金曜日の朝、切なかった話。
朝は、そうちゃんと手をつないで集団登校するのが日課です。
金曜日、いつものように歩いていたら、
歩道の途中で、この春幼稚園に入ったらしき小さな子どもとそのお父さんが、バスを待っていました。
そうちゃん、普段の登校ルートに突然現れたその親子にびっくりしたのか、急にテンションが上がり、そのお父さんを蹴ろうとしてしまいました。
とっさにギュッと手を引っ張って止めたので、足が相手に当たることはなかったのだけど。
「すみませんでした。ごめんなさい。」と相手の方に謝りました。
その方は、離れてからも、じっとそうちゃんのことを見続けていました。
私は信号待ち間中、その方の視線を気にしながら、そうちゃんに「蹴ったらいけません」と怖い顔をして何度も言いました。
ところがこれは、実のところ、そうちゃんにとって有効ではありません。
案の定そうちゃんは余計にテンションが上がり、ゲラゲラ笑いながら、「おとうさん、けったよぉ?おとうさんけっていかんよぉ?」と言い始めてしまいました。
…大変説明が難しいのですが、
そうちゃんが人を蹴るのは、大人にかまって欲しい時か、いつもと違う状況にプチパニックになった時です。
だから、子どもに対して手や足を出すことは、ほぼありません。
今回のように大人の人に突然足が出ることは、以前はかなりありました。
「いけません」「ダメ」を言って叱らないと、周囲は納得しづらいのですが、
実は「いけません」を言うことは、そうちゃんにとって、「かまってもらえた」、つまり「得る物があった」になってしまうのです。
得る物がある以上、この方法(叱る)は、行動(蹴ること)をエスカレートさせる結果にしかつながりません。
例えばこの時、蹴ろうとした相手のところへそうちゃんを連れていき、そうちゃんを叱って「ごめんなさい」と言わせようとすると、そうちゃんにはその流れ全てがインプットされてしまい、
翌日から、蹴る→「ごめんなさい」を笑いながら言う、という行動を取り続けるでしょう。
そして、そのうち大人だけでなく子どもも蹴る子になってしまうかもしれない。
これまでいろんな方法をやってきて、一番有効な方法は「未然に防ぐ」、起きた場合は「なかったことにする」そしていいパターンを摺りこむ、であるとわかってきました。
もちろん親は誠実に謝ります。そして次が起こらないように最善の注意を払います。
これは経験によるものでもあるし、専門家からのアドバイスもありました。
さて、金曜日のことに戻ります。
そうちゃんと私が横断歩道を渡り終えるところまで、相手のお父さんはそうちゃんを見続けていました。
視線が痛く辛かったけど、その人も突然のことに驚き、可愛い娘さんに対して危害を及ばされないかと危惧されているのかもしれない、と思いました。
そうちゃんを学校に送った後、家に向かう途中に、まだその父娘がおられたので、勇気をふるって声を掛けました。
「先ほどは、息子が足が出てしまって、申し訳ありませんでした。」
そのお父さんはこう言われました。
「失礼ですが、普通の子ですか?」
私は胸が苦しくなりながら、一生懸命説明しました。
「障害があります。自閉症です。スーツを着た男の人に気持ちがパッと興奮してしまって、足が出てしまったんだと思います。子供に対して危害を加えることはないんですけど、大人の男の人に対して、そういう行動が出ることがあって…。半年ほど、そういうことはなかったんですけど、今日はそちらの姿が目に飛び込んできたみたいで、一時的に興奮してしまったみたいです。すみません。今後このようなことのないように気をつけますので。」
相手の方は、まっすぐこちらを見てうなずきながら聞いてくれ、
「わかりました。わざわざありがとうございました。」と丁寧に言ってくださいました。
ホッとした気持ちと、表しがたい切なさで、その後、涙がいっぱいにあふれてきてしまいました。
障害があります。
普通の子じゃないんです。
ご迷惑をおかけしてすみませんでした。
説明し、理解してもらうこと。
まっすぐに、悪いことは謝罪すること。
…障害のあるそうちゃんを、育てること。
いろんなことが、波のように自分を覆って。
形容しがたい、たくさんの涙が出ました。
夜になってやっと夫に話し、
私の取った行動を肯定してもらって、少し飲み込めました。
伝わりにくいかもしれないと思いながら、
でも発信する必要があるのではないかと思い、
ここに書いてみました。
まだまだ弱い私。
ひとつひとつ、こんなことも涙と共に乗り越えて、そうちゃんと一緒に成長していくのかな。
