前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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3月福井県議会本会議 佐藤議員のイカリの反対討論!

2014年06月13日 | 福井県政
2014年3月19日  3月福井県議会本会議 佐藤議員の反対討論です。
知事提案の議案にはほかの会派は全員賛成でしたが、賛成討論する議員はいませんでした。

◯7番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
 第1号議案 平成26年度一般会計予算初め、12号、13号、16号、17号、18号、19号、20号、21号、26号、28号、32号、35号、36号、38号、39号、40号、43号、48号の各予算案並びに議案は、消費税5%から8%への増税を県民に転嫁するものであり、反対であります。
 県内各市町では、坂井市、越前市、敦賀市などなど、使用料、手数料などで住民負担転嫁の抑制を図るところも少なくない中で、財政力の大きい県庁が県民負担増大を考慮することなく丸ごと転嫁することは許されません。
 県議会審議の中でも、増税分は社会保障に使われる云々の答弁がありました。これは詭弁であります。政府は、消費税率が8%になる2014年度の税収増の合計を約5兆円と見込んでいます。また、昨年10月の経済財政諮問会議では、14年度に消費増税分から社会保障制度の充実に充てる予算額は5,000億円になるとの試算を示しています。つまり、社会保障充実のために使われるのはごく一部で、年金や生活保護費は逆に削減され、医療費の負担はふやされます。介護保険も従来の利用者の保険外しが計画されています。消費税、物価上昇、年金の特例水準解消とマクロスライド、介護保険料値上げで五重苦で内需冷え込みは必至という状況であり、地に足をつけた県民生活と中小企業を防衛する積極的な施策こそ求められています。
 また、私も質疑で指摘しましたように、福井県は一般会計分の消費税約5,000万円を県民から徴収し続けながら、1円たりとも国に納税してきておりません。8%なら約8,000万円になるでしょう。消費税法上そういう仕組みであるのであれば、なぜ県内のほかの市町のように、せめて使用料などを据え置く対応がとれないのでしょうか。冷たい福井県政であります。
 さらに、一般会計予算案は、不要不急の新幹線建設や足羽川ダム、高規格道路などの大型公共事業推進、原発推進の国際原子力人材育成センター予算、福井県農業の破壊につながりかねない農地中間管理事業、受験競争を加熱させかねない中高一貫設置事業、福井駅前の再開発支援、国民総背番号のためのシステム設備費などの予算が含まれており、賛成できません。

 次に、38号議案は、野外恐竜博物館の観覧料を新設し、一般1,200円、高校生1,000円などとするものでありますが、少なくない観光客入場者が本館とセットで見学することなどを考慮すれば、割引料金設定などを行うべきであります。子供たちの夢を育む施設として、また観光誘客のためにも引き下げを求めておきます。
 40号議案は、若狭歴史民俗資料館のリニューアルに乗じて観覧料を3倍に引き上げるものであり、反対です。

 42号議案は、土地改良事業分担金徴収条例の改定で、これまでは国、県、市町の負担で行ってきたスキームに、100ヘクタール未満の整備には土地改良区に分担金を求める仕組みをつくるものであり、反対です。今後一層農業収入が厳しくなる見通しの中、結果的に農家負担をふやすことは許されません。

 44号議案は、福井県立高志中学校を設置し、中高一貫教育をスタートするものです。これまでも議会審議の中で批判してきましたように、小学校からお受験競争を加熱させることにつながりかねず、特に福井市内の中学各校にも大きな影響が出かねません。

 45号議案は、高校授業料無償化を廃止し、再び有償化になることに伴うものであり、反対です。
 OECD加盟国の中で授業料が無料でないのは3カ国だけです。日本もまたもとへ戻れば4カ国になるわけですが、将来を担う子供たちに冷たい国に逆戻りする施策は許されません。かかる教育費負担の増大は少子化対策にも逆行であります。

 46号議案並びに47号議案は、教職員定数の削減を、高校、義務制合わせて35人削減するものであり、反対です。
 今求められているのは、未来の主権者への思い切った投資です。その一つが教育です。正規の教員を減らし、非正規の教員をふやしていくようではいけません。今、教員の残業は、持ち帰りも含めると月に91時間を超え、3割以上の先生が過労死ラインを超えています。これは全国的な数字でありますが、福井県はさらに過酷だとの指摘もあります。労働基準法違反を教員現場に蔓延させ、病気の教員を生み出しているような状況の打開こそ急務です。正規教員の削減ではなく、大幅増こそ求めます。

