風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

W杯コートジボワール戦

2014-06-18 23:21:00 | スポーツ・芸能好き
 ピカソがレストランで食事をしていると、ある女性が、お礼はするから何か描いてほしいと、レストランのナプキンを差し出しました。ピカソは慣れた手つきでものの30秒とかけないでささっと絵を描き上げ、女性に1万ドルを請求しました。「30秒もかかっていないのに1万ドルは高いじゃないの!?」と文句を言うと、ピカソは「いや、40年と30秒かかったんだよ」と。
 40歳のピカソがレストランで絵を頼まれるほど有名だったかどうかはさて措き、サムライ・ジャパンの代表選手も、このコートジボワール戦90分のために4年間の修練を積んできたであろうことを思うと、私のようなド素人につべこべ言われたくないでしょうから、本人たちのコメントを紹介する形で、無念さを表現したいと思います。
 「今日は先制しながらも、僕達のペースで1回も試合を進められていなかったので、すごく悔しいです」(香川真司)
 「今日は前半も後半も自分たちがやろうとしているサッカーが表現できなかった。それが一番です。(中略)早い時間に自分たちが先制点を取って、多少引いてしまいました。守りに頭がいってしまった部分は、間違いなくありました。自分たちは1点を守りきれるようなチーム作りをしていないので、自分たちが点を取りにいく、チャンスを作るというところでは、今日は全然足りていませんでした」(長谷部誠)
 「自分たちのサッカーができなくて、厳しい試合になりました」(長友佑都)
 「(自分たちのサッカーはできていなかったが?と聞かれ)動きも良くなかったですし、自分たちのサッカーもできなかった。点を取ってからも、受け身になってしまったのも良くなかったと思います。次は自分たちのサッカー、形を出さなければ、自分たちはこんなもんではないと思っているし、ここで終わるようなチームではないと思っています。」(吉田麻也)
 「向こうも力がありますから。ウチがやりたいサッカーをできないのはある程度しょうがない部分もあります。やっぱりいい選手がそろっていますし、僕らにもいるかもしれないですけど、相手もいることですから」(内田篤人)
 「(攻撃的なチームと言いながら、押し込めなかった?と聞かれ)なんか違いましたね。自分はこの間から入って3試合やりましたけど、まったく違うチームになっていました。前半はすごく良かったです。(本田)圭佑が点を取って、いい流れでしたけど、逆転されると、ああいう風になるのかなって思いました。メンタル的に落ちた感じはしましたね」(大久保嘉人)
 このあたりを、Sportsnaviの宇都宮徹壱氏は、「このチーム本来の武器である『ゲームの主導権を握ること』も、そして『リスク覚悟でアグレッシブに攻める姿勢』も、ほとんど見られず、やっているサッカーはまるで4年前の『結果重視の守り切るサッカー』を再現しているかのようであった」などと報じました。いつものような連動性がなく、最後は踏ん張るコートジボワールの守備陣を崩すことが出来ませんでした。澤穂希だったか、以前、「再現性」という耳慣れない言葉を使っていました。大舞台ともなると、スターティング・メンバー全員が欧州組だったとは言え、正常な精神、つまり平常心を維持するのは難しいのでしょう。
 誤算は、両サイドバックを高く配置してきたコートジボワールの日本対策にある、と報じた記事もありました。「あんなに高い位置をとるのはあまり見たことがない」と長友が驚いたように、「2アシストした右のオーリエと左のボカの圧力の前に、香川(マンチェスター・ユナイテッド)と岡崎(マインツ)は守備に追われ、ともにシュート0本に終わった。分断された大迫、本田も余裕を持ってボールを回す相手の前に消耗。立て直しを図れないまま、後半途中のドログバ投入でスイッチの入った敵の猛反撃に、最後は守備陣が押し切られた」(産経Web)。これに対して、長友はこう答えています。「(両SBがすごく高い位置にいたが?と聞かれ)ウイングみたいな位置にいたので、(香川)真司も引っぱり出されることが多くて、サイドも数的不利なときがたくさんあったから、相手のサッカーにハマったと思います」
 スポニチの川本治氏は、両チームの監督のカードの切り方が明暗を分けたと言います。「初戦という重圧があったのだろう。日本はミスが多く、ボールを動かす本来のサッカーができていなかった。それを修正したかったのだと思う」と、後半9分、ケガから復帰してまだ間もない長谷部に代えて攻撃参加を得意にする遠藤を投入した事情を解説されます。しかし、期待通りの展開にならないまま、コートジボワールは、後半17分、体調が万全でないエースのディディエ・ドログバを満を持して投入すると、ムードが一気に変わって、攻撃に軸ができ、2分後に同点の、さらにその2分後に勝ち越しのゴールを決めました。悪夢のような4分間でした。結果として、ボール支配率では、42%対58%、シュート数では、7対19と、圧倒されました。
 ディディエ・ドログバ36歳のカリスマ性に負けたか、彼を短いながらも後半に疲れが出ているところで投入して一気に流れを変えた作戦に負けたか。ドログバは、2002年に始まったコートジボワールの内戦が2011年に終結したことに一役買ったことが美談として報道番組で報じられていました。前半16分、本田のシュートも凄かったけれども、コートジボワールの方が役者が一枚上手だったでしょうか。
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