2014年3月19日 3月福井県議会本会議 佐藤議員の反対討論です。
知事提案の議案にはほかの会派は全員賛成でしたが、賛成討論する議員はいませんでした。
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
第1号議案 平成26年度一般会計予算初め、12号、13号、16号、17号、18号、19号、20号、21号、26号、28号、32号、35号、36号、38号、39号、40号、43号、48号の各予算案並びに議案は、消費税5%から8%への増税を県民に転嫁するものであり、反対であります。
県内各市町では、坂井市、越前市、敦賀市などなど、使用料、手数料などで住民負担転嫁の抑制を図るところも少なくない中で、財政力の大きい県庁が県民負担増大を考慮することなく丸ごと転嫁することは許されません。
県議会審議の中でも、増税分は社会保障に使われる云々の答弁がありました。これは詭弁であります。政府は、消費税率が8%になる2014年度の税収増の合計を約5兆円と見込んでいます。また、昨年10月の経済財政諮問会議では、14年度に消費増税分から社会保障制度の充実に充てる予算額は5,000億円になるとの試算を示しています。つまり、社会保障充実のために使われるのはごく一部で、年金や生活保護費は逆に削減され、医療費の負担はふやされます。介護保険も従来の利用者の保険外しが計画されています。消費税、物価上昇、年金の特例水準解消とマクロスライド、介護保険料値上げで五重苦で内需冷え込みは必至という状況であり、地に足をつけた県民生活と中小企業を防衛する積極的な施策こそ求められています。
また、私も質疑で指摘しましたように、福井県は一般会計分の消費税約5,000万円を県民から徴収し続けながら、1円たりとも国に納税してきておりません。8%なら約8,000万円になるでしょう。消費税法上そういう仕組みであるのであれば、なぜ県内のほかの市町のように、せめて使用料などを据え置く対応がとれないのでしょうか。冷たい福井県政であります。
さらに、一般会計予算案は、不要不急の新幹線建設や足羽川ダム、高規格道路などの大型公共事業推進、原発推進の国際原子力人材育成センター予算、福井県農業の破壊につながりかねない農地中間管理事業、受験競争を加熱させかねない中高一貫設置事業、福井駅前の再開発支援、国民総背番号のためのシステム設備費などの予算が含まれており、賛成できません。
次に、38号議案は、野外恐竜博物館の観覧料を新設し、一般1,200円、高校生1,000円などとするものでありますが、少なくない観光客入場者が本館とセットで見学することなどを考慮すれば、割引料金設定などを行うべきであります。子供たちの夢を育む施設として、また観光誘客のためにも引き下げを求めておきます。
40号議案は、若狭歴史民俗資料館のリニューアルに乗じて観覧料を3倍に引き上げるものであり、反対です。
42号議案は、土地改良事業分担金徴収条例の改定で、これまでは国、県、市町の負担で行ってきたスキームに、100ヘクタール未満の整備には土地改良区に分担金を求める仕組みをつくるものであり、反対です。今後一層農業収入が厳しくなる見通しの中、結果的に農家負担をふやすことは許されません。
44号議案は、福井県立高志中学校を設置し、中高一貫教育をスタートするものです。これまでも議会審議の中で批判してきましたように、小学校からお受験競争を加熱させることにつながりかねず、特に福井市内の中学各校にも大きな影響が出かねません。
45号議案は、高校授業料無償化を廃止し、再び有償化になることに伴うものであり、反対です。
OECD加盟国の中で授業料が無料でないのは3カ国だけです。日本もまたもとへ戻れば4カ国になるわけですが、将来を担う子供たちに冷たい国に逆戻りする施策は許されません。かかる教育費負担の増大は少子化対策にも逆行であります。
46号議案並びに47号議案は、教職員定数の削減を、高校、義務制合わせて35人削減するものであり、反対です。
今求められているのは、未来の主権者への思い切った投資です。その一つが教育です。正規の教員を減らし、非正規の教員をふやしていくようではいけません。今、教員の残業は、持ち帰りも含めると月に91時間を超え、3割以上の先生が過労死ラインを超えています。これは全国的な数字でありますが、福井県はさらに過酷だとの指摘もあります。労働基準法違反を教員現場に蔓延させ、病気の教員を生み出しているような状況の打開こそ急務です。正規教員の削減ではなく、大幅増こそ求めます。
