その後、エンゼルスの大谷翔平は、打者として3試合連続本塁打を放ち、ちょっと鳥肌が立って、ブログに書こうと思い立ったが、ぐっと踏みとどまって、投手としての次の試合内容を見てからでも遅くはないだろうと見守っていたら、なんと7回一死まで走者を1人も許さない完全投球という圧巻の内容で2勝目を挙げて、こりゃ出来過ぎだと、却って二刀流のどこが凄いのか凄くないのか、冷静に考え直すキッカケになった。
ネットを検索していると、エモやんこと野球評論家・江本孟紀氏のインタビュー記事が引っ掛かった。日米で投打二刀流への期待が高まっているが、との問いかけに対して、「期待しているのはファンとメディアだけ。プロ野球を経験した人は、そうやって大谷を見ていません」と突き放す。へええ・・・。「中6日で登板し、その合間にDHで出場することが二刀流なら、基準が低過ぎる」と言う。じゃあ二刀流の成功基準をどこに置くのかというと、「1シーズンを通して先発ローテーションを守って20勝、さらに野手として全試合出場して、本塁打王もしくは首位打者などのタイトルを取ったとき」だと実に厳しい。確かに投手として中4日が当たり前のメジャーで中6日で登板しても、メジャーの規定投球回162イニングに達するのは難しいし、登板の前後を休みにすれば、打者として規定打席502打席に到達するのも難しい。「大谷が素晴らしい仕事をしても、規定投球回、規定打席に足りてなければ防御率も打率も参考記録です。ましてや、一流選手の証である1シーズン200イニングも無理」というわけだ。
日本のリトルリーグや中学・高校野球で投手と言えば、だいたい野球センスに優れていて、エースで4番というパターンが多いものだ(巨人の応援歌にもあるように)。かつて巨人の堀内もよく打ったし、阪神の江夏もよく打った(いずれも投手で名球会入り)。PL学園出身の桑田もバッターとしてのセンスが光っていた。実際、プロになって投手から打者に転向した選手は多く、古くは王さんだって、最近ではイチローだって、高校時代は投手として鳴らしたものだ。言い方は悪いが、中途半端で、という意味は規定投球回や規定打席に達しなくて、投手としてあるいは打者として、瞬間風速で通用する選手は、過去にもいたかも知れないし、今だって結構いるかも知れない。それこそ50打席程度なら夢の4割だってキープできるのだから(今日時点で日ハムの近藤は55打席44打数19安打で4割3分2厘の成績)。そしてベーブ・ルースも、実は二刀流ではなく、レッドソックスに入団した当初は投手として試合に出て本塁打を放ち(当時はDHがなかったから)、ヤンキースに移籍した後は打者専門になったらしい。そういう意味で、シーズンを通して、規定投球回を投げてなお、また規定打席に達してなお、成績を残すことにこそ価値がある、という江本さんの意見には一理あるように思う。
念のため、江本さんの名誉のために申し添えると、江本さんも、大谷が打者としても投手としても才能が超一流であることは認めておられ、打者としては松井秀喜以上、投手としてはダルビッシュ有に匹敵する選手になれる可能性があると言われるが、二刀流を続ける限りはこの二人の選手を超えることはないと、これまたつれない発言である。確かにそういうものかも知れない。
2年ほど前、週刊朝日の記事で、西武の元エースで監督経験もある東尾修さんは、二刀流を否定しないものの、強弱をつけなければ、双方のパフォーマンスに影響を与えてしまう、と言われる。先ずは「投手」に軸足をしっかり乗せるべきで、その上で「野手」として出場する試合を吟味していくべきだとも述べておられる。両方を追いかければ、練習や試合で何倍もの負荷がかかり、ハードな練習を重ねれば、十分な休養が必要で時間を奪われ、投手として休むべきときに野手として試合に出ていたら、回復にも影響する・・・野球人として一流の結果を残された方の見方として説得力がある。
更に5年前の週間朝日の記事では、かつて日本のオールスター戦で9者連続奪三振(通算では15者連続奪三振)の偉業を成し遂げた江夏さんは(因みに江川さんは8者まで連続三振を奪いながら9者目に当てられて大記録をフイにした・・・江川さんらしい 笑)、「大谷は打っても投げても大したもん。ただ現実問題として、ずっと二刀流はできない。いずれは自分で決めないとね」と語っておられ、通算206勝、シーズン401奪三振、最優秀救援投手5回などの日本記録をもつ江夏さんの言葉は、やはり重いと思う。
