2012.12.12 : 福井県議会平成24年原子力発電・防災対策特別委員会
さとう正雄議員の質疑内容を紹介します。
■活断層と敦賀原発
◯佐藤委員 活断層の上に原発はつくることができないということは間違いないか。
◯原子力安全対策課長 原子力施設の耐震安全性にかかわる国の基準の中に、施設を置く地盤は、十分な支持性能があることというのと、活断層と言われている今後地震を起こしそうな断層には置かないという基準、考え方が定められているのは事実である。
◯佐藤委員 そうすると、今回、原子力規制委員会の評価会合で、敦賀2号機の下にあるものは破砕帯、活断層だということになれば、原発としては成り立たないという認識でいいのか。
◯原子力安全対策課長 10日の評価会合で議論された内容には、今回の調査の基であるD-1と言われている破砕帯の評価と、今回10日に議論された中身というのはまだはっきりしていないところがあって、D-1が活断層として考えられるのかというところまで科学的には証明されていない形なので、昨日、日本原子力発電も質問書を出している。
10日の議論では新しく見つかった地層のずれが問題になっているが、そういう物の見方が今後整理されなければ、そういう問題点が解明されないのではないかと考えている。
◯佐藤委員 聞いたのは日本原子力発電の反論の話ではなくて、有識者会合としては活断層だと認定、結論を出したわけだから、さっきの基準に照らせば、原発としては成り立たないのではないか。
◯原子力安全対策課長 活断層が地表面上に見られたところには置かないという正式な表現は、重要な施設、建物、構築物について設置することは想定していないというのが正確な表現である。
この考え方、記述も、今回の指針の改定作業の中でいろいろ議論されているところではあるが、現状においては想定していないということは今後どう判断されるのか、そこになるかと思う。
◯佐藤委員 当然、その耐震性がどうのこうのという議論はあるが、それ以前の問題として、建っているところが開いたり、上下に何メートルもずれたりすれば、そもそも建物としては成り立たない。アメリカなんかでは活断層法というのをつくって、活断層から何百メートル以内は原発はだめだと厳格に運用している。ところが、日本の原子力行政は割といいかげんなことをやってきたもので、こんなにたくさん活断層がある日本でどんどん原発をつくって、今こういう問題が起こっているという点では、国の原子力行政の大きな失敗というか、問題があると思う。
部長はきのうの厚生常任委員会で十分な科学的根拠に基づいてデータ的に基準を示してほしいと答弁したとのことだが、今回の原子力規制委員会の調査について、科学的ではない部分があるのか、どの点が不十分なのか、活断層だということになれば、原発は認められないという一つの基準になるのではないかと思うのだが、別の見解はあるか。
◯安全環境部長 12月10日に行われた評価と1日、2日の調査について、4人の委員が原子力規制委員会から出た指示で、事業者が行った調査結果を見て、意見を述べ、いきなりその後に取りまとめられた。事業者は全く議論に参加していないということで、その議論等についてどういう根拠で判断したのかは、説明がほとんどなかったというのが印象であった。本来、科学的に進めることであれば、当然いろいろな疑問を含めて、さまざまな意見がある中でこういう判断をしていくというのがオープンにされるべきである。それが科学的な進め方と思うし、科学的根拠が示されたのかの議論については、会議においてはよくわからなかった。
また、活断層については、いわゆる浦底断層の議論なのか、そこの横につながっている破砕帯の議論なのか、その辺をまぜて話しをされている感じもあって、どちらのことを話しているのか、また今回の基準を見直した新しい基準で話をしているのか等についてもはっきりしない。さまざまな点がはっきりしないと理解をしたところである。
◯佐藤委員 現場を見ていないので何とも言えない面があるが、専門家が、大飯原発のときも、例えば活断層の可能性は否定できないということでは全員一致したわけである。ただ、それが崩れたものなのかどうかという点で議論がある。今回の場合は、そういうその意見の分かれ道というのはなかったわけで、とにかく調査した専門家がある意味では一致して活断層の疑いを指摘したと思うのである。だから、新しい基準がどうなるかは別として、古い基準でも認められないということが一つの判断だと思うが、違うのか。