次に、第93号 平成25年度一般会計補正予算初め、103号、105号、106号、108号、109号、110号、111号、112号の各補正予算案は、巨額の職員人件費削減で、県庁職員、教職員、警察職員の生活を脅かした内容であり、反対です。
121号議案は、農地中間管理機構業務のために6億7,000万円余りの基金をつくるものであり、反対です。
一般質問の際も強調しましたように、農地中間管理機構はそもそもTPP対応の日本最高戦略として位置づけられ、今後10年間で全農地面積の8割が担い手によって利用され、担い手の米の生産コストを、現状、全国平均1万6,000円から4割削減し、法人経営体数を2010年比約4倍の5万法人とすることを目標とし、農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段としていることが大問題です。そのために、効率的な農地利用について、農業者を代表にして公正に審査する行政委員会である農業委員会の役割を制限し、委員資格の変更まで検討されております。そして優良農地において大企業が主体の大規模農業生産法人への農地集中を進め、農村の解体や中山間地の荒廃を進展させかねない危険な内容です。
さらに、農地の出し手に対する協力金の交付とありますが、これについても貸し手がなければ交付されないものであり、農家からすれば田んぼは機構に預けたが金が入ってこないという事態も想定されます。
127号議案は、農林水産支援センターが実施する分収造林事業の県への移管に伴う債権放棄の議案です。
事業に係る貸付金342億円余り、金融機関の債務の引き受けに伴い県が負担する額に係る求償権153億円余りの債権放棄であり、県民に巨額の損害を与えるものです。これだけの重大事案でありながら、造林事業を進めてきた国は何らまともに責任を負わない。国とともに進めてきた知事や県庁幹部も責任をとらない。県内金融機関は利息分放棄だけで実質的な責任は負わない。まさに平成の無責任劇場ではありませんか。
最後に、陳情についての委員長報告に反対の討論を行います。
陳情41号は、過労死等防止基本法の制定を求めるものであり、継続審査ではなく採択すべきであります。
委員会審査の中では国の動きを見ようとなったそうでありますが、全国的に多発する過労死問題について国の法整備を求めるものであるからこそ、国に先駆けて提出する地方議会の意見書の意味が存在するのであり、採択すべきであります。
陳情42号は、労働者保護ルール改悪反対を求める内容であり、不採択ではなく採択すべきです。
委員会審議の中では労使双方にメリットがあるという議論があったそうですが、それは誤解であります。例えば、現在国会で審議中の派遣労働を無期限、無制限に使えるようにする労働者派遣法の改定案では、派遣を固定化し拡大する制度で歯どめもありません。政府の法案では、3年で人を入れかえるなどすれば無期限に派遣できるようになります。専門業務の区分も廃止して、どんな仕事でもずっと派遣に任せられるようになります。派遣労働者をいつまでも使える制度に変えるなら、企業側は、現在の正社員の業務をコストの安い派遣に切りかえていくことは目に見えているではありませんか。企業と労働者の双方のメリットではなく企業のみにメリットがあり、働く人は正社員願望が実現できない不安定就労で低賃金になってしまいます。
私は、日本列島各地で、また福井県内でも、少なくない企業で多くの派遣労働者が派遣切りされ、会社の寮などから追い出されホームレスに陥るなど、まさに若い労働者を物扱いした大事件を忘れることはできないわけです。若い皆さんに絶望する働き方を押しつけていくのではなく、将来に希望が持てる労働法制を整備していくことこそ政治家の責務であり、採択を求めます。
陳情45号は、首長や国の権限を強化する教育委員会制度の改正中止を求めるものであり、不採択ではなく採択すべきであります。
教育委員会の見直しをめぐっては、中教審が教育委員会を首長の附属機関とする案を示し、下村文科相もこれを支持していましたが、公明党や自民党内からも教育委員会の政治的中立性が保てないとの意見が相次いだそうです。
今回、与党が合意した教育委員会制度改革案では、教育政策を盛り込む大綱的方針を首長が総合教育会議を主催して策定するなど、首長と国による支配介入を強める内容です。憲法に基づいて権力から教育の独立性を守るためにつくられた制度の根幹を変える内容であり、かつての軍国主義の反省を一層忘れ去る内容と言わざるを得ません。今、安倍政権のもとで国防軍創設とか憲法改憲と、こういう動きと軌を一にした教育委員会制度への重大な介入は許されないと思います。
以上申し上げまして、討論といたします。
議場の皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。
