風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

トランプ・ゲーム

2016-12-13 00:03:34 | 時事放談
 ブログ・タイトルは、カードゲームのトランプと、相変わらず過激発言でゲーム感覚のトランプ氏を掛けている(もっとも外交は外交カードなどと言ってゲームの要素が多分にあるものだが、彼の場合、外交のセオリーをやや逸脱したかのようなゲーム感覚で、危なっかしい)。
 2日に台湾の蔡英文総統と電話で協議し「米国と台湾の経済、政治、安全保障面での緊密な結びつき」を確認したことを公表したことも驚きだったが(何しろ米国大統領や次期大統領が台湾トップと言葉を交わすのは1979年以来のこととされる)、昨日のFOXニュースでのインタビューで、「中国と台湾は不可分の領土とする“一つの中国”原則について『貿易などで(中国と)合意できなければ、なぜ“一つの中国”に縛られる必要があるのか』と述べた上で、中国の人民元政策や南シナ海での軍事拠点建設を批判した」(産経Web)らしい。どうやら台湾総統との電話協議について「私が電話してはいけないと、なぜ他国が言うことができるのか。中国には指図してほしくない」と不快感を示したというから、一種の報復的な発言だったようだ。さすがの橋下徹前大阪市長も脱帽したのだろう、「トランプのおっちゃん、やるなー。…アメリカファーストを地で行ってるな」とツイッターで呟き、驚きを隠せなかったようだ。
 外交や安全保障を理解するまで黙っていればいいのに・・・と小心者の私なんぞは思うのだが、トランプ氏は何でもカネ(経済的)に換算すると、一部で批判されてきたが、外交や安全保障を理解していないだけなのか、関心がないせいなのか、確かにビジネスのディールを有利に進めようとするかのように破天荒に単純に策を弄するようだ。元外交官の宮家氏は「バランス感覚のある経験豊かな共和党系の外交安保専門家の多くが選挙中にトランプ候補を忌避する書簡に署名した」と言って警戒されるが、そうは言っても、トランプ政権のスタッフは、所詮、外交安保専門家コミュニティの中から選ばれるだろうから大きく踏み外すことはなかろうとの楽観論も聞こえてはいた。アメリカは民主主義大国であって、一人のリーダーでは如何ともし難い、システムで動いているのだ、と。しかし、トランプ氏の自己顕示欲なのか、自己宣伝好きなのか、選挙戦の最中ならまだしも、アメリカ大統領という重職について、果たして抑制的になれるものなのか疑わしい。
 実のところ、トランプ氏は次期大統領を約束されているが、今のところ大統領就任式を経ていない私人に過ぎない。その発言を真に受けるとすれば中国も大人げない。実際、アーネスト米大統領報道官は、トランプ氏と台湾総統の電話協議を受けて、オバマ政権が中国政府に対して“一つの中国”原則を守る方針を伝えたことを明らかにしていた。しかし、昨日のトランプ氏の発言を受けて、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は黙っていられなかったのだろう、社説で、トランプ氏は外交面において「子供のように無知だ」と非難し、「“一つの中国”政策は売買することができない」と主張し、「トランプ氏が“一つの中国”政策を放棄した場合は『どうして台湾の平和統一を武力による回復に優先させる必要があるだろうか』として武力統一を選択肢とすることもにおわせた」(産経Web)らしい。中国としても気が気ではないだろう。
 いやはや、お騒がせトランプ劇場はまだまだ続く。
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