◯安全環境部長 大飯原発の最初の議論のときにも各委員がF6という破砕帯のことを話しているのか、海岸のほうで見つかったずれのことを話しているのか、よく整理されないままに1回目は議論がされていた印象を受けた。そうしたところ、2回目に、そのF6そのものの議論に立ち戻って、結論は結局出なかった。こういう結果だったと思っている。
敦賀原発についても、浦底断層の話をしているのか、破砕帯の話なのか、はっきりしなかったような感がある。その辺については、事業者もよくわからなかったのだと思うが、公開質問状を出しているので、その議論もどうなるか、県としては見ていきたい。
◯佐藤委員 有識者会合の中では、真下にあるのは浦底断層ではなくて破砕帯のことを議論していると認識しているが、それは連動している可能性があるからだめだ、危険だという判断だと思っているが、それとあわせて、その敷地内にある浦底断層は、1,000年に1度程度活動するA級であり、動けばマグニチュード7.8、濃尾地震のマグニチュード8ぐらいに匹敵する大きな地震が起こる。だから、仮にそれが真下になくても、そういう巨大断層が走っているところに、原子力施設があっていいものか議論になったとマスコミでは報道されている。
何か真下にさえ断層がなければいいのだというような発想が、これまで政府、原子力安全・保安院にもあったと思うが、真下になくても近くにあったら、やはりおかしいのではないかという議論にようやく日本でもなってきた。アメリカではずっと前からなっているが、アメリカ並みの厳しさが求められていると思わないか。
◯安全環境部長 アメリカの方がどうかということについては、答えられないが、その辺を国がどう扱うのかというのは、全く見えないところである。
真下という話については、私の印象であるけれども、D-1を議論していたと思うと、突然D0とか、D-1ダッシュとか、そのあたりの帯とか、群とか、そういうような言葉が出てきて、結局それがどこを走っているのか、真下なのかどうかということは特段説明なしに議論されて取りまとめられたという印象である。
◯佐藤委員 日本原子力発電は質問しているが、福井県としてはどうするのか。以前はこういう重要な局面で、原子力安全・保安院の時代には県、議会に説明をしていた。今回のようなこういう重大な問題が起こっているときに、当然、県も説明を受けるのか。
◯安全環境部長 昨日、厚生常任委員会でも答弁したが、まずは国のほうで、どういう科学的根拠に基づいて判断したのかを示してもらうというのが先である。今後のことについては、まずそれが示されることが先である。
■廃炉作業と雇用
◯佐藤委員 雇用の問題は大事な問題だと思うが、嶺南だけではなく、嶺北でもルネサスの追加リストラが報道されているように、どこも大変であるので対応を願いたい。関連で言うと、以前、一般質問をしたが、静岡県へ委員会視察で行ったときに、浜岡原発は全部とまっているが、その雇用はどうであるかと聞いたときに、影響はないという答えだった。理由には2つあり、1つには、解体工事を廃炉と決めてもうやっている。もう一つは、防災対策で、防潮堤をつくっている。その2つの工事でそんなに雇用が減っていることはないということだった。福井県の場合は、防災対策はやっており、少し遅いと思っているが、仮に原発がとまったままであっても、使用済み核燃料がある以上は、やはりきちんと防潮堤つくるとかいろんな対策工事はやってもらわなければいけない。それから敦賀1号、美浜1号の40年を超えた炉については、いろいろ議論にはなるだろうが、一応40年がルールということに沿っていけば、廃炉ということは遅かれ早かれ決まってくるわけだから、もっと県がイニシアティブを発揮して、廃炉になるのなら廃炉産業で雇用を生み出すとか、思い切っためり張りをつけないと、とまったまま、ずっとだらだらだらだらというのが一番悪いと思うがどうか。
◯産業労働部長 廃炉については私がこの段階で答えられるものではないが、原子力関連ビジネスというものを、エネルギー研究開発拠点化計画も含めてやっていくということであると思う。