・・・というわけで、大谷のメジャーでの活躍を楽しみにしつつも、記憶に残るだけではなく、記録を残すことにも期待する野球ファンとしては、浮かれることなく冷静に見守って行くことにしたのだった。
ネットを検索していると、エモやんこと野球評論家・江本孟紀氏のインタビュー記事が引っ掛かった。日米で投打二刀流への期待が高まっているが、との問いかけに対して、「期待しているのはファンとメディアだけ。プロ野球を経験した人は、そうやって大谷を見ていません」と突き放す。へええ・・・。「中6日で登板し、その合間にDHで出場することが二刀流なら、基準が低過ぎる」と言う。じゃあ二刀流の成功基準をどこに置くのかというと、「1シーズンを通して先発ローテーションを守って20勝、さらに野手として全試合出場して、本塁打王もしくは首位打者などのタイトルを取ったとき」だと実に厳しい。確かに投手として中4日が当たり前のメジャーで中6日で登板しても、メジャーの規定投球回162イニングに達するのは難しいし、登板の前後を休みにすれば、打者として規定打席502打席に到達するのも難しい。「大谷が素晴らしい仕事をしても、規定投球回、規定打席に足りてなければ防御率も打率も参考記録です。ましてや、一流選手の証である1シーズン200イニングも無理」というわけだ。
日本のリトルリーグや中学・高校野球で投手と言えば、だいたい野球センスに優れていて、エースで4番というパターンが多いものだ(巨人の応援歌にもあるように)。かつて巨人の堀内もよく打ったし、阪神の江夏もよく打った(いずれも投手で名球会入り)。PL学園出身の桑田もバッターとしてのセンスが光っていた。実際、プロになって投手から打者に転向した選手は多く、古くは王さんだって、最近ではイチローだって、高校時代は投手として鳴らしたものだ。言い方は悪いが、中途半端で、という意味は規定投球回や規定打席に達しなくて、投手としてあるいは打者として、瞬間風速で通用する選手は、過去にもいたかも知れないし、今だって結構いるかも知れない。それこそ50打席程度なら夢の4割だってキープできるのだから(今日時点で日ハムの近藤は55打席44打数19安打で4割3分2厘の成績)。そしてベーブ・ルースも、実は二刀流ではなく、レッドソックスに入団した当初は投手として試合に出て本塁打を放ち(当時はDHがなかったから)、ヤンキースに移籍した後は打者専門になったらしい。そういう意味で、シーズンを通して、規定投球回を投げてなお、また規定打席に達してなお、成績を残すことにこそ価値がある、という江本さんの意見には一理あるように思う。
念のため、江本さんの名誉のために申し添えると、江本さんも、大谷が打者としても投手としても才能が超一流であることは認めておられ、打者としては松井秀喜以上、投手としてはダルビッシュ有に匹敵する選手になれる可能性があると言われるが、二刀流を続ける限りはこの二人の選手を超えることはないと、これまたつれない発言である。確かにそういうものかも知れない。
2年ほど前、週刊朝日の記事で、西武の元エースで監督経験もある東尾修さんは、二刀流を否定しないものの、強弱をつけなければ、双方のパフォーマンスに影響を与えてしまう、と言われる。先ずは「投手」に軸足をしっかり乗せるべきで、その上で「野手」として出場する試合を吟味していくべきだとも述べておられる。両方を追いかければ、練習や試合で何倍もの負荷がかかり、ハードな練習を重ねれば、十分な休養が必要で時間を奪われ、投手として休むべきときに野手として試合に出ていたら、回復にも影響する・・・野球人として一流の結果を残された方の見方として説得力がある。
更に5年前の週間朝日の記事では、かつて日本のオールスター戦で9者連続奪三振(通算では15者連続奪三振)の偉業を成し遂げた江夏さんは(因みに江川さんは8者まで連続三振を奪いながら9者目に当てられて大記録をフイにした・・・江川さんらしい 笑)、「大谷は打っても投げても大したもん。ただ現実問題として、ずっと二刀流はできない。いずれは自分で決めないとね」と語っておられ、通算206勝、シーズン401奪三振、最優秀救援投手5回などの日本記録をもつ江夏さんの言葉は、やはり重いと思う。
・・・というわけで、大谷のメジャーでの活躍を楽しみにしつつも、記憶に残るだけではなく、記録を残すことにも期待する野球ファンとしては、浮かれることなく冷静に見守って行くことにしたのだった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます