緊急事態宣言の延長当否については、明日、正式発表される予定だが、既に数日前に、全国を対象に更に一ヶ月程度延長する方向の観測気球が上げられた。全国を平均すれば、感染自体がピークを打ったのは間違いなく、現に実効再生産数は、3月25日に「2」だったのが、4月1日頃には既に「1」を割り込み、緊急事態宣言後の4月10日には「0・7」まで低下していることが報じられた(東京都に限ると、3月14日時点では欧米の流行時並みの「2.6」だったが、4月10日には「0.5」まで低下したらしい)。欧米諸国であれば、感染者数が少ないのは検査数を絞っているからだとしても、実効再生産数はロックダウンを(部分)解除するレベルであろう。しかし北海道のように感染が再び拡大する地域があり、医療現場は依然ぎりぎりのところで奮闘していることが伝えられており、この段階でブレーキを緩める政治判断はなかなか簡単ではないだろう(もう一ヶ月延長されるのは個人的にはキツイという印象なのだが・・・)。
新型コロナ禍は、タイムラグがあるのが悩ましい。感染しても無症状で他人に感染するケースがあるのも悩ましところだが、よく知られる通り潜伏期間は1~12.5日、多くは5~6日(いずれも厚労省HPより)であって、日々、報道で接する感染者数は、一週間前の状況を後追いで見ていることになる。また、急速に重症化するケースがあるのも悩ましいところだが、軽~中等症から重症化し、あるいは逆に改善し、退院する(場合によっては不幸にも亡くなる)までの入院期間は、中国での報告によれば中央値11日、国立感染症研究所の3月23日時点の報告によれば平均値16.6日とされる(4月22日付の厚労省・新型コロナウイルス感染症対策推進本部の事務連絡より)。感染から退院までの時間を単純合算すると、国民の行動変容と医療現場の煩忙との間には場合によっては一ヶ月ものズレが出てくる。
これまでのところ、政府方針は、専門家会議を中心に感染症の専門家の意見が幅を利かせて来たように見受けられる。人との接触を8割削減するといった極論に近いショック療法に対して、前提条件(実効再生産数)に疑問を投げかける意見もあったが、それでも国民は概ね真摯に受け止め、初期のオーバーシュートを抑える局面ではそれなりに機能してきたように思われる。しかし、十分な抗体が形成されるのかどうか、免疫力がついて安心と言えるかどうかに疑問符をつける見方も出て来る中で、当面、完全に抑え込むことなど到底不可能である以上、長期戦に備えて、タイムラグを先読みしつつ、どのようにブレーキを利かせるか(緩めるか)、経済学や社会(心理)学を含む幅広い分野の専門家の知見も総合し、政治が慎重に舵取りしていくことが望まれる。明日の政府説明では、このあたりを踏まえつつ、出口戦略がある程度明確になり、自粛疲れを癒すようなものになって欲しいものだ。サラリーマンで多少の気分の落ち込みがあるくらいならまだしも、中小企業、特に感染の巣窟と槍玉にあがった飲み屋などの個人経営は、所詮は自然災害と同じ事業リスクだと突き放すには気の毒な状況になりつつある。
添付グラフは厚労省発表のデータをプロットしたもの。都道府県の発表値を集計するものなので、漏れもあれば遅れ(タイムラグ)もあり(例えば死亡者として70名強は、個々の陽性者との突合作業中とのことで、日々の推移に展開できないため、ここでは除外している)、前後3日を含む7日間の移動平均でならしてある。上のグラフは、日々の「感染者数」「重症者数(=人工呼吸器または集中治療室に入院)」「死亡者数」の推移で、重症者は感染者の中に一定割合おり(ほぼ同期)、死亡者はタイムラグを以て増えている傾向が読み取れる(集計上の問題なのか、増えっぱなしというのが気になる)。下のグラフは、厚労省が「入院を要する者等」と定義する「軽~中等症者」「重症者」「症状の程度を確認中」「入院待機中」「症状の有無を確認中」を合算したものと、「退院者・死亡者」を比較したもの(両者の差)で、細かい定義は抜きにして、大雑把に日々のInput/Outputとその「残高(差)」を示すものと考えられ(但し3/30を起点としている)、ここ二週間で、軽症者を病院以外に移しているからであろうか、ようやくその「残高(差)」が頭打ち傾向にある(あるいはぎりぎりで持ちこたえている)ことが読み取れ、その間の医療関係者の苦労がしのばれる。なお余談ながら、下のグラフの「入院治療を要する者」(青の棒グラフ)は当然のことながら上のグラフの「感染者数」(折れ線)とほぼ同期する。飽くまで大雑把なイメージだが・・・(巣籠り中、久しぶりにExcelでグラフを作成)
