風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

参院選(1)逃げる民主

2010-07-03 01:41:54 | 時事放談
 それにしても、日本人は忘れっぽいものだと思います。野党が散々貶したように、表紙が変わっただけの民主党に対する支持率は、小沢色を払拭したかのように見える菅内閣のもとで盛り返し、その後、それほど落ち込むことなく、今のところ、参院戦を戦い抜くレベルをなんとか維持しているようです。予算委員会も開かず、小沢さんの証人喚問も封印して、そそくさと国会を閉幕し、ぶら下がり会見にまともに応じず、テレビ討論も「つるしあげ」だと言っては逃げ回る菅さんですが、ひとまず功を奏した形です。何より、マスコミをはじめとする国民の関心を、民主党が苦手とする外交・安全保障問題から消費税に移してしまいました。目くらましに合ったようなものですが、世間はひとえに菅さんの術中にはまっていると言っても過言ではありません。
 さてその消費税論議もいろいろ問題があります。選挙戦では鬼門とされて来たにも係わらず、自民党が先に言い出したのを良いことに、菅さんも便乗するというコスイ手を使ったわけですが、同時に、一種の大きな賭けに打って出たと言っても良いでしょう。勿論、菅さんが言うように超党派で協議することには異論なく、仮に政権交代があっても中身がコロコロ変っては困るテーマですが、他方、民主党にとっては、4年間はタッチしないと明言して、マニフェストにも書かなかったテーマであり、案の定、民主党内でも賛否が割れ、最近では、消費税にネガティブな低所得者層の歓心を買うために税額還付まで言い出し、対象とする所得層が演説のたびにブレるのを批判される始末です。しかし、ブレることそのものより、軽々しく年収400万未満の家計などと言い出したことをこそ責められるべきです。全世帯のほぼ半分(今朝の日経によると46.5%)を占める家計に還付するとしたら、一体何のための消費税か疑問であり、こういうことは思いつきで言わない方が良い。
 何より、還付すると公約すること自体、こども手当てとか高速道路無料化と同じバラマキで、選挙公約としては禁じ手なのではないでしょうか。選挙運動中にお金を渡して清き一票をお願いするのと、選挙で清き一票を入れてくれたら後でお金をあげると約束するのと、何が違うのか、一方が罪になって他方が放ったらかしというのが、私には解せません。かつてヒットラーが、第一次大戦で荒廃したドイツにあって、正規の民主主義の手続きを経ながら、何故、台頭し得たかというと、年金とか失業保険をばらまくことを公約したことが大きな要因の一つだったはずです。民主党には、昨年の衆院選以来、そういうポピュリズムから更に衆愚政治に堕しかねないイカガワシサが付きまといます。本来、政治家は、世論に迎合するのではなく、世論をリードするものであって欲しい。日本のマスコミや野党は、そういうところをこそ批判するべきです。もっとも自民党は、かつて散々バラマキをしてきた前科者だから、期待するだけ無駄なのかも知れませんが。
 さて、選挙戦も中盤です。残りの一週間で、菅さんは逃げ切れるでしょうか。
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