2014年3月県議会 警察関係での佐藤正雄県議の質疑。
■公安委員会等手数料徴収条例の改正について、福井県留置施設視察委員会条例の一部改正について
◯佐藤委員 第48号議案の公安委員会等手数料徴収条例の改正について、今回の消費税増税分を含む改正なのかを確認したい。
また、先日の一般質問において、県庁の一般会計では手数料に係る消費税を年間約5,000万円収納しているが、これを国には納税していないとの答弁があった。県警察の手数料に消費税は上乗せされていると思うが、国への納税はどうなっているのか。県と同じ扱いならば同じ扱いで結構だが、伺う。
◯警務部長 1点目であるが、この条例の改正の理由は2つあり、1つは消費税増税に伴うものであり、これは地方公共団体の手数料の標準に関する政令において、消費税増税に伴って駐車監視員の資格者講習の受講手数料が値上げされるためである。
もう一つは、消費税とは直接関係ないが、昨年、道路交通法が改正され、てんかん等により免許の取り消し処分を受けた者が、一定期間の後、てんかん等が治った場合には、また免許を取得できることとなった。その際、技能試験や学科試験は免除されるが、適性試験の手数料を定めるものである。
したがって、前者が消費税増税に関連し、後者は消費税には関係なく道路交通法の改正に伴うものである。
2点目については、県の歳入として県と警察は同様の取り扱いとなっているので、国に消費税は払っていない。
◯佐藤委員 また、第53号議案の福井県留置施設視察委員会条例の一部改正について、この留置施設視察委員会は具体的にどのような仕事をしており、この4名の委員はどのような方がなっているのか伺う。
◯警務部長 留置施設視察委員会については、刑事収容施設法の中で規定があり、留置施設の視察や留置施設の運営に対する意見を述べてもらっている。委員は医療関係者代表として医師、女性代表、法律専門家の代表として弁護士、それから地域代表の4名である。
◯佐藤委員 この委員会の活動は、どのような形で県民に公表されているか。
◯警務部長 留置施設の運営に対する意見をもらい、改善すべきものは改善しているし、ホームページで公表している。
■職員給与費の削減
◯佐藤委員 補正予算には職員給与費の削減が入っていると思うが、警察で総額幾らの給与費を削減したのか。また、資料では地方債が5億円となっているが、給与の財源を改めて伺う。
◯警務部長 1点目については、補正予算の給与費の減は9億4,700万円で、このうち昨年7月からの給与カットに基づくものは4億9,000万円である。
2点目については、退職手当債である。
■免許証の返納者に料金割引や配送サービスを実施する企業にメリットを
◯佐藤委員 平成25年度と平成26年度の当初予算を比べると、交通取締活動費をふやし、交通安全施設費を減らしているが、これは逆であるべきではないか。取り締まりの強化も大事だが、まず信号機など必要なものを整備しないで取り締まりだけ強化してもだめである。しかも、えちぜん鉄道と福井鉄道の乗り入れのシステムの新規予算約1億円が入っている。今のままでは地元要望に応えられなくなるのが明らかではないか。
◯交通部長 交通取締活動費については、国費も関係し、速度自動取締機、いわゆるオービスの更新を警察庁から認めてもらえたので、その更新のためにふえている。
それから、平成27年度にえちぜん鉄道と福井鉄道の相互乗り入れの実施に当たり、路面電車の定時性の確保と、それに伴うフェニックス通りの従道路の交通渋滞防止のための信号制御機の高度化も含め、1億円近く予算を計上した。
◯佐藤委員 そこで1億円ふえているのに、なぜ交通安全施設費を去年より2億円も減らすのか聞いている。逆に1億円ふえて当然ではないか。
◯会計課長 交通安全施設費については、対前年度2億6,900万円の減額になっているけれども、平成25年度は交通管制システムのオープン化事業の予算が3億8,000万円ほどついていた。この事業が終了した影響によるものである。