新型コロナ禍は、タイムラグがあるのが悩ましい。感染しても無症状で他人に感染するケースがあるのも悩ましところだが、よく知られる通り潜伏期間は1~12.5日、多くは5~6日(いずれも厚労省HPより)であって、日々、報道で接する感染者数は、一週間前の状況を後追いで見ていることになる。また、急速に重症化するケースがあるのも悩ましいところだが、軽~中等症から重症化し、あるいは逆に改善し、退院する(場合によっては不幸にも亡くなる)までの入院期間は、中国での報告によれば中央値11日、国立感染症研究所の3月23日時点の報告によれば平均値16.6日とされる(4月22日付の厚労省・新型コロナウイルス感染症対策推進本部の事務連絡より)。感染から退院までの時間を単純合算すると、国民の行動変容と医療現場の煩忙との間には場合によっては一ヶ月ものズレが出てくる。
これまでのところ、政府方針は、専門家会議を中心に感染症の専門家の意見が幅を利かせて来たように見受けられる。人との接触を8割削減するといった極論に近いショック療法に対して、前提条件(実効再生産数)に疑問を投げかける意見もあったが、それでも国民は概ね真摯に受け止め、初期のオーバーシュートを抑える局面ではそれなりに機能してきたように思われる。しかし、十分な抗体が形成されるのかどうか、免疫力がついて安心と言えるかどうかに疑問符をつける見方も出て来る中で、当面、完全に抑え込むことなど到底不可能である以上、長期戦に備えて、タイムラグを先読みしつつ、どのようにブレーキを利かせるか(緩めるか)、経済学や社会(心理)学を含む幅広い分野の専門家の知見も総合し、政治が慎重に舵取りしていくことが望まれる。明日の政府説明では、このあたりを踏まえつつ、出口戦略がある程度明確になり、自粛疲れを癒すようなものになって欲しいものだ。サラリーマンで多少の気分の落ち込みがあるくらいならまだしも、中小企業、特に感染の巣窟と槍玉にあがった飲み屋などの個人経営は、所詮は自然災害と同じ事業リスクだと突き放すには気の毒な状況になりつつある。
添付グラフは厚労省発表のデータをプロットしたもの。都道府県の発表値を集計するものなので、漏れもあれば遅れ(タイムラグ)もあり(例えば死亡者として70名強は、個々の陽性者との突合作業中とのことで、日々の推移に展開できないため、ここでは除外している)、前後3日を含む7日間の移動平均でならしてある。上のグラフは、日々の「感染者数」「重症者数(=人工呼吸器または集中治療室に入院)」「死亡者数」の推移で、重症者は感染者の中に一定割合おり(ほぼ同期)、死亡者はタイムラグを以て増えている傾向が読み取れる(集計上の問題なのか、増えっぱなしというのが気になる)。下のグラフは、厚労省が「入院を要する者等」と定義する「軽~中等症者」「重症者」「症状の程度を確認中」「入院待機中」「症状の有無を確認中」を合算したものと、「退院者・死亡者」を比較したもの(両者の差)で、細かい定義は抜きにして、大雑把に日々のInput/Outputとその「残高(差)」を示すものと考えられ(但し3/30を起点としている)、ここ二週間で、軽症者を病院以外に移しているからであろうか、ようやくその「残高(差)」が頭打ち傾向にある(あるいはぎりぎりで持ちこたえている)ことが読み取れ、その間の医療関係者の苦労がしのばれる。なお余談ながら、下のグラフの「入院治療を要する者」(青の棒グラフ)は当然のことながら上のグラフの「感染者数」(折れ線)とほぼ同期する。飽くまで大雑把なイメージだが・・・(巣籠り中、久しぶりにExcelでグラフを作成)
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