次に、第93号 平成25年度一般会計補正予算初め、103号、105号、106号、108号、109号、110号、111号、112号の各補正予算案は、巨額の職員人件費削減で、県庁職員、教職員、警察職員の生活を脅かした内容であり、反対です。

 121号議案は、農地中間管理機構業務のために6億7,000万円余りの基金をつくるものであり、反対です。
 一般質問の際も強調しましたように、農地中間管理機構はそもそもTPP対応の日本最高戦略として位置づけられ、今後10年間で全農地面積の8割が担い手によって利用され、担い手の米の生産コストを、現状、全国平均1万6,000円から4割削減し、法人経営体数を2010年比約4倍の5万法人とすることを目標とし、農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段としていることが大問題です。そのために、効率的な農地利用について、農業者を代表にして公正に審査する行政委員会である農業委員会の役割を制限し、委員資格の変更まで検討されております。そして優良農地において大企業が主体の大規模農業生産法人への農地集中を進め、農村の解体や中山間地の荒廃を進展させかねない危険な内容です。
 さらに、農地の出し手に対する協力金の交付とありますが、これについても貸し手がなければ交付されないものであり、農家からすれば田んぼは機構に預けたが金が入ってこないという事態も想定されます。

 127号議案は、農林水産支援センターが実施する分収造林事業の県への移管に伴う債権放棄の議案です。
 事業に係る貸付金342億円余り、金融機関の債務の引き受けに伴い県が負担する額に係る求償権153億円余りの債権放棄であり、県民に巨額の損害を与えるものです。これだけの重大事案でありながら、造林事業を進めてきた国は何らまともに責任を負わない。国とともに進めてきた知事や県庁幹部も責任をとらない。県内金融機関は利息分放棄だけで実質的な責任は負わない。まさに平成の無責任劇場ではありませんか。

 最後に、陳情についての委員長報告に反対の討論を行います。
 陳情41号は、過労死等防止基本法の制定を求めるものであり、継続審査ではなく採択すべきであります。
 委員会審査の中では国の動きを見ようとなったそうでありますが、全国的に多発する過労死問題について国の法整備を求めるものであるからこそ、国に先駆けて提出する地方議会の意見書の意味が存在するのであり、採択すべきであります。

 陳情42号は、労働者保護ルール改悪反対を求める内容であり、不採択ではなく採択すべきです。
 委員会審議の中では労使双方にメリットがあるという議論があったそうですが、それは誤解であります。例えば、現在国会で審議中の派遣労働を無期限、無制限に使えるようにする労働者派遣法の改定案では、派遣を固定化し拡大する制度で歯どめもありません。政府の法案では、3年で人を入れかえるなどすれば無期限に派遣できるようになります。専門業務の区分も廃止して、どんな仕事でもずっと派遣に任せられるようになります。派遣労働者をいつまでも使える制度に変えるなら、企業側は、現在の正社員の業務をコストの安い派遣に切りかえていくことは目に見えているではありませんか。企業と労働者の双方のメリットではなく企業のみにメリットがあり、働く人は正社員願望が実現できない不安定就労で低賃金になってしまいます。
 私は、日本列島各地で、また福井県内でも、少なくない企業で多くの派遣労働者が派遣切りされ、会社の寮などから追い出されホームレスに陥るなど、まさに若い労働者を物扱いした大事件を忘れることはできないわけです。若い皆さんに絶望する働き方を押しつけていくのではなく、将来に希望が持てる労働法制を整備していくことこそ政治家の責務であり、採択を求めます。

 陳情45号は、首長や国の権限を強化する教育委員会制度の改正中止を求めるものであり、不採択ではなく採択すべきであります。
 教育委員会の見直しをめぐっては、中教審が教育委員会を首長の附属機関とする案を示し、下村文科相もこれを支持していましたが、公明党や自民党内からも教育委員会の政治的中立性が保てないとの意見が相次いだそうです。
 今回、与党が合意した教育委員会制度改革案では、教育政策を盛り込む大綱的方針を首長が総合教育会議を主催して策定するなど、首長と国による支配介入を強める内容です。憲法に基づいて権力から教育の独立性を守るためにつくられた制度の根幹を変える内容であり、かつての軍国主義の反省を一層忘れ去る内容と言わざるを得ません。今、安倍政権のもとで国防軍創設とか憲法改憲と、こういう動きと軌を一にした教育委員会制度への重大な介入は許されないと思います。
 以上申し上げまして、討論といたします。
 議場の皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。