それと、事業者がいろいろな前倒しの工事を発注していくとか、先ほど土木部の話であったいろいろな公共事業をこれから発注していくということで、そういう需要をどうやって代替していくかが、現実の雇用とか県内の活性化の上では大変重要だと認識しているし、それを進めていくよう努力したい。
◯佐藤委員 めり張りをつけて、きちんと工事を出してもらいたい。新しい会社はそう来るわけではないのだから、防災工事なら防災工事、廃炉なら廃炉ということで、とりあえずはそういうことで雇用を生むことが必要だと思う。あと、エネルギー研究開発拠点化計画の中でやると言うが、先の説明では、廃炉とかが一つも書かれていないが、どこかに書いてあるのか。
◯電源地域振興課長 先ほど説明した25年度の推進方針に、原発事故、あるいは廃止措置に対応する技術開発の推進をあげている。福島事故であるとか、あるいは今後の廃止に向けた作業に入っていく前段として、レーザーであるとか、パワーアシストスーツ、あるいは防護服といったような、こういったものの機能がきちっと上がるように、技術開発を、まずは中心となる企業と、それからそれに協力する企業という形で県内企業も巻き込んで、県内で製造するような形を今後進めていく。
そのためには、まずこの技術開発を進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 では、それによりいつごろから雇用が生まれてくることになるのか。
◯電源地域振興課長 この研究は、実用化に向けておおむね2年から3年ぐらいかかる。実用化になれば、関連する企業も参入してくることも考えられるし、それに伴った雇用も生まれてくると考えている。
◯佐藤委員 雇用の獲得目標が余りはっきりしていない。石川委員が言われる状況が嶺南にはあるわけだから、もう少しめり張りをつけて、雇用を生み出すためにどうするかということを、知事なりがリーダーシップをとってやるべきだというのはそのとおりだと思う。
■原子力防災
◯佐藤委員 原子力防災計画の関係だが、国は来年3月が計画の策定期限と言っていたのが、マスコミ報道によると、金子原子力防災課長は3月は一つの目安で期限ではないと説明して、越前市などから批判が出されたということである。私はこれまで全国で唯一、大飯原発の稼働している福井県こそ率先してきちんとした見直し、内部議論をやらないと、住民は安心できないではないかということを指摘をしてきたのであるが、これは一体どういう見通しなのか。国もずるずる、県もなかなかこれ進まないとなると、住民はどうなるのか。
◯危機対策監 まず、今の原子力の防災対策については、原子力防災指針はできたが、その中に今まで我々が地域防災計画をつくるにあたって絶対に必要だということで要請をしてきた避難、屋内退避の基準、安定ヨウ素剤、スクリーニングについての基準等も示されていないので、我々としてはそういったものを早く出してもらいたいということで、地域防災計画を十分つくれない状況になっているということが一つある。
そうした中で、金子課長が来たときに確認をしたのは、国として地域防災計画をつくるのに絶対に必要なものを出さないで3月18日といっているが、それは期限なのかと聞いたところ、それは期限ではなく一つの目安だという回答であった。
ただ、そういう中で、我々としては県として何を最優先にやるべきか、また何をやるべきか。今言われたように、原発の周辺には住民がいるわけだから、何を最優先にしてやり、何をやれる、やるべきことかということを判断して、早急に詰めていくべきと考えている。
半島の5キロメートルの一番近いところに住民への対策が最優先されるだろうということで、どのように避難させるかという具体的な避難計画を、これから自衛隊や海上保安庁等との協議を進め、支援も得ながらつくりたいということで進めている。
◯佐藤委員 その辺が大事だと思うのである。しかし、福島原発事故を受けて、国が考えた30キロメートル圏等との整合性はどうなるのか。例えばこういう会議は越前市とかほかの自治体からも担当者も来られていたと思うが、越前市民も不安になると思うが、整合性はどう考えているか。まず5キロメートルをやるのか、ではあとはどうするのか。