朝は、そうちゃんと手をつないで集団登校するのが日課です。
金曜日、いつものように歩いていたら、
歩道の途中で、この春幼稚園に入ったらしき小さな子どもとそのお父さんが、バスを待っていました。
そうちゃん、普段の登校ルートに突然現れたその親子にびっくりしたのか、急にテンションが上がり、そのお父さんを蹴ろうとしてしまいました。
とっさにギュッと手を引っ張って止めたので、足が相手に当たることはなかったのだけど。
「すみませんでした。ごめんなさい。」と相手の方に謝りました。
その方は、離れてからも、じっとそうちゃんのことを見続けていました。
私は信号待ち間中、その方の視線を気にしながら、そうちゃんに「蹴ったらいけません」と怖い顔をして何度も言いました。
ところがこれは、実のところ、そうちゃんにとって有効ではありません。
案の定そうちゃんは余計にテンションが上がり、ゲラゲラ笑いながら、「おとうさん、けったよぉ?おとうさんけっていかんよぉ?」と言い始めてしまいました。
…大変説明が難しいのですが、
そうちゃんが人を蹴るのは、大人にかまって欲しい時か、いつもと違う状況にプチパニックになった時です。
だから、子どもに対して手や足を出すことは、ほぼありません。
今回のように大人の人に突然足が出ることは、以前はかなりありました。
「いけません」「ダメ」を言って叱らないと、周囲は納得しづらいのですが、
実は「いけません」を言うことは、そうちゃんにとって、「かまってもらえた」、つまり「得る物があった」になってしまうのです。
得る物がある以上、この方法(叱る)は、行動(蹴ること)をエスカレートさせる結果にしかつながりません。
例えばこの時、蹴ろうとした相手のところへそうちゃんを連れていき、そうちゃんを叱って「ごめんなさい」と言わせようとすると、そうちゃんにはその流れ全てがインプットされてしまい、
翌日から、蹴る→「ごめんなさい」を笑いながら言う、という行動を取り続けるでしょう。
そして、そのうち大人だけでなく子どもも蹴る子になってしまうかもしれない。
これまでいろんな方法をやってきて、一番有効な方法は「未然に防ぐ」、起きた場合は「なかったことにする」そしていいパターンを摺りこむ、であるとわかってきました。
もちろん親は誠実に謝ります。そして次が起こらないように最善の注意を払います。
これは経験によるものでもあるし、専門家からのアドバイスもありました。
さて、金曜日のことに戻ります。
そうちゃんと私が横断歩道を渡り終えるところまで、相手のお父さんはそうちゃんを見続けていました。
視線が痛く辛かったけど、その人も突然のことに驚き、可愛い娘さんに対して危害を及ばされないかと危惧されているのかもしれない、と思いました。
そうちゃんを学校に送った後、家に向かう途中に、まだその父娘がおられたので、勇気をふるって声を掛けました。
「先ほどは、息子が足が出てしまって、申し訳ありませんでした。」
そのお父さんはこう言われました。
「失礼ですが、普通の子ですか?」
私は胸が苦しくなりながら、一生懸命説明しました。
「障害があります。自閉症です。スーツを着た男の人に気持ちがパッと興奮してしまって、足が出てしまったんだと思います。子供に対して危害を加えることはないんですけど、大人の男の人に対して、そういう行動が出ることがあって…。半年ほど、そういうことはなかったんですけど、今日はそちらの姿が目に飛び込んできたみたいで、一時的に興奮してしまったみたいです。すみません。今後このようなことのないように気をつけますので。」
相手の方は、まっすぐこちらを見てうなずきながら聞いてくれ、
「わかりました。わざわざありがとうございました。」と丁寧に言ってくださいました。
ホッとした気持ちと、表しがたい切なさで、その後、涙がいっぱいにあふれてきてしまいました。
障害があります。
普通の子じゃないんです。
ご迷惑をおかけしてすみませんでした。
説明し、理解してもらうこと。
まっすぐに、悪いことは謝罪すること。
…障害のあるそうちゃんを、育てること。
いろんなことが、波のように自分を覆って。
形容しがたい、たくさんの涙が出ました。
夜になってやっと夫に話し、
私の取った行動を肯定してもらって、少し飲み込めました。
伝わりにくいかもしれないと思いながら、
でも発信する必要があるのではないかと思い、
ここに書いてみました。
まだまだ弱い私。
ひとつひとつ、こんなことも涙と共に乗り越えて、そうちゃんと一緒に成長していくのかな。