福井県議会予算特別委員会。消費税増税は県内業者に打撃。原子力行政、万全の避難計画抜きの再稼働はだめ。

2014年06月13日 | 福井県政
2014年3月13日 福井県議会予算特別委員会での佐藤正雄議員の質疑です。

◯佐藤委員  日本共産党の佐藤正雄である。
 まず、目前に迫ってきている消費税増税の問題について質問する。
 1997年のときには、2%増税で回復しつつあった日本、福井県の経済も大変な苦境に陥り、長期間にわたって不況が続き、倒産も続くということがあった。今回はそれを上回る3%増税ということで、1997年と今回を比べて、県民の負担はそれぞれ幾らぐらいの増税負担になるのかをまず確認したい。
 1997年の増税で大変な経済不況に陥った教訓を生かさなければならないわけだが、今回提案されている当初予算案として、どういう点を重視し、県民生活と中小企業を守る内容になっているのかどうかをまず伺う。


◯政策幹  平成9年と今回で消費税による負担増がどれぐらいかという質問だが、平成24年度に実際に県内事業主が納めた消費税額は、国と地方を合わせて約550億円程度ということになっている。このことから、税率5%を8%に引き上げた場合の消費税額は約330億円増加すると試算している。なお、税率が3%から5%に引き上げられた平成9年時には、県内事業主が納めた消費税額は約270億円増加したと考えている。
 もう一つ、平成9年の教訓を踏まえ、当初予算ではどのような工夫をしたのかということであるが、前回の消費税率の引き上げは4月であったけれども、アジア通貨危機が同年の7月、それから大手金融機関の破綻が11月といったことで、複合的な要因により景気が落ち込んだという国の分析もある。そうした中で、平成9年は4月に引き上げ後、景気が下降した秋以降になって国、県とも対策を打ったということで、後手に回ったところがあったと思っている。
 今回は、事前に国は景気を下支えする5.5兆円規模の補正予算を編成している。具体的には、公共事業をはじめ、家計負担を軽減する給付金などの低所得者や子育て世帯への支援、それからものづくりや商店街活性化の補助金など中小企業対策も講じている。
 県としても、公共事業では当初予算、2月補正を含めてできる限りの規模を確保している。また中小企業に対しては、販路開拓等の助成制度の募集を年度早々に開始するし、また制度融資枠の確保と、マル経融資の利子補給などで資金繰りを応援していきたいと思っている。このほか、国の雇用基金を利用して、人材の確保、賃金アップ、商店街の消費喚起も進めることを実施したいと思っている。
 先月25日には国や経済界との対策会議を開催したが、今後も景気動向を注視しながら必要な対策を協議し、万全を期していきたいと思っている。


◯佐藤委員  5.5兆円でしっかり公共事業をやると言っても、地元の中小業者にどれだけ波及するかは非常に疑問である。例えば、きのうの新聞に東京商工リサーチの報道があったけれども、休廃業解散はこの10年間で一番多く、建設業のほか小売業でも増加が目立ったということで、石川県が52%、福井県が60%ふえているという記事であった。今ぐっと体力が落ちてきている中での増税なので、今言った対策で果たして十分なのか。
 それから、低所得者対策として、低所得者給付金と言っても、わずか1万円ぐらいの話であろう。月になおすと500円ぐらい、要するにワンコインサービスである。月にワンコインあげますよという程度の低所得者対策である。これで本当に消費税増税の影響を緩和する施策になっているかというと、とてもそうは思えない。県として、もう少し真剣に、この消費税増税への対応をとらないと、大変なことになるのではないかと思う。
 あまり危機感がない感じだが、知事は消費税増税に対する危機感はないのか。


◯知  事  危機感という言葉使いはともかく、しっかり対応するという決意で臨んでいる。


◯佐藤委員  一般質問でも取り上げたけれども、福井県は福井県民から手数料とかで上乗せして集めている年間約5,000万円の消費税を国に納税していない。これは消費税法上、そういう措置が認められているという答弁であった。年間約5,000万円とすると、西川知事になってから5億円以上を県民から消費税として税金はもらっているけれども、国には納税していないという計算になる。いわゆる世間で言われる益税が発生しているということだと思う。
 これが8%増税になれば、ざっくりだが年間8,000万円、10%増税になれば年間1億円の益税が福井県に発生するのは消費税法上の仕組みではあるが、県として、国のワンコイン、月々500円程度の低所得者対策だけで終わるのではなくて、その益税分の8,000万円を使ってこういう対策を打つのだというように、もっと工夫があっていいのではないか。なぜそういう努力をしないのか。