◯危機対策監 まず5キロメートル圏は、一番近くて被害も大きくなるから最優先である。何から手をつけるかという、これは仕事の手順の話になるが、その5キロメートル圏については、即避難ということは決まっているので、それをもとに作業ができるのでやっていくというのが一つである。
今、その5キロメートル圏の外については、防護措置というのを幾つも想定をしなければいけない。30キロメートル圏で即避難ではないので、屋内退避、コンクリート退避、避難も段階的に避難するということなのでどういう基準になるのかということが重要であるし、安定ヨウ素剤について福井ではどんな基準でやるのか。そこが全く示されていないので、5キロメートル圏から外の話を具体的に検討するというのは、まだ我々としてもできない状態である。だからまずできる5キロメートル圏をやる。それがまず最優先だということでやっている。
その後の作業の手順としては、その外の計画をつくることについては、当然一番最初にその5キロメートル圏の人がまだ放射性物質が出る前の段階で避難をするということになるので、その5キロメートル圏の計画をしっかりつくっておけば、それをもとに次の広い範囲の計画も、基準等が出てくれば整合性をきちんと図りながら、実効性のある計画がつくれるという考え方で作業を進めている。
◯佐藤委員 この間東北で大きな余震があった。NHKも民放も強い口調で直ちに逃げろ、3.11を思い出し直ちに逃げろと繰り返しテレビでアナウンスした結果、自家用車で逃げる人が多く、途端に渋滞になって大きな問題になった。県の計画も、基本は自家用車で避難するということだが、このような事態になったということについてどのように分析し、今後の福井県の計画にはどのように生かされるのか。
◯危機対策監 委員からも話があったように、避難の方法については、我々も非常に重要な問題であると考えている。確かにその暫定措置を決めたとき、自家用避難と書いた。
自家用避難はやはり認めないというわけにはいかないと考えているが、渋滞が起きるとか、どこに行ったかという確認をどうするのかとか、いろいろな課題があろうと思っている。
先ほど5キロメートル圏の計画と言ったが、各半島部に原発はあるので、海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊と海上保安庁の強力な支援も得ながら、あらゆる避難手段で住民を避難させていく。その中で、自家用避難というのを全く認めないということではなく、考えていかなければいけないと考えているが、いろいろな問題もあるので、ではどういう場合にどういうルールで、どういう形で認めるのか、どうやるのかというようなことについては、これから5キロメートル圏の避難計画を考えていく中でも検討していかなければいけない課題であると考えている。
◯佐藤委員 これからであると言うが、そうなったときには5キロメートル圏内の人だけが逃げ出すわけではない。それは7キロメートル圏内だろうが、10キロメートル圏内だろうが、20キロメートル圏内だろうが、大変なことになったと逃げる人はいっぱいいるはずだ。そういうことも考えてやらないと、きれいに5キロメートル圏内の人だけが移動するということにはならない場面も出てくると思うので、考慮に入れておいてほしい。
安定ヨウ素剤のことも言われたが、原子力規制委員会の話でも、原子力規制庁の話でも、なるべく早く飲んだほうがいいこということが改めて打ち出された。前々から言っているように、一番いいのはフランスとかスイスなんかでもやっているように、5キロメートル圏内はあらかじめ家に配っておくというのが一番妥当性があると思う。しかし、いきなりできないのであれば、なるべく重複して配備することなどは、そんなに予算もかからないし、進められることだがどのように考えているか。
◯地域医療課長 安定ヨウ剤の配備については、二州・若狭健康福祉センターでの備蓄に加えて、市町での備蓄についても暫定措置でやっていくという方向で考えている。
安定ヨウ剤については、今、当初予算でも認めてもらっているので、備蓄の拡充について準備を行っているところである。
◯佐藤委員 準備をしているというのは、年度内にその予算は執行されるのか。
