風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ウィンブルドンと大相撲

2010-07-06 00:57:06 | スポーツ・芸能好き
 昨晩は、ともすればW杯でかすみがちのウィンブルドン選手権男子シングルス決勝をテレビ観戦しました。試合時間は僅かに2時間13分、3セット・ストレート勝ちと、世界ランク1位のナダルの強さが際立つ試合でした。彼の凄さはいろいろあるのでしょうが、球を拾いに行く不利な体勢でも相手コートにねじ込む粘り腰のバランスの良さと、強烈なスピンを繰り出す手首の強さは、見るたびに感心させられます。彼が野球をやっていたら、凄いピッチャーになっていたかも知れません。
 番組の解説でも触れられていましたが、スピンをかけることとスピードを出すこととはトレード・オフの関係にあり、それは彼のバック・ハンドの強烈なスライスが体制を立て直す余裕を与えることでも分かりますが、このようなスピンを彼は自在に操り、序盤で攻勢をかける時にはスピード勝負し、後半に確実に点を取りに行く時には強烈なスピンをかけて幻惑し、安定した試合運びをしているというわけです。
 同じ日、日本では、日本相撲協会が臨時理事会を開き、野球賭博に関与していた大関・琴光喜関と大嶽親方の解雇を決めたことが報じられました。暴力団が絡んでいた可能性があるとは言え、かつて大相撲をはじめとする芸能の興行の世界にはその筋の人が関与していたことを知らない人はいませんし、勝負師として多少のやんちゃはもう少し大目に見てあげても良い気がします。角界の度重なる不祥事の中で、この二人が特に悪質だとして、トカゲの尻尾切りのように突き放した厳しい処分を下されたことには、やや割り切れないものを感じます。
 これまで紅白歌合戦でも暴力団と関与した大物歌手を辞退させて、クリーンなイメージを今なお演出したがるNHKにとって、3時間×15日間もの相撲中継の穴が開くのは何としても避けたかったでしょうし、一場所あたり5億円とも言われるNHKの放映権料は、相撲協会としても是非とも逃したくなかった、そんな両者の思惑が一致した手打ち式のような安直さを感じます。更に穿った見方をするならば、博打好きで金に困っていた琴光喜関には星を売っていたとする八百長疑惑の噂もありますので、これで臭い物に蓋をして、一件落着を狙っているのかも知れません。
 さて、タイトルにあるウィンブルドンと大相撲とがどう結びつくのかと言うと、言わずもがなの大相撲のウィンブルドン現象を憂えるわけです。ご存知の通り、ウィンブルドン現象とは「市場開放により外資系企業により国内系企業が淘汰されてしまうこと」(Wikipedia)を言い、ウィンブルドン女子シングルスでは1977年のバージニア・ウェードの優勝を最後に、男子シングルスでは実に1936年のフレッド・ペリーの優勝を最後に、イギリス人の優勝者は出ていないというように、伝統ある選手権でありながら、世界から強豪が集うために、地元イギリスの選手は勝ち上がれなくなってしまったことから来ている言葉です。相撲協会の体質が変らなければ、お年寄りは惰性で大相撲を見続けてくれるかも知れませんが、若い人からは振り向いてもらえなくなるかも知れません。
 今回、花札をやっていたとして他の力士とともに謝罪した横綱・白鵬関は、先日のとあるインタビューで、結果には興味がない、15日間、毎日、同じお客さんが観に来ているわけではない、その15日間を、しっかり相撲をとることだと言い切っていました。横綱だから勝たなければならない、その原動力は、相撲が好きだということ、そして日々の努力、神様は見ている、とまで言うあたりは、もはや最近の日本人には見られないほどの、所謂「日本人らしさ」「横綱らしさ」を持ち合わせていて、それを嬉しく頼もしく思う反面、これでは日本人はなかなか勝てないぞと、日本人の相撲ファンとしては複雑な思いに囚われます。
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