知事提案の議案にはほかの会派は全員賛成でしたが、賛成討論する議員はいませんでした。
◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
第1号議案 平成26年度一般会計予算初め、12号、13号、16号、17号、18号、19号、20号、21号、26号、28号、32号、35号、36号、38号、39号、40号、43号、48号の各予算案並びに議案は、消費税5%から8%への増税を県民に転嫁するものであり、反対であります。
県内各市町では、坂井市、越前市、敦賀市などなど、使用料、手数料などで住民負担転嫁の抑制を図るところも少なくない中で、財政力の大きい県庁が県民負担増大を考慮することなく丸ごと転嫁することは許されません。
県議会審議の中でも、増税分は社会保障に使われる云々の答弁がありました。これは詭弁であります。政府は、消費税率が8%になる2014年度の税収増の合計を約5兆円と見込んでいます。また、昨年10月の経済財政諮問会議では、14年度に消費増税分から社会保障制度の充実に充てる予算額は5,000億円になるとの試算を示しています。つまり、社会保障充実のために使われるのはごく一部で、年金や生活保護費は逆に削減され、医療費の負担はふやされます。介護保険も従来の利用者の保険外しが計画されています。消費税、物価上昇、年金の特例水準解消とマクロスライド、介護保険料値上げで五重苦で内需冷え込みは必至という状況であり、地に足をつけた県民生活と中小企業を防衛する積極的な施策こそ求められています。
また、私も質疑で指摘しましたように、福井県は一般会計分の消費税約5,000万円を県民から徴収し続けながら、1円たりとも国に納税してきておりません。8%なら約8,000万円になるでしょう。消費税法上そういう仕組みであるのであれば、なぜ県内のほかの市町のように、せめて使用料などを据え置く対応がとれないのでしょうか。冷たい福井県政であります。
さらに、一般会計予算案は、不要不急の新幹線建設や足羽川ダム、高規格道路などの大型公共事業推進、原発推進の国際原子力人材育成センター予算、福井県農業の破壊につながりかねない農地中間管理事業、受験競争を加熱させかねない中高一貫設置事業、福井駅前の再開発支援、国民総背番号のためのシステム設備費などの予算が含まれており、賛成できません。
次に、38号議案は、野外恐竜博物館の観覧料を新設し、一般1,200円、高校生1,000円などとするものでありますが、少なくない観光客入場者が本館とセットで見学することなどを考慮すれば、割引料金設定などを行うべきであります。子供たちの夢を育む施設として、また観光誘客のためにも引き下げを求めておきます。
40号議案は、若狭歴史民俗資料館のリニューアルに乗じて観覧料を3倍に引き上げるものであり、反対です。
42号議案は、土地改良事業分担金徴収条例の改定で、これまでは国、県、市町の負担で行ってきたスキームに、100ヘクタール未満の整備には土地改良区に分担金を求める仕組みをつくるものであり、反対です。今後一層農業収入が厳しくなる見通しの中、結果的に農家負担をふやすことは許されません。
44号議案は、福井県立高志中学校を設置し、中高一貫教育をスタートするものです。これまでも議会審議の中で批判してきましたように、小学校からお受験競争を加熱させることにつながりかねず、特に福井市内の中学各校にも大きな影響が出かねません。
45号議案は、高校授業料無償化を廃止し、再び有償化になることに伴うものであり、反対です。
OECD加盟国の中で授業料が無料でないのは3カ国だけです。日本もまたもとへ戻れば4カ国になるわけですが、将来を担う子供たちに冷たい国に逆戻りする施策は許されません。かかる教育費負担の増大は少子化対策にも逆行であります。
46号議案並びに47号議案は、教職員定数の削減を、高校、義務制合わせて35人削減するものであり、反対です。
今求められているのは、未来の主権者への思い切った投資です。その一つが教育です。正規の教員を減らし、非正規の教員をふやしていくようではいけません。今、教員の残業は、持ち帰りも含めると月に91時間を超え、3割以上の先生が過労死ラインを超えています。これは全国的な数字でありますが、福井県はさらに過酷だとの指摘もあります。労働基準法違反を教員現場に蔓延させ、病気の教員を生み出しているような状況の打開こそ急務です。正規教員の削減ではなく、大幅増こそ求めます。
次に、第93号 平成25年度一般会計補正予算初め、103号、105号、106号、108号、109号、110号、111号、112号の各補正予算案は、巨額の職員人件費削減で、県庁職員、教職員、警察職員の生活を脅かした内容であり、反対です。
