮捕令状を発行し、NZ外務省は同令状の執行協力要請を行ったが、韓国外交部は「外交官免責特権」などを理由に全て断った、というものだ(このあたりは、韓国人ジャーナリスト金敬哲氏が現代ビジネスに寄せたコラムによる)。
ここまでなら、些細な出来事のように思うが、7月28日の韓・NZ首脳電話会談で、文在寅大統領がアーダーンNZ首相から直接、この件に関する抗議を受け、これがNZで報道されて、また火がついた。
8月25日の韓国・外交通商委員会では、「外交の恥さらし」として叱責が続いたという。ある与党議員から、首脳間外交で外交官のセクハラ事件が取り上げられたのは韓国外交史において初めてのことだとして「外交の基本が議題調整だが、首脳間会談で議題管理をきちんとしなかった」と指摘されたのに対し、外交部の康京和長官は「首脳会談の議題を調整する過程でニュージーランド側からこの議題を扱うという話がなかった」「ところが、結果的に文大統領が心地悪い位置にいらっしゃることになったことを申し訳なく思う」と釈明し、NZ側に謝罪するかについては「他国に外交部長官が謝罪するのは国家の品格の問題」として「今この場で謝罪することはできない」と述べたという(このあたりは韓国紙・中央日報・日本語版による)。
韓国で「国家の品格」と日本語訳されるものの実体が何なのか、情報が少ないし、日本人の私には測りかねるが、いったん自国の参事官に対する処分を下しながら、NZに対する謝罪を頑なに拒否する姿勢は、日本に執拗に謝罪を求め続ける執念深さとの対比で、やや異様に映る。NZといい、日本といい、与しやすい相手だと、まさか見ているわけではあるまいに(これがアメリカや中国相手だと対応が違った・・・ということは、まさかないだろうと思いたい 笑)。
これに関して、韓国・漢陽女子大学・平井敏晴助教授によると、韓国では「少なくとも朴槿恵政権以降、フェミニズムへの意識が高まり、日本よりもセクハラに対して敏感なところがある」ようで、実際に韓国の首長によるセクシャル疑惑が話題になった。今回は加害者・被害者ともに同性(男性から男性)だったということで、平井助教授に言わせれば、「韓国でのこの事件の扱いづらさは、根本的な理由として韓国とニュージーランドにおける性的マイノリティ(LGBT:性的少数者)に対する受容度の違いにあるように思われる」「若い世代の人たちも、拒否感までは示さないが、性的マイノリティは遠い存在と考えている。日本に旅行して衝撃を受けたことは何かと聞くと、男性なのに女装をした芸能人が活躍していることだと答える人が多い」「NZ側が声をあげても、韓国側は戸惑ってしまう。韓国政府はこの件に関しては『特殊な事案』だと述べていて、できれば穏便に事を済ませたかったのではなかろうか」ということだ。興味深い見方で、まあ、こういった面は否定しないが、そうは言ってもこれは歴とした外交案件なのだから、相手(NZ側)への配慮や想像力がなさ過ぎると言わざるを得ないように思う。
韓国・国会での議論で、セクハラ問題そのものよりも、外交上の手続きを問題とするのも、目上(大統領)を気遣う儒教社会の内輪揉めのように見える。報道される限定された情報をもとに決めつけるのはよろしくないと思いつつ、こうして二つの点から、結局、この国を動かすのは、儒教倫理に基づく内輪の論理かと、ちょっと溜息が出てしまった。私の独りよがりであることを望む。
(注)なお、何故、こんなちまちましたニュースを取り上げたかというと、Yahooニュースの履歴に、最近どうも韓国紙の記事が増えているからだ。偏向ではないのか? 韓国の作為がないか? 見たくなくても、つい目に入るので、困る(苦笑)
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