◯佐藤委員 今の説明ですっきりしたが、実際は信号機等の地元要望は強いのだから、事業終了により減額するのではなく、ぜひ予算を減らさずにキープしてほしい。路面電車のシステムなどは、直接は県警察の責任だけれども、これは県の事業分だから別枠であると主張して、交通安全施設整備の予算はしっかりと確保してほしい。これは要望である。
◯佐藤委員 ストップ交通死亡事故対策事業では、免許証の返納者に料金割引や配送サービスを実施する企業を充実するということであり、これは非常に大事だと思うが、実施する企業に何かメリットはあるのか。
○交通部長 今のところメリットは特にない。
◯佐藤委員 交通死亡事故対策のため、よい事業の実施に対して企業に協力してもらうべきである。警察の関係で頼まれれば企業も嫌とは言えないが、今具体的な提案はできないが、意欲的に企業が参加できるようにメリットをつくれば、これからふえる免許返納者に対するサービスにつながる。県警本部だけではなく県庁全体として事業を推進してほしいが、その辺はどうか。
◯交通部長 委員指摘の点についても、県の関係部局と連携しながら考えていきたいと思うし、このストップ交通死亡事故対策事業では、一般企業の従業員に安全運転をしてもらうため、その従業員にも参加してもらい交通事故防止関係のチャレンジなど各警察署で検討しながら実施している。それらを含めて、運転手の安全運転意識が向上し、また会社全体も損害がなくなるような方向に持っていくために、取り組んでいきたい。
■県警不祥事問題について
◯佐藤委員 小浜警察署も大事なので、ぜひ新築してほしい。
冒頭で県警本部長からも謝罪があったが、最近、不祥事案が何件か続いているけれども、発生した事案と発生した時期との関係、要因は何かあるのか。
◯警務部長 今年度発覚した不祥事の発生時期については、まず情報漏えい事案が平成19年、福井南署における窃盗事案が平成21年、今般窃盗で逮捕した事案が平成24年、それから、昨年11月に恐喝で逮捕した事案は平成25年であるので、特にある年に集中しているわけではない。したがって、発生した時期が原因ではないと思う。
◯佐藤委員 最近急に問題が起こったのではなくて、平成19年の時期からいろいろな問題が起こっていたという認識か。
◯警務部長 そういうことである。
◯佐藤委員 今年度、不祥事案が何件か出てきたけれども、福井県警察の土壌というか風土の問題までよく分析しないと、この案件一つ一つだけを対応しているだけでは問題は解決しないのではないか。その辺のどう対応するのか。
◯警務部長 案件一つ一つの内容や原因、背景がそれぞれ異なっているので、各事案に対してきちんと対策していくべきだし、そのつもりでやっている。
共通して言えることは、やはり警察職員としての自覚が足りなかったと言える。警察職員がこのような犯行をした場合、一般人が犯行するよりははるかに社会的な反響が大きいため、共通項として警察職員の自覚を改めて持つように指導、教養を徹底している。
◯佐藤委員 しかし、それだけでは県民の理解は得にくいと思う。窃盗ということは盗みであり、同僚の財布からお金を抜き取った、このようななことは、警察職員でなくても、子供でもしてはいけないと親からしつけされる。そのようなレベルの問題が起こったのだから、やはり、その人の育ち方の問題なのか、警察学校での指導の問題なのか、それとも、ストレスや職場環境、職場のストレス等で嫌がらせをしたのかを確認して、その問題を解決しなければ、再発を防ぐことができないのではないか。
◯警察本部長 不祥事については、代表質問に対して答弁し、今の説明したとおり、それぞれ時期や犯行の対応、犯行した者の年齢など多種多様であり、それぞれ再発防止のための具体的な個別の対策に既に取り組んでいるし、今後とも強力に取り組んでいく。また、全般的な問題については、今、警務部長も答弁したように職責の自覚の問題等を含めて、二度とこういうことを起こさせないため、具体的なものから総体的なものも含めて対策を強化していきたいと考えている。1つの問題としては、監察体制にも不十分な点があったという問題も去年発覚しているので、新年度には、再発防止とあわせて個々の事案にも厳正に対処し、その問題の発生原因等を細かく分析して、その上での効果的な対策をとれるよう監察部門を強化して、二度とこういった事案が起きないように対策を講じていきたい。