121号議案は、農地中間管理機構業務のために6億7,000万円余りの基金をつくるものであり、反対です。
一般質問の際も強調しましたように、農地中間管理機構はそもそもTPP対応の日本最高戦略として位置づけられ、今後10年間で全農地面積の8割が担い手によって利用され、担い手の米の生産コストを、現状、全国平均1万6,000円から4割削減し、法人経営体数を2010年比約4倍の5万法人とすることを目標とし、農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段としていることが大問題です。そのために、効率的な農地利用について、農業者を代表にして公正に審査する行政委員会である農業委員会の役割を制限し、委員資格の変更まで検討されております。そして優良農地において大企業が主体の大規模農業生産法人への農地集中を進め、農村の解体や中山間地の荒廃を進展させかねない危険な内容です。
さらに、農地の出し手に対する協力金の交付とありますが、これについても貸し手がなければ交付されないものであり、農家からすれば田んぼは機構に預けたが金が入ってこないという事態も想定されます。
127号議案は、農林水産支援センターが実施する分収造林事業の県への移管に伴う債権放棄の議案です。
事業に係る貸付金342億円余り、金融機関の債務の引き受けに伴い県が負担する額に係る求償権153億円余りの債権放棄であり、県民に巨額の損害を与えるものです。これだけの重大事案でありながら、造林事業を進めてきた国は何らまともに責任を負わない。国とともに進めてきた知事や県庁幹部も責任をとらない。県内金融機関は利息分放棄だけで実質的な責任は負わない。まさに平成の無責任劇場ではありませんか。
最後に、陳情についての委員長報告に反対の討論を行います。
陳情41号は、過労死等防止基本法の制定を求めるものであり、継続審査ではなく採択すべきであります。
委員会審査の中では国の動きを見ようとなったそうでありますが、全国的に多発する過労死問題について国の法整備を求めるものであるからこそ、国に先駆けて提出する地方議会の意見書の意味が存在するのであり、採択すべきであります。
陳情42号は、労働者保護ルール改悪反対を求める内容であり、不採択ではなく採択すべきです。
委員会審議の中では労使双方にメリットがあるという議論があったそうですが、それは誤解であります。例えば、現在国会で審議中の派遣労働を無期限、無制限に使えるようにする労働者派遣法の改定案では、派遣を固定化し拡大する制度で歯どめもありません。政府の法案では、3年で人を入れかえるなどすれば無期限に派遣できるようになります。専門業務の区分も廃止して、どんな仕事でもずっと派遣に任せられるようになります。派遣労働者をいつまでも使える制度に変えるなら、企業側は、現在の正社員の業務をコストの安い派遣に切りかえていくことは目に見えているではありませんか。企業と労働者の双方のメリットではなく企業のみにメリットがあり、働く人は正社員願望が実現できない不安定就労で低賃金になってしまいます。
私は、日本列島各地で、また福井県内でも、少なくない企業で多くの派遣労働者が派遣切りされ、会社の寮などから追い出されホームレスに陥るなど、まさに若い労働者を物扱いした大事件を忘れることはできないわけです。若い皆さんに絶望する働き方を押しつけていくのではなく、将来に希望が持てる労働法制を整備していくことこそ政治家の責務であり、採択を求めます。
陳情45号は、首長や国の権限を強化する教育委員会制度の改正中止を求めるものであり、不採択ではなく採択すべきであります。
教育委員会の見直しをめぐっては、中教審が教育委員会を首長の附属機関とする案を示し、下村文科相もこれを支持していましたが、公明党や自民党内からも教育委員会の政治的中立性が保てないとの意見が相次いだそうです。
今回、与党が合意した教育委員会制度改革案では、教育政策を盛り込む大綱的方針を首長が総合教育会議を主催して策定するなど、首長と国による支配介入を強める内容です。憲法に基づいて権力から教育の独立性を守るためにつくられた制度の根幹を変える内容であり、かつての軍国主義の反省を一層忘れ去る内容と言わざるを得ません。今、安倍政権のもとで国防軍創設とか憲法改憲と、こういう動きと軌を一にした教育委員会制度への重大な介入は許されないと思います。
以上申し上げまして、討論といたします。
議場の皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。