サッカー女子W杯で歓喜の優勝から一日半が過ぎました。私は、当日朝、いつもの時間に起きて、延長戦とPK戦を見ただけだったので、やや控え目に祝福します。決して期待していなかったわけではありませんし、成熟したマーケットで勝つのが難しい男子とは違うなどと野暮なことを言うつもりもありません。やはり世界の頂点に立つのは大変な快挙です。
そんなわけで、今回は印象に残った場外戦を三つばかり取り上げます。
一つは、今回のように文句なしに誇らしいことでも、「世界がなでしこを賞賛」(産経新聞)と、ことさらに世間の評価を気にするところが、如何にも日本らしいと思いました。決勝戦で敵となったアメリカからは、「“絶対に負けない”精神を象徴するゴールだった。それはまた、今年初めの破壊的な地震から立ち直りつつある日本の姿勢をも示した」(ニューヨーク・タイムズ)、「復興の過程にある国民にとっては、特に感動的な優勝」(ウォールストリート・ジャーナル)と賛辞を送られて感激し、開催地ドイツからは、「まるで包丁を手にした『スシ・マイスター』のようだ」(南ドイツ新聞・電子版)、「日本選手は(震災という)悲しい来歴だけではなく、すばらしいプレーでも観客を感動させたのだ」(フランクフルター・アルゲマイネ紙・電子版)とお褒めの言葉を頂戴して酔いしれます。サッカー熱が東南アジア随一とされるベトナムのインターネット新聞ザンチでは、「おめでとう日本。あなたたちはアジアの誇りだ」「地震、原発事故と大災害に見舞われながら、日本女子は運に頼らず奇跡を成し遂げた」などの読者コメントが掲載されて、同じアジア人としての共感に涙し、同じアジアでも最近はすっかり冷え切ったライバル意識ばかりが目立つ中国からも、各種ポータルで日本の優勝を「アジア勢初の快挙」「粘り強さが世界を征服した」「日本チームはまるで女子サッカー界の(スペインの名門チーム)FCバルセロナだった」などと褒められて嬉しいはずはなく、韓国の聯合ニュースが「日本は男女含め、FIFAが主管する成人のワールドカップサッカー大会で頂点を極めた初めてのアジア国家という栄誉もあわせて享受した」と報じているのを見つけてあらためて喜びを噛み締めるといった具合いです。辺境文明ゆえの性でしょうか。
二つ目は、帰国早々の日本代表メンバーの表敬を受けた菅総理が、主将の沢選手に「うまくまとめ上げるのはプロの力量。私も今から勉強するのは間に合いませんが、そういうところを学びたい」と語りかけたのに対し、沢選手は「スタッフやチームメート、応援してくれた皆さんのおかげ」と笑顔で応じたそうで、微笑ましい光景でした。表敬後、記者団に「チームが一丸となり、最後まで諦めないプレーを全面的に出せたのが良かった」と語った沢選手は、記者団から「首相に何かアドバイスを」と問われて「ないです」と微笑んだと、朝日新聞は報じています。素直で良いお返事でした。それに引き替え、午前中の衆院予算委員会で、小池百合子委員から「なでしこジャパン」が優勝したことの感想を求められた菅総理は、「諦めない気持ちが全国民、被災者に本当の勇気を与えた」と称賛したまではよかったのですが、「私もやるべきことがある限り、諦めないで頑張る」と語ったのは、相変わらず空気が読めなくて諦めが悪い。
三つ目は、蓮舫がインターネット上で「なでしこJapan優勝!!すごいです」と発言したところ、かつてスポーツ振興基金やスポーツ助成事業などスポーツ予算を仕分けした彼女からは言われたくない、白々しいと、ブーイングの嵐だったという話です。事業仕分け自体がパフォーマンスとして民主党のおじさんたちに利用されて、踊らされた蓮舫が気の毒なくらいですが、そうは言っても、やはり政治家たるもの、フィロソフィーなき事業仕分けの猿芝居にはやすやすと乗っかるべきではなかった。なにしろ、小惑星探査機「はやぶさ」にせよ、スーパーコンピューターの性能ランキングで世界第一位を獲得した「京」にせよ、今回のW杯優勝にせよ、結果論とは言え、日本人の勇気と元気の素となったことが、ことごとく事業仕分けの対象だったというのは、やはり考えさせられます。無駄は無駄でも、国民の意識を高揚し文化の華を咲かせる無駄は大いに称揚するのが政治家の器量だろうと思います。