◯地域医療課長 年度内に動くように準備を進めたいと思っている。
さとう正雄議員の質疑内容を紹介します。
■活断層と敦賀原発
◯佐藤委員 活断層の上に原発はつくることができないということは間違いないか。
◯原子力安全対策課長 原子力施設の耐震安全性にかかわる国の基準の中に、施設を置く地盤は、十分な支持性能があることというのと、活断層と言われている今後地震を起こしそうな断層には置かないという基準、考え方が定められているのは事実である。
◯佐藤委員 そうすると、今回、原子力規制委員会の評価会合で、敦賀2号機の下にあるものは破砕帯、活断層だということになれば、原発としては成り立たないという認識でいいのか。
◯原子力安全対策課長 10日の評価会合で議論された内容には、今回の調査の基であるD-1と言われている破砕帯の評価と、今回10日に議論された中身というのはまだはっきりしていないところがあって、D-1が活断層として考えられるのかというところまで科学的には証明されていない形なので、昨日、日本原子力発電も質問書を出している。
10日の議論では新しく見つかった地層のずれが問題になっているが、そういう物の見方が今後整理されなければ、そういう問題点が解明されないのではないかと考えている。
◯佐藤委員 聞いたのは日本原子力発電の反論の話ではなくて、有識者会合としては活断層だと認定、結論を出したわけだから、さっきの基準に照らせば、原発としては成り立たないのではないか。
◯原子力安全対策課長 活断層が地表面上に見られたところには置かないという正式な表現は、重要な施設、建物、構築物について設置することは想定していないというのが正確な表現である。
この考え方、記述も、今回の指針の改定作業の中でいろいろ議論されているところではあるが、現状においては想定していないということは今後どう判断されるのか、そこになるかと思う。
◯佐藤委員 当然、その耐震性がどうのこうのという議論はあるが、それ以前の問題として、建っているところが開いたり、上下に何メートルもずれたりすれば、そもそも建物としては成り立たない。アメリカなんかでは活断層法というのをつくって、活断層から何百メートル以内は原発はだめだと厳格に運用している。ところが、日本の原子力行政は割といいかげんなことをやってきたもので、こんなにたくさん活断層がある日本でどんどん原発をつくって、今こういう問題が起こっているという点では、国の原子力行政の大きな失敗というか、問題があると思う。
部長はきのうの厚生常任委員会で十分な科学的根拠に基づいてデータ的に基準を示してほしいと答弁したとのことだが、今回の原子力規制委員会の調査について、科学的ではない部分があるのか、どの点が不十分なのか、活断層だということになれば、原発は認められないという一つの基準になるのではないかと思うのだが、別の見解はあるか。
◯安全環境部長 12月10日に行われた評価と1日、2日の調査について、4人の委員が原子力規制委員会から出た指示で、事業者が行った調査結果を見て、意見を述べ、いきなりその後に取りまとめられた。事業者は全く議論に参加していないということで、その議論等についてどういう根拠で判断したのかは、説明がほとんどなかったというのが印象であった。本来、科学的に進めることであれば、当然いろいろな疑問を含めて、さまざまな意見がある中でこういう判断をしていくというのがオープンにされるべきである。それが科学的な進め方と思うし、科学的根拠が示されたのかの議論については、会議においてはよくわからなかった。
また、活断層については、いわゆる浦底断層の議論なのか、そこの横につながっている破砕帯の議論なのか、その辺をまぜて話しをされている感じもあって、どちらのことを話しているのか、また今回の基準を見直した新しい基準で話をしているのか等についてもはっきりしない。さまざまな点がはっきりしないと理解をしたところである。
◯佐藤委員 現場を見ていないので何とも言えない面があるが、専門家が、大飯原発のときも、例えば活断層の可能性は否定できないということでは全員一致したわけである。ただ、それが崩れたものなのかどうかという点で議論がある。今回の場合は、そういうその意見の分かれ道というのはなかったわけで、とにかく調査した専門家がある意味では一致して活断層の疑いを指摘したと思うのである。だから、新しい基準がどうなるかは別として、古い基準でも認められないということが一つの判断だと思うが、違うのか。