◯政策幹  県においては、使用料等の収入分と、管理委託とか管理料として支払う使用料があり、消費税法上そうした消費税額を同額として相殺することになっており、県が消費税を取り過ぎているのではないと考えている。
 一般質問の際、現行5%の消費税率については、平成24年度決算で、施設の利用者から負担いただく使用料等に係る消費税額は4,800万円であると答弁したけれども、県が施設を管理するため実際に支払う光熱水費、委託料、修繕費などに係る消費税額は1億3,700万円となっており、支出のほうが上回っている。
 こうした県が支払う消費税は、結局全て県民の負担となるので、県としては、受益と負担の適正化の観点から、施設の利用者に消費税分を使用料として負担いただきたいという考え方である。


◯佐藤委員  今の答弁は本当に問題がある。行政サービスのコストを住民に全部転嫁するのであれば、県ではなく民間企業がやればいい。そうであろう。いいかげんな答弁ではだめである。では県内のほかの市町はどうしているのか。


◯政策幹  市町について全て把握はしていない。3%引き上げは国の考え方であり、基本的には県も支払いをしているので、行政指導としても、消費税を転嫁しないのではなく、公平に負担してもらう考え方に基づいていると思っている。


◯佐藤委員  いろいろな考え方があると思うが、私も幾つか聞いてみたけれども、例えば越前市や鯖江市、永平寺町では、今回の4月の3%増税の際には、水道料とかは別として、手数料とか使用料には上乗せしないということである。だから地方自治体の現場の市役所、町役場は少しでも住民負担をふやさないで、どうしたらやりくりができるかを一生懸命やっている。福井県庁は、国際交流会館からアオッサから何から何まで全部、機械的、官僚的に値上げである。そういうことではだめだと言っている。


◯政策幹  今回、使用料を3%上げさせていただくけれども、社会福祉施設や体育施設といった施設の使用料については、それぞれの団体が公的に活用される場合には減免措置をやっている。実際には、県民に強い負担をかけていることにはなっていないと思っている。


◯佐藤委員  そういう認識だからだめだと言っている。減免措置は従来からいろいろあるので、大いに活用すればいいと思うが、負担増を回避する市町が福井県内に幾つもある。それは、住民サービスの立場に立って、政策幹が言ったような受益者負担で行政が成り立っているわけではないとして努力している。県としても、もっとそういう努力が必要だと強く申し上げておく。
 一般質問でもしたけれども、県としては増税分を転嫁しなければいけないし、問題は起こらないという認識だという答弁があったが、福井商工会議所の調査結果を見ると、販売先との力関係により消費税分の値引きが行われると、本来預かっているはずの消費税を自己負担で払わなければならず、事業者にとってはコストがふえるということである。今回の消費税値上げ分については、全体で59.3%、約6割の企業が全て転嫁できると回答しているが、逆にいえば4割の企業は全て転嫁できないということになる。県としては、消費税は転嫁できるから問題ないとしているが、4割の企業が消費税を転嫁するのは難しいという実態について、その対応と対策はどうするのか伺う。


◯政策幹  商工会議所が1月に行ったアンケート調査によれば、2割の企業で転嫁は非常に難しいという回答を出していると聞いている。業種別では、建設業や製造業、それから規模別では従業員が5人以下の小規模な企業で、転嫁が非常に難しいと回答した割合が高くなっている。
 今回の消費税の引き上げに当たって、国では違反が確認されれば是正指導を行い、従わない場合には企業名の公表も辞さないという強い姿勢で取り組むということになっている。商工団体でも相談窓口を設置して経営相談に応じるほか、転嫁対策のセミナー、また個別の巡回指導などを行い、中小企業の相談にもきめ細かく対応している。
 県においても、税務課を初め、17カ所に相談窓口を設置したし、違反があれば国へ報告するとともに、特に中小企業で買いたたきなどが起こらないようにきちんとチェックをする必要があると考えている。調査、指導を徹底して行い、また広報を通じて理解も求めていきたいと考えている。


◯佐藤委員  今、買いたたきを含めて違反があれば公正取引委員会に通報するという話があったが、例えば製造業に占める下請け企業の割合は、石川県は58%、富山県は45%、福井県は63%であり、福井は製造業だけ見てみても下請け企業の割合が非常に大きい。しかし下請け企業の売り上げは、石川県の25.9%よりも、福井県は23.9%で少ない。福井は製造業分野で下請け企業が多いけれども、売上金が少ないということは、ある意味では買いたたかれている状況があると思う。そこに消費税が3%とか5%とか上がってくると、本当に耐えられない状況になり、特に福井県の中小業者は、石川、富山に比べても厳しい環境に置かれるのではないかと思っている。そこは通り一遍の対策ではだめだと思う。
 例えば、福井県商工会連合会でも聞いたが、政策幹が言われたように、取り引きで消費税分をもらえないからおかしいといって、どこかの会社を公正取引委員会に通報するのはいいけれども、その後の商売を考えると、そう単純にもいかないだろうという話もある。もう少し丁寧なきめ細かな対策を打たないと、石川、富山に比べて福井はより大変な状況になるという危機感を持って、きっちり対応することが必要だと思うが、いかがか。