◯佐藤委員 監察の強化は当然だと思うが、一方では、監察の限界もあると思う。監察規則には通常業務に支障がないようにとの規定があるため、いろいろな問題を監察サイドが調査する場合に、おのずと監察の仕事をセーブする可能性がある。だから、監察が最優先だということでなければ難しいのではないか。これは、全国一律の規則だから、県警察だけの責任ではなく、福井県だけその規則を変えるわけにはいかないが、そういう問題もあるのではないか。
◯首席監察官 通常の仕事と監察の仕事には非常に課題があるが、原則的には通常業務に支障を与えてはならないことと、警察改革以降、求められている透明性の確保や自浄機能の強化、これは国民や県民の負託もあると思うが、その辺のバランスをうまくとりながら、このような非違事案の防止を目指している。
議員からいろいろな意見ももらうが、先ほど吉田委員から提案があった武道の振興などもそうだが、例えば犯人と対峙するときに、気力や技量が十分に高ければ相手に大きなダメージを与えることなく犯人を逮捕できるなど、さまざまな能力を高めることによって、県民の誤解を生じない中で警察の活動をスムーズに行うことができるので、トータルで物事を考えていくことも大事であると思う。
それから、監察部門の職員も常に忘れてはいけないと思っているけれども、基本中の基本は、最終的には県民の目線で判断することだと思う。今後とも監察部門としては非違事案の防止に取り組んでいきたいと考えている。
◯佐藤委員 今、監察部門の責任者からの答弁があったが、先ほど言ったように、平成12年に制定された監察に関する規則に、必要な限度を超えて関係者の業務に支障を及ぼさないように注意することとある。監察が悪かったからと、監察の強化を幾ら言われても、監察サイドとしては、この規定が仕事の足かせになって、どうしてもやりにくい状況が起こってこないかを心配している。
◯首席監察官 監察の仕事のために通常の業務に影響を与えるかどうかについては、うまくバランスをとり、例えば、監察と刑事部、監察と交通部、監察と生活安全部と、関係部門との連携をよく図りながら事案に的確に対処していきたいと現時点では考えている。
◯佐藤委員 監察だけの責任にするのはおかしく、警察全体の責任であると思う。だから、職場環境として職員のストレスが過多であり、病気で休む人がふえている。そのような問題をずっと県議会でも指摘しているが、警察における職場環境の改善、またストレスなど精神疾患で休む職員の増加傾向など、その辺の統計及び対応はどのようになっているのか。
◯警務部長 県警察として、30日以上の長期休業者のデータを使っている。心の健康不調による長期休業者は、今年度は累計で17名である。昨年度は18名である。平成23年度は17名である。
◯佐藤委員 この3年だけ見ると横ばいだろうが、ふえている傾向なのか、減っている傾向なのか。問題意識としてはないのか、あるのか。
◯警務部長 ふえているということではなく、ほぼ一定である。
現在、県警察の対策としては、心の不調は早期発見、早期治療が重要と考えており、パソコンで設問に答えていくと自動的にどのようなストレスがあるのかを判定するメンタルヘルスの支援システムを導入している。年2回ほどの判定で問題があれば、精神保健相談員との相談や病院に行くよう指導している。
◯佐藤委員 そのことはぜひお願いしたい。
それで、例えば、同僚の財布からお金を窃盗した、不正なソフトを他人のパソコンに勝手にインストールした案件が起こったときに、厳正に処分しなかったことが問題との報告もあったと思う。なぜ起こったかについては、やはり警察内部において不正に対して甘い状況がなかったかという点、また、今後起こさないために、監察は当然大事であるが、監察任せでなく警察全体でしっかりと対応していくことが非常に大事だと思うが、その辺はどうか。