◯安全環境部長 大飯原発の最初の議論のときにも各委員がF6という破砕帯のことを話しているのか、海岸のほうで見つかったずれのことを話しているのか、よく整理されないままに1回目は議論がされていた印象を受けた。そうしたところ、2回目に、そのF6そのものの議論に立ち戻って、結論は結局出なかった。こういう結果だったと思っている。
敦賀原発についても、浦底断層の話をしているのか、破砕帯の話なのか、はっきりしなかったような感がある。その辺については、事業者もよくわからなかったのだと思うが、公開質問状を出しているので、その議論もどうなるか、県としては見ていきたい。
◯佐藤委員 有識者会合の中では、真下にあるのは浦底断層ではなくて破砕帯のことを議論していると認識しているが、それは連動している可能性があるからだめだ、危険だという判断だと思っているが、それとあわせて、その敷地内にある浦底断層は、1,000年に1度程度活動するA級であり、動けばマグニチュード7.8、濃尾地震のマグニチュード8ぐらいに匹敵する大きな地震が起こる。だから、仮にそれが真下になくても、そういう巨大断層が走っているところに、原子力施設があっていいものか議論になったとマスコミでは報道されている。
何か真下にさえ断層がなければいいのだというような発想が、これまで政府、原子力安全・保安院にもあったと思うが、真下になくても近くにあったら、やはりおかしいのではないかという議論にようやく日本でもなってきた。アメリカではずっと前からなっているが、アメリカ並みの厳しさが求められていると思わないか。
◯安全環境部長 アメリカの方がどうかということについては、答えられないが、その辺を国がどう扱うのかというのは、全く見えないところである。
真下という話については、私の印象であるけれども、D-1を議論していたと思うと、突然D0とか、D-1ダッシュとか、そのあたりの帯とか、群とか、そういうような言葉が出てきて、結局それがどこを走っているのか、真下なのかどうかということは特段説明なしに議論されて取りまとめられたという印象である。
◯佐藤委員 日本原子力発電は質問しているが、福井県としてはどうするのか。以前はこういう重要な局面で、原子力安全・保安院の時代には県、議会に説明をしていた。今回のようなこういう重大な問題が起こっているときに、当然、県も説明を受けるのか。
◯安全環境部長 昨日、厚生常任委員会でも答弁したが、まずは国のほうで、どういう科学的根拠に基づいて判断したのかを示してもらうというのが先である。今後のことについては、まずそれが示されることが先である。
■廃炉作業と雇用
◯佐藤委員 雇用の問題は大事な問題だと思うが、嶺南だけではなく、嶺北でもルネサスの追加リストラが報道されているように、どこも大変であるので対応を願いたい。関連で言うと、以前、一般質問をしたが、静岡県へ委員会視察で行ったときに、浜岡原発は全部とまっているが、その雇用はどうであるかと聞いたときに、影響はないという答えだった。理由には2つあり、1つには、解体工事を廃炉と決めてもうやっている。もう一つは、防災対策で、防潮堤をつくっている。その2つの工事でそんなに雇用が減っていることはないということだった。福井県の場合は、防災対策はやっており、少し遅いと思っているが、仮に原発がとまったままであっても、使用済み核燃料がある以上は、やはりきちんと防潮堤つくるとかいろんな対策工事はやってもらわなければいけない。それから敦賀1号、美浜1号の40年を超えた炉については、いろいろ議論にはなるだろうが、一応40年がルールということに沿っていけば、廃炉ということは遅かれ早かれ決まってくるわけだから、もっと県がイニシアティブを発揮して、廃炉になるのなら廃炉産業で雇用を生み出すとか、思い切っためり張りをつけないと、とまったまま、ずっとだらだらだらだらというのが一番悪いと思うがどうか。
◯産業労働部長 廃炉については私がこの段階で答えられるものではないが、原子力関連ビジネスというものを、エネルギー研究開発拠点化計画も含めてやっていくということであると思う。
