風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

規模の経済

2011-03-10 00:58:12 | 時事放談
 適正規模というものがあります。たとえば工場経営で、大きければ大きいほど効率的かと言うとそんなことはなくて、1000人からせいぜいい2000人が最適なのだというようなことを聞いたことがあります。一人のリーダー、一つの管理組織が掌握できる規模には自ずから限界があって、もしそれを超える場合には、更に別次元の管理体系が必要になるであろうことは、なんとなく想像できます。こうした規模の話をする時に典型例として引き合いに出されるのは、軍隊の組織でしょう。機能的集団の最たるものであるからこそ、軍事組織は最も効率的・効果的な編成を求めて、洗練されて来たのだろうと思います。
 そういう目で見ると、今の日本の官僚組織はイビツです。明治以来の中央集権体制を、150年にわたって持続し、その間、人口では2倍以上、GDPでは何十倍か何百倍に拡大したかわかりませんが、それをマネージできなくなっているのは明らかなのに、それでも基本的に変わらない構造を保持しているというのは、不誠実だと言うべきです。
 今朝の日経・社説は、4月から全面実施になる小学校の新しい指導要領が、地球儀ブームを巻き起こしている・・・という書き出しで、成熟した社会の担い手には独創性や自主性が一段と重要になっていると環境分析した上で、今、必要なのは指導要領を大綱化、簡素化し、授業の組み立てやその中身を思い切って地域や学校現場に任せることだと、教育の分権化を主張してます。中央省庁は、いちいち地方のことや細部にかかずらわっていないで、本来の意味での日本国としてのグランド・デザインやグランド・ストラテジーを考えるべきでしょう。かつての市町村合併は最適規模を求めたものだったのでしょうし、最近の大阪府や名古屋市の反乱とも言うべき中央に対する挑発的な動きもまた同じ文脈で理解すべきものだろうと思います。
 経営学の泰斗ピーター・ドラッカー氏は、組織にとって最適の規模とは、組織の機能や仕事に必要な情報を最も有効に扱うことのできる規模であると、彼独特の言い回しで述べています。 「多くの企業が適切な規模を知らない。規模にふさわしい戦略や構造についてはさらに知らない」とも。肝に銘ずるべきでしょう。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 亡国の悲劇 | トップ | 大震災(1)帰宅難民 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あんびばれんと)
2011-03-10 02:05:42
業績不振→管理強化→生産性低下→業績不振→管理強化→生産性低下→業績不振→管理強化→・・・

企業で起きていることと、政治や行政で起きていることは同じ構造ですね。

結果は日本国の国力の低下、日本国民のやる気の減少、そして、希望や夢を持てない若者の増加。

この悪循環を断ち切るには、管理ではなく自主自律だと理解して現場に任せることですが、それを断行できるリーダーがいませんね。
返信する
Unknown (風来庵主人)
2011-03-21 13:20:40
まったくその通りですね。私はリーダーシップの問題とともに、自立し自律するために一人ひとりの自覚の問題もあろうかと思います。双方の問題ですね。国や企業などの体系に任せて甘えているところは、私自身も反省すべきかと。
返信する

コメントを投稿

時事放談」カテゴリの最新記事