風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

歓迎されざる空からの飛来者

2013-04-10 03:39:48 | 時事放談
 朝鮮半島情勢が俄かに緊迫化しています。北朝鮮が先制核攻撃をちらつかせ、アメリカや韓国や日本までをも挑発し、徒に危機感を煽っているだけなのですが、これまでの瀬戸際外交とは一味違って、北朝鮮が切る威嚇カードがあまりにも矢継ぎ早なことを指摘する声があります。エネルギー事情が悪く、使い物にならない古い装備や張りぼて(見かけ倒し)の北朝鮮軍が、よもや戦争に踏み切ることはないでしょうが、暴発的な事故は懸念されます。核兵器と長距離ミサイルを持った自信が強気の背景にあることは間違いありませんし、金正恩第一書記が内部的に権力基盤を固める必要性に駆られていることもまた事実なのでしょう。
 3月末にソウルを訪れた人の話によると、緊迫した雰囲気はなく、北朝鮮の挑発行為は今に始まったことではない、むしろ、足もとで自国通貨ウォンが強含みになり、サムスンを除く主力の輸出企業の業績に伸び悩みの傾向が見え始めた経済情勢の方を心配する声があがったようですが、さすがにここに来て、韓国総合株価指数が年初来安値を付けた5日あたりから、韓国各紙は「北の恫喝が南の経済を揺さぶり始めた」との記事を掲載しています。今日9日には、開城工業団地に全従業員を出勤させず、同団地の操業を停止したのは、経済支援を望む北朝鮮としては異例のことでした。日本海側に移した中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射準備が完了し、北朝鮮の日本海側での交信が急増しているらしく、ロシアや英国など在平壌の各国大使館に対し「10日からは安全を保証できない」と館員の国外退去などを検討するよう通告していた通り、明日10日にも発射を強行する可能性が高いとの見方が出ています。
 それから明日10日は、中国大陸から飛来する黄砂が日本列島をすっぽり覆って、濃いところで視界が10~7キロに悪化する可能性があると、気象庁が発表しました。厄介なのは、PM2.5の関連で、風に乗って黄砂が運ばれる途上で、ガス状の大気汚染物質(硫黄酸化物や窒素酸化物)が、中国の大都市を通過する際に、黄砂の粒の表面に付着して遠くまで運ばれやすくなると解説されています。
 黄砂が日本列島を包み込むケースは年に数回あるそうで、今に始まったことではないことを思えば、中国が砂漠地帯で核実験をやっていた1970年代には、さぞ放射性物質が日本に飛来したことでしょう。実際に、2年前、東日本大震災のあと、福島第一原発事故で放射性物質が拡散するのはそれほど心配には及ばない、といったような論調で、かつて中国から黄砂に伴って飛来した放射線量のグラフが、週間ポストに掲載されたことがありましたが、その後、とんと聞かなくなりました。データの信ぴょう性が疑われたのかと思っていましたが、最近のPM2.5の報道を見ていると、当時の日本に放射性物質が降り注いでいたのはどうやら事実で、原発危機をことさらに煽りたい(そして反原発へと舵を切りたい)民主党政権の横やりが入った可能性を、私は疑っています。
 それはともかく、以前、マレーシア・ペナン島に住んでいた時、年に数回、ヘイズと呼ばれる、インドネシアのスマトラ島の野焼きの煤が飛来して、酷い時には空に靄がかかったように暗くなり、火事かと間違えるほど煤臭くて、往生したことがあり、スマトラ島に近いクアラルンプールやシンガポールはペナンの比ではなくて、マレーシア政府やシンガポール政府は、インドネシア政府に対して猛烈に抗議していたものでした。近隣のゴミ屋敷が物議を醸すことがありますが、黄砂はともかく、酷くなる一方の中国の大気汚染や、北朝鮮の核武装といった、隣人のいわば不始末は迷惑千万と、引っ越しできない韓国や日本としては、いつものことだと諦めないで、あることないこと騒ぎ立てる両国政府に対して、ここぞとばかりに言うべきことを言っているのでしょうか・・・
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