それと、事業者がいろいろな前倒しの工事を発注していくとか、先ほど土木部の話であったいろいろな公共事業をこれから発注していくということで、そういう需要をどうやって代替していくかが、現実の雇用とか県内の活性化の上では大変重要だと認識しているし、それを進めていくよう努力したい。
◯佐藤委員 めり張りをつけて、きちんと工事を出してもらいたい。新しい会社はそう来るわけではないのだから、防災工事なら防災工事、廃炉なら廃炉ということで、とりあえずはそういうことで雇用を生むことが必要だと思う。あと、エネルギー研究開発拠点化計画の中でやると言うが、先の説明では、廃炉とかが一つも書かれていないが、どこかに書いてあるのか。
◯電源地域振興課長 先ほど説明した25年度の推進方針に、原発事故、あるいは廃止措置に対応する技術開発の推進をあげている。福島事故であるとか、あるいは今後の廃止に向けた作業に入っていく前段として、レーザーであるとか、パワーアシストスーツ、あるいは防護服といったような、こういったものの機能がきちっと上がるように、技術開発を、まずは中心となる企業と、それからそれに協力する企業という形で県内企業も巻き込んで、県内で製造するような形を今後進めていく。
そのためには、まずこの技術開発を進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 では、それによりいつごろから雇用が生まれてくることになるのか。
◯電源地域振興課長 この研究は、実用化に向けておおむね2年から3年ぐらいかかる。実用化になれば、関連する企業も参入してくることも考えられるし、それに伴った雇用も生まれてくると考えている。
◯佐藤委員 雇用の獲得目標が余りはっきりしていない。石川委員が言われる状況が嶺南にはあるわけだから、もう少しめり張りをつけて、雇用を生み出すためにどうするかということを、知事なりがリーダーシップをとってやるべきだというのはそのとおりだと思う。
■原子力防災
◯佐藤委員 原子力防災計画の関係だが、国は来年3月が計画の策定期限と言っていたのが、マスコミ報道によると、金子原子力防災課長は3月は一つの目安で期限ではないと説明して、越前市などから批判が出されたということである。私はこれまで全国で唯一、大飯原発の稼働している福井県こそ率先してきちんとした見直し、内部議論をやらないと、住民は安心できないではないかということを指摘をしてきたのであるが、これは一体どういう見通しなのか。国もずるずる、県もなかなかこれ進まないとなると、住民はどうなるのか。
◯危機対策監 まず、今の原子力の防災対策については、原子力防災指針はできたが、その中に今まで我々が地域防災計画をつくるにあたって絶対に必要だということで要請をしてきた避難、屋内退避の基準、安定ヨウ素剤、スクリーニングについての基準等も示されていないので、我々としてはそういったものを早く出してもらいたいということで、地域防災計画を十分つくれない状況になっているということが一つある。
そうした中で、金子課長が来たときに確認をしたのは、国として地域防災計画をつくるのに絶対に必要なものを出さないで3月18日といっているが、それは期限なのかと聞いたところ、それは期限ではなく一つの目安だという回答であった。
ただ、そういう中で、我々としては県として何を最優先にやるべきか、また何をやるべきか。今言われたように、原発の周辺には住民がいるわけだから、何を最優先にしてやり、何をやれる、やるべきことかということを判断して、早急に詰めていくべきと考えている。
半島の5キロメートルの一番近いところに住民への対策が最優先されるだろうということで、どのように避難させるかという具体的な避難計画を、これから自衛隊や海上保安庁等との協議を進め、支援も得ながらつくりたいということで進めている。
◯佐藤委員 その辺が大事だと思うのである。しかし、福島原発事故を受けて、国が考えた30キロメートル圏等との整合性はどうなるのか。例えばこういう会議は越前市とかほかの自治体からも担当者も来られていたと思うが、越前市民も不安になると思うが、整合性はどう考えているか。まず5キロメートルをやるのか、ではあとはどうするのか。