◯政策幹  消費税だけではなくて、福井県の商業事業の構造上のことを言っている部分もあると思う。そういう面では、今回、各経済団体も消費税対策だけではなくて、新しい商品開発とか、経営面での指導も含めて前向きにいろいろ対応している。
 県としても、そうした応援ができるような融資制度、またマル経融資金など無利子、無担保でも応援できるので、そういうものをできるだけ活用いただいて、福井県の産業が、零細企業も含めて活力が出るよう、総合的に応援していきたいと思っている。


◯佐藤委員  何度も言うが、1997年よりも大規模な消費税増税になる。だから県もいろいろな知恵を尽くして対策を打つとは思う。私はずっと増税中止を求めてきたが、始まる以上は最大限、いろいろな努力で中小企業対策を強めていくことが必要だと思う。だから5.5兆円の公共事業と言ったけれども、言葉は悪いが、ダムや新幹線の工事だけでは地元の中小企業は潤わないので、もっとダイレクトに潤わせるような経済政策もとっていただきたいということを要望しておく。


          「国民世論を踏まえた原子力行政を」


◯佐藤委員  次に、原子力の問題である。先日、NHKが発表した調査を見ると、原発を今後どうしたらいいのかということを訪ねたところ、「原発をふやすべきだ」が1%、「現状維持すべきだ」が22%で足して23%。「減らすべきだ」が46%、「全てやめるべきだ」が30%で足すと76%である。だからNHKの世論調査を見ても、国民の認識、気持ちは明確だと思う。しかも注目すべきは、全てやめるべきというのが、2年前──福島第一原発事故の1年後と比べて10ポイントふえている。福島第一原発事故が起こった直後よりも、原発をやめてくれという国民がぐっとふえている。やはり3年たっても事故収束の見通しが立たない問題などが大きく影響していると思う。
 ところで、知事も指導的な役割を果たしたエネルギー基本計画については、原子力発電をベースロード電源とした政府案が発表された。これだけ国民の気持ちとかけ離れたエネルギーの基本計画案が出されたということについて、知事はどう思うのか。また、知事の考えるベストミックスというのは一体どういうものなのかということを伺う。


◯知  事  本会議でもほぼ類似の質問があり答弁したので、多少省略するけれども、原子力発電の意義とか必要性、安全性については、これまでさまざまな歴史的経緯や議論があり、マスコミが行った世論調査のように、脱原発かそうでないかという単純な議論ができる問題ではないと思う。
 また、いろいろな選挙などでも、残念ながら原子力やエネルギー問題に対しては余り高い関心を持っておらず、例えば福祉や景気に関心のある有権者もいる。こういうデータについては、いろいろな分析が必要であり、総合的に見る必要があると思う。
 そして、エネルギー政策については、県としては、日々の国民生活や経済状況に支障がないように、さまざまな意見を踏まえながら、政府として実行可能な現実に即した責任ある方針を示す事柄であると思う。先般発表されたエネルギー基本計画の政府案は、原子力の重要性を政府が示したものであって、早期に閣議決定をした上で国民に対し丁寧な説明を行い、理解と信頼を得ながら計画を実行していく必要があると考えている。そして国民にしっかり説得をするということが大事ということは、その委員会でも述べているところである。
 それから、ベストミックスの質問があったが、これは一つのエネルギーに偏ることなくバランスを考慮して、各エネルギーが果たすべき役割に応じ、目指すべき数値等を定める必要があると思う。これはコストとか、国の安全保障、地球環境の問題、あるいは原発のさまざまな課題の解決、こういうものが総合的に絡む課題だと思っている。


