ふけゆけば鹿にひと夜(よ)の宿かりて月をかたしく小野のくさぶし(夫木抄)
草まくら月もはかなくやどれとて露をむすぶにまかせてぞ見る(治承三十六人歌合)
月もまた露のやどりやたづ ぬらむかりねの草のおなじ枕に(三條相国御百首)
宵々(よひよひ)の旅寝の床(とこ)はかはれども同じ月こそ袖になれぬれ(続拾遺和