◯危機対策監 まず5キロメートル圏は、一番近くて被害も大きくなるから最優先である。何から手をつけるかという、これは仕事の手順の話になるが、その5キロメートル圏については、即避難ということは決まっているので、それをもとに作業ができるのでやっていくというのが一つである。
今、その5キロメートル圏の外については、防護措置というのを幾つも想定をしなければいけない。30キロメートル圏で即避難ではないので、屋内退避、コンクリート退避、避難も段階的に避難するということなのでどういう基準になるのかということが重要であるし、安定ヨウ素剤について福井ではどんな基準でやるのか。そこが全く示されていないので、5キロメートル圏から外の話を具体的に検討するというのは、まだ我々としてもできない状態である。だからまずできる5キロメートル圏をやる。それがまず最優先だということでやっている。
その後の作業の手順としては、その外の計画をつくることについては、当然一番最初にその5キロメートル圏の人がまだ放射性物質が出る前の段階で避難をするということになるので、その5キロメートル圏の計画をしっかりつくっておけば、それをもとに次の広い範囲の計画も、基準等が出てくれば整合性をきちんと図りながら、実効性のある計画がつくれるという考え方で作業を進めている。
◯佐藤委員 この間東北で大きな余震があった。NHKも民放も強い口調で直ちに逃げろ、3.11を思い出し直ちに逃げろと繰り返しテレビでアナウンスした結果、自家用車で逃げる人が多く、途端に渋滞になって大きな問題になった。県の計画も、基本は自家用車で避難するということだが、このような事態になったということについてどのように分析し、今後の福井県の計画にはどのように生かされるのか。
◯危機対策監 委員からも話があったように、避難の方法については、我々も非常に重要な問題であると考えている。確かにその暫定措置を決めたとき、自家用避難と書いた。
自家用避難はやはり認めないというわけにはいかないと考えているが、渋滞が起きるとか、どこに行ったかという確認をどうするのかとか、いろいろな課題があろうと思っている。
先ほど5キロメートル圏の計画と言ったが、各半島部に原発はあるので、海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊と海上保安庁の強力な支援も得ながら、あらゆる避難手段で住民を避難させていく。その中で、自家用避難というのを全く認めないということではなく、考えていかなければいけないと考えているが、いろいろな問題もあるので、ではどういう場合にどういうルールで、どういう形で認めるのか、どうやるのかというようなことについては、これから5キロメートル圏の避難計画を考えていく中でも検討していかなければいけない課題であると考えている。
◯佐藤委員 これからであると言うが、そうなったときには5キロメートル圏内の人だけが逃げ出すわけではない。それは7キロメートル圏内だろうが、10キロメートル圏内だろうが、20キロメートル圏内だろうが、大変なことになったと逃げる人はいっぱいいるはずだ。そういうことも考えてやらないと、きれいに5キロメートル圏内の人だけが移動するということにはならない場面も出てくると思うので、考慮に入れておいてほしい。
安定ヨウ素剤のことも言われたが、原子力規制委員会の話でも、原子力規制庁の話でも、なるべく早く飲んだほうがいいこということが改めて打ち出された。前々から言っているように、一番いいのはフランスとかスイスなんかでもやっているように、5キロメートル圏内はあらかじめ家に配っておくというのが一番妥当性があると思う。しかし、いきなりできないのであれば、なるべく重複して配備することなどは、そんなに予算もかからないし、進められることだがどのように考えているか。
◯地域医療課長 安定ヨウ剤の配備については、二州・若狭健康福祉センターでの備蓄に加えて、市町での備蓄についても暫定措置でやっていくという方向で考えている。
安定ヨウ剤については、今、当初予算でも認めてもらっているので、備蓄の拡充について準備を行っているところである。
◯佐藤委員 準備をしているというのは、年度内にその予算は執行されるのか。
◯地域医療課長 年度内に動くように準備を進めたいと思っている。