◯佐藤委員  国民の関心はいろいろな分野にあり、選挙のときの判断は必ずしも原発一辺倒ではないのはそのとおりであるが、原発に特化した調査ではこういう結果になるということであり、そこは同一にしてしまうとまずいと思う。
 今回のエネルギー基本計画案については、福島第一原発事故後につくられた、政府や国会など三つの調査委員会の責任者がそろって批判されているというのが大事なことだと思う。先日10日に日本記者クラブで開かれた討論会、そこで政府事故調の委員長を務めた畑村先生は、避難計画を含めたものができておらず、正当性が確認されてから再稼働の議論をしないとおかしいと言っている。国会事故調の委員長だった黒川先生は、五つの多重防御が国内の原発でできていないところがたくさんあり、5年たっても何も変わっていないと批判している。それから、民間事故調の北澤先生は、さっきNHKの調査も紹介したけれども、原発ゼロが国民の総意になってきており、再稼働後に事故が起きれば、本当に日本は世界の笑いものになると言っている。角度はいろいろあるが、福島第一原発事故を丁寧に調査、分析された国会事故調、政府事故調、民間事故調の3人の責任者がそろって、今回のエネルギー基本計画案は再稼働に進むと批判している。これについて、知事はどのように思うか。


◯知  事  その考えについても、いろいろなことを言っている中での話だと思うし、さまざまな事故調査委員会を踏まえ、事故調査が十分にされたか、どう問題に取り組むかなどについては、原子力規制委員会その他がしっかり受けとめ、原発の再稼働の問題に総合性を持ってバランスのとれた判断を遅滞なく行う方向だと思う。
 それから、原発なしで済まされればそれに越したことはないということかもしれないし、願いは願いとしてわからないわけではない。しかし日本の将来を考えると、現在の原子力エネルギーなしで1億2,000万人の国民に必要なエネルギーをこのままでは賄っていけないという状況がある。そこをぜひ考えるべきと思う。


◯佐藤委員  その議論をしだすと長くなるが、実際に原発ゼロで今、日本の経済を回しているし、国富流出論もあるけれども、コストを計算すれば3兆円でなく1.5兆円でないかとの計算もある。福島第一原発事故の処理費用も、これから何兆円になるかわからないわけだから、多角的に議論しなければいけないけれども、3年たっても事故原因の究明もできなければ、事故収束もできず、事故の元栓もとめられない福島の実情が、こういう技術はだめだからやめてくれという国民が事故直後より大きくふえている要因だと思う。
 次の質問だが、そもそもこの新規制基準自体が今の原発構造を温存したままのつけ焼き刃になっていて、例えば新潟県の柏崎刈羽原発では、フィルターベントにより敷地境界で数百ミリシーベルトの放射能放出だと、東京電力の社長が新潟県知事に説明している。従来、とめる、冷やす、閉じ込めるということで説明してきたが、福島第一原発事故ではこれがうまくいかなかった。新潟県で原発事故が起これば、いわゆる爆発はしなくても、ベントによって数百ミリシーベルトの放射線量が原発の敷地境界で出ると説明されたということは、住民の被曝を最初からある意味容認するという計画になっている。
 この問題について、関西電力大飯原発、高浜原発では、それぞれ敷地境界で放出される放射能レベルはどのくらいになるのか。昨年の12月定例会で安全環境部長が答弁したが、改めて確認しておく。


◯安全環境部長  正確な数字を調べた上で答えたいと思う。いいかげんな数字では答えられないので、確認させていただく。


◯佐藤委員  ぜひそれは確認して欲しいが、新規制基準といっても、この基準をクリアすれば安全ということではないことは明らかではないか。


◯安全環境部長  原子力規制委員会が新規制基準は世界で一番厳しいと標榜しているけれども、当の委員長自身も、これを守れば絶対的に全てのリスクがゼロになるというものではないと説明している。


◯佐藤委員  そうである。要するに、新規制基準をクリアすれば安全になるわけではない。だから安倍総理も、原子力規制委員会がオーケーを出したものは再稼働したいと言っているけれども、新規制基準で安全になるかと言われれば、明確に安全だとは答弁しない。安全環境部長が答弁できないのもそうだろうと思う。今度、福井県の原発を再稼働しようとしたとき、安全の確保については、規制基準の最低基準をクリアした上で、何を求めていくのか。


◯安全環境部長  県内原発の再稼働に当たっては、原子力規制委員会の審査があるが、それ以外にも、2年前の大飯原発3、4号機の再稼働のときもそうだったけれども、県の原子力安全専門委員会において独自に検証も進めている。そういった独自の安全検証といったものを、今後ともしっかりやっていきたいと考えている。


◯佐藤委員  新規制基準に上乗せしたり、あるいは横出しして検証する内容はどのようなことをやるのか。


◯安全環境部長  これは1月の原子力安全専門委員会においても、中川委員長から指摘があったけれども、例えばプラントのハードのみならず、運転員がいざというときにどのように対応できるのか、そういった行動が実際にできるための訓練が行われているのかどうかは重要であり、今後、県としてしっかり確認をしていきたいと思っている。
 また、原子力規制委員会はさまざまなハード対策を要求しているけれども、それが全体としてプラントの安全性がどう向上しているのかの確認が必要という指摘もある。そういった原子力安全専門委員会の指摘を受けて、県としてもしっかり確認をしていきたいと考えている。