◯警察本部長 非違事案の原因として業務上の問題もあるので、業務に関する部門が必要な改善策を検討してシステムを改めていくことは当然である。まずは、非違事案をきっかけに監察部門が立ち上がって分析等をするけれども、例えば去年の場合だと、照会のシステムの関係の不備については、監察部門とそれを所管する部門が連携して必要な業務改善をしている。今後とも事案に応じて必要となる対策があれば、その対策を打つべき当該部門がほかの部門と連携しながら、必要な対策をとり、業務上の非違事案等も起こさないように万全を期していきたい。
◯佐藤委員 多くの警察官はまじめに仕事をしているが、こういうことが次々に起こると、これらの警察官が仕事をしにくくなる。だから、そのような案件が起こったときにはきちんと対応するよう再度要望する。
■原子力防災
◯佐藤委員 先日、原子力発電所の事故のときの避難関係について、県警察同士で対策会議のようなものを開催したとの報道があったが、具体的にどのような想定でどの程度まで相談が進んでいるのか、また、県が策定している原子力の地域防災計画との関係はどうか。
◯警備部長 先般、敦賀市で福井県警と関係する6府県の警察の関係者が一堂に会して初めての原子力防災に関する会議を開催した。国を含めて県でも原子力防災の範囲であるUPZなどが新たな方向性として示され、本県を想定すると原子力発電所から30キロ圏内のUPZが本県を超えて県外に及ぶことに加え、県からUPZに伴う県外避難における受け入れ先の府県も示された現状がある。そこで、県警察本部としても県と連携をしながら、その広域避難に向けた対策を検討している中で、本県における事故の発生を想定した場合に他県に受け入れてもらうので、その他県の警察が所要の対応をする必要性が出てくる。その場合に、本県の実情と他県の現状及び実情の情報共有をまずやっておくことが警察の責務として必要であるため、警察独自に関係府県との協議を持つことになった。
◯佐藤委員 原発事故を想定すると当然福井県だけの話ではないが、その焦点は何になるのか。避難道路の選定、パニック防止策など、いろいろな課題はあると思うが、その辺はどうか。
◯警備部長 テーマはいろいろと出てくると想定しているが、避難する場合のモニタリングのポイント、避難路としてどのコースを通るか、それらが明確に示されていない現状にある。そのような中だが、警察として交通を確保し避難誘導を円滑に進めていく責任があるので、本県だけの意識で発言してもこの問題は前になかなか進まないが、他府県との合同の協議の場等において、他県の現状も警察として独自に把握した上で、それを関係機関と協議する中において幾多の問題が円滑に進んでいくように配意する、そういう視点から始めた。
◯佐藤委員 県は大野市や奈良県など県内、県外含めていろいろな避難先を指定した。それに対して、例えば担当する奈良県警察と相談すると思うが、今後のスケジュールはどうか。
◯警備部長 第1回目で関係府県の担当者を中心に集めて、それぞれの現状認識を持ったところであるが、第2回の会合の具体的な開催予定は決定できなかった。その理由は、行政や国も含めて避難計画の策定がさらに進むことによって、その具体的な課題が見えてくる状況であるので、避難計画の状況を把握しながら、課題が見えた段階、あるいはその少し前の段階で、その関係府県警察がまた集まり、各府県の現状などを再度把握した上で、その計画案について警察として対応の可能性を含め検討の上で、建設的な提言や助言、意見をしていきたいと考えている。次回の開催予定は、今のところ未定である。
◯佐藤委員 わかった。県警察自体として原子力災害の備え、例えば防護服の配備やヨウ素剤の備蓄の数の状況はどうか。答えられる範囲で結構である。
◯警備部長 防護服については、嶺南地域の2つの警察署及び嶺南機動隊に必要数はある。ヨウ素剤については、管理する場合の医師の配置等の条件があり、現状で警察署における管理はできないので、県と連携して管轄する健康福祉センターなどに必要数を用意するよう協議を進めている。
◯佐藤委員 原子力発電所から5キロ圏内は各戸に配るという話もあるけれども、嶺南地域など、いざというときに出動する警察官の分ぐらいはヨウ素剤を警察署で管理することなどもぜひ考えていただきたいと要望しておく。