そんなわけで、今回は印象に残った場外戦を三つばかり取り上げます。
一つは、今回のように文句なしに誇らしいことでも、「世界がなでしこを賞賛」(産経新聞)と、ことさらに世間の評価を気にするところが、如何にも日本らしいと思いました。決勝戦で敵となったアメリカからは、「“絶対に負けない”精神を象徴するゴールだった。それはまた、今年初めの破壊的な地震から立ち直りつつある日本の姿勢をも示した」(ニューヨーク・タイムズ)、「復興の過程にある国民にとっては、特に感動的な優勝」(ウォールストリート・ジャーナル)と賛辞を送られて感激し、開催地ドイツからは、「まるで包丁を手にした『スシ・マイスター』のようだ」(南ドイツ新聞・電子版)、「日本選手は(震災という)悲しい来歴だけではなく、すばらしいプレーでも観客を感動させたのだ」(フランクフルター・アルゲマイネ紙・電子版)とお褒めの言葉を頂戴して酔いしれます。サッカー熱が東南アジア随一とされるベトナムのインターネット新聞ザンチでは、「おめでとう日本。あなたたちはアジアの誇りだ」「地震、原発事故と大災害に見舞われながら、日本女子は運に頼らず奇跡を成し遂げた」などの読者コメントが掲載されて、同じアジア人としての共感に涙し、同じアジアでも最近はすっかり冷え切ったライバル意識ばかりが目立つ中国からも、各種ポータルで日本の優勝を「アジア勢初の快挙」「粘り強さが世界を征服した」「日本チームはまるで女子サッカー界の(スペインの名門チーム)FCバルセロナだった」などと褒められて嬉しいはずはなく、韓国の聯合ニュースが「日本は男女含め、FIFAが主管する成人のワールドカップサッカー大会で頂点を極めた初めてのアジア国家という栄誉もあわせて享受した」と報じているのを見つけてあらためて喜びを噛み締めるといった具合いです。辺境文明ゆえの性でしょうか。
二つ目は、帰国早々の日本代表メンバーの表敬を受けた菅総理が、主将の沢選手に「うまくまとめ上げるのはプロの力量。私も今から勉強するのは間に合いませんが、そういうところを学びたい」と語りかけたのに対し、沢選手は「スタッフやチームメート、応援してくれた皆さんのおかげ」と笑顔で応じたそうで、微笑ましい光景でした。表敬後、記者団に「チームが一丸となり、最後まで諦めないプレーを全面的に出せたのが良かった」と語った沢選手は、記者団から「首相に何かアドバイスを」と問われて「ないです」と微笑んだと、朝日新聞は報じています。素直で良いお返事でした。それに引き替え、午前中の衆院予算委員会で、小池百合子委員から「なでしこジャパン」が優勝したことの感想を求められた菅総理は、「諦めない気持ちが全国民、被災者に本当の勇気を与えた」と称賛したまではよかったのですが、「私もやるべきことがある限り、諦めないで頑張る」と語ったのは、相変わらず空気が読めなくて諦めが悪い。
三つ目は、蓮舫がインターネット上で「なでしこJapan優勝!!すごいです」と発言したところ、かつてスポーツ振興基金やスポーツ助成事業などスポーツ予算を仕分けした彼女からは言われたくない、白々しいと、ブーイングの嵐だったという話です。事業仕分け自体がパフォーマンスとして民主党のおじさんたちに利用されて、踊らされた蓮舫が気の毒なくらいですが、そうは言っても、やはり政治家たるもの、フィロソフィーなき事業仕分けの猿芝居にはやすやすと乗っかるべきではなかった。なにしろ、小惑星探査機「はやぶさ」にせよ、スーパーコンピューターの性能ランキングで世界第一位を獲得した「京」にせよ、今回のW杯優勝にせよ、結果論とは言え、日本人の勇気と元気の素となったことが、ことごとく事業仕分けの対象だったというのは、やはり考えさせられます。無駄は無駄でも、国民の意識を高揚し文化の華を咲かせる無駄は大いに称揚するのが政治家の器量だろうと思います。
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