◯佐藤委員  そうすると、前回、当時の民主党政権のもとで大飯原発3、4号機の再稼働を県は認めたわけだが、どういう点がそのときよりもつけ加わるということになるのか。


◯安全環境部長  2年前の大飯原発3、4号機のときは、いわゆる暫定基準があった。これは福井県から、国に示すよう求めてきた。そのときに30の対策が示されたが、その後、新たに発足した原子力規制委員会において新規規制基準が決まったけれども、その中で従来になかったものとして、例えばケーブルについては難燃性のものにすべきであるとか、あるいは緊急時対策所については、一定の面積が必要だとか等々、個別具体的にさまざまな基準が追加されていると考えている。


◯佐藤委員  それがクリアできないと再稼働が難しいというのは、きのうの新聞報道にもあった。加えて、私がきょうもう一度聞きたいのは、ハード面だけで本当に十分なのかということである。
 1月に行われた美浜原発事故を想定した図上訓練を見たけれども、驚いたのは、これまで訓練で使っていたSPEEDIという放射能拡散予測のシステムを使わないということである。そのシステムの前にどんと荷物が置かれていて、どうしたのかと言ったら、もう使いませんということが起こったりしていた。ヨウ素剤の服用は国の指示待ち、住民の避難バスに役場の職員が付き添う体制も不十分ということで、福島第一原発事故を踏まえた対応をやっているようで、なかなかやっていないのではないかと思う。
 敦賀市が事務局になっている全国原子力発電所所在市町村協議会が、被災された富岡町、南相馬市、楢葉町や双葉町とか、いろいろな自治体に敦賀市役所の職員を初め直接調査に入り、平成24年3月に詳細な報告書をまとめている。先日の防災訓練の図上訓練を見て、こういうものが本当に生かされているのかと思った。福島の事故の自治体の教訓も踏まえて、いざ事故が起こったときに住民が本当に対応できるのかというと、非常に不十分ではないかと思うがどうか。


◯危機対策監  1月に実施した図上訓練については、美浜発電所30キロ圏の県内7市町全てにおいて避難対応を確認することを一番の主眼として行い、国、市町や自衛隊、海上保安庁等関係機関との協力体制を確認している。
 SPEEDIについては、従来から住民避難を行う上で有効なシステムと考えていて、昨年6月に実施した実動訓練においてはSPEEDIの情報を参考に避難訓練を行っている。
 また、広域避難における避難ルートや手段、スクリーニング等の課題については現在、国が主導するワーキンググループにおいて協議を行っていて、課題に関する国の考え方も近く取りまとめられる見通しである。また、安定ヨウ素剤の配布場所等についても、県と関係市町で現在協議を進めている。県としては、ワーキンググループの考え方を年度内に予定している県の広域避難要綱の改定に反映することとしていて、その内容をもとに、関係市町や自衛隊等との防災関係機関と十分協議して、今後、新年度における実動訓練の実施時期、場所等を検討していきたいと考えている。


◯佐藤委員  昨年やったから先日の図上訓練ではやらなかったというのは理由がよくわからないが、今回は30キロ圏を想定したものだから、むしろ逆にそういう広域のSPEEDIの放射能拡散予測を活用した訓練をやるべきではないかと、常識的にはそう思う。それから、ヨウ素剤の服用等にしても、国の指示待ちではなくて、福島の調査報告を見ても、こういう大災害時には、国との連絡もなかなかままならないという中で、現場の自治体の能力が問われているわけだから、そういう点ではもう少し臨機応変な訓練が必要ではないか。


◯危機対策監  SPEEDIについては、住民避難に有効と考えている。昨年の6月は5キロ圏の訓練であったので、避難範囲の特定は既にされていた。そういった状況の中で、避難のルートや、避難先が安全かどうかということにSPEEDIを使って訓練をした。今回の図上訓練については、範囲が30キロに広がって、本来であれば避難範囲については国がモニタリングをして、その結果にSPEEDIも参考にして避難範囲を特定するという構造になる。ただそれについての国の基本的な考え方──どういうふうにモニタリングをするのか、SPEEDIをどう活用するのかということがいまだ示されていないという状況がある。県としては、今回の主眼は七つの市町全部が避難対応することを前提に避難範囲を特定したので、そういった面では今回の図上訓練についてはSPEEDIを使っていない。
 今後、国がモニタリングのやり方、SPEEDIの活用の仕方等も確認をして出てくれば、次の段階として、それをもとにした訓練を考えていきたいと思っている。


