みかさ山みねより出(い)づる月影はさほの河瀬の氷なりけり(金葉和歌集)
いかだおろす清滝川にすむ月はさほにさはらぬ氷なりけり(千載和歌集)
月影は消えぬ氷と見えながらさざ浪よする志賀のからさき(千載和歌集)
思ふどちいざ見にゆかむ玉津島入り江の底にしづむ月かげ(源氏釈)
あすもこむ野路の玉川萩こえて色なる浪に月やどりけり(千載和歌集)
須磨の浦やあまとぶ雲のあと晴れて波より出(い)づる秋の月かげ(玉葉和歌集)
しほがまの浦ふく風に露はれて八十島(やそしま)かけて澄める月かげ(清輔集)
神代よりあまてる月もかげなれてのどかにぞ澄む住吉の浦(影供歌合)
沖つかぜ吹上の浜の白妙(しろたへ)に猶すみのぼる秋の夜の月(続後撰和歌集)
さびしさを何にたとへむ明石がた浦漕ぐ船のあとの月かげ(紫禁和歌集)