◯佐藤委員  時間がないので知事に最後に伺う。訓練の現場を見たが、まだまだ課題がたくさんあると思う。これから原発の再稼働の時期にはいろいろな議論をやると思うが、県の原子力安全専門委員会でも、先ほど説明があったハード面だけではなく、ソフト面というか、要援護者も含めた住民避難がどうなるのかもきちんと議論もして、県民にもきちんと説明するということが必要ではないか。


◯知  事  原発の安全性はレベルが三つあって、まずプラント自体の安全をいかに確保するかが一番大事なことである。2番目に事故の制圧が大事である。そして3番目に、万が一の際の防災対策。防災訓練はいろいろな局面があるし、どういう場所でどのときにどの分野でやるかということがある。毎年これをさまざま進化させて、繰り返しながらやるわけだから、ある訓練でこれをしないのはおかしいということではなく、これはこちらでやっているから、これは後でまとめて全体の訓練に生かすということである。訓練は、三つのレベルの中で一番、それぞれの現場で、そして毎年毎年よくしていくというタイプのものであると思っている。


◯佐藤委員  段階ではなくて、同時並行で、きちんと県民に説明しなければいけないということを再度要望しておく。

道州制についての議員研修会。エネ庁からエネルギー基本計画の説明。福島原発事故前のような説明だ

2014年06月13日 | 福井県政
  今朝の県民福井でも紹介されていますが、今日は原発再稼動反対金曜行動100回目です。
福井地裁判決を無視して再稼動がすすめられようとしています。

 危険な安倍暴走をとめましょう!福井県庁に県民の声をとどけましょう!

 本日、午後6時から7時半まで。福井県庁・関西電力福井本部前に集まりましょう。


           ★


  昨日は終日議会で説明などがつづきました。
 午前中は、東村総合政策部長を講師に道州制問題の議員研修会。
 町村会、町村議長会は明確な反対で、自民党内でも反対の声があり、今の国会での法案提出は見送られた。
 道州制は、国の仕事を道州に、県の仕事を基礎自治体に移管し、国は防衛、外交などのみを担当する構想。統治機構のあり方を根本的に変更するものだ。
 具体的な内容は総理任命の30名ぐらいの「道州制国民会議」で決められてしまう。
 問題点としては、規模拡大により福井地域選出の政治代表は大幅に減るなど自治が空洞化する、北海道にみられるように州都に人口などが集中する、地方分権の実効性は疑問、国民のメリットが不明、現在の県単位のマスコミ、大学、金融機関などが淘汰されていく危険性・・・などを指摘しました。
 たしかにこのような道州制で、地方分権と住民自治が向上するとは考えられません。
 市町村合併の検証も十分ではなく、しかも、道州制は、市町村合併の時のように、「福井県は独自でやります」というような選択肢は認められていないのです。現在の市町村制度も「廃止」され、「基礎自治体」とされ、いっそう下請け機関化してしまう懸念もあります。

 ひきつづき、理事者説明で不祥事案についての報告を聞き、質疑がおこなわれました。


 午後は、全員協議会でエネルギー基本計画について、後藤大臣官房審議官、山田原発立地対策・広報室長から説明をうけ、質疑がおこなわれました。
 説明を聞いていて、ますます福島原発事故はなかったかのような原発推進に戻っていく危険を痛感。
 「エネルギーの割合は2010年時はよかった。しかし、国民の信頼を失っているので再構築していく」「規制委員会が認めたものは再稼動していく」「日米連合でやっている。中国、韓国などにまかせておけない。日本がしっかりした原発をつくっていく」「高速炉の選択を否定することはない。有害度をへらし、300年ぐらいの管理なら責任がもてるのではないか」などなど・・・・・

 私も質疑に立ち、「福井地裁判決をどう受け止めるのか」「避難計画に対して国は責任を果たしていない」「福島の凍土壁はいくらぐらいかかるのか」などを質問。
 「判決については当事者でないのでコメントしない」「避難計画はハンドメイドでやるべき」「凍土壁はトータルで800億円程度。今後の費用はデブリの取り出しいかんにかかってくる」などと答えました。
 
 国の説明が終わり、ひきつづき、北陸電力、関西電力、日本原電、原子力機構から状況説明がつづきました。

 今日は再稼動反対金曜行動です。100回目です。この県民の声を西川知事も、県議会も、電力事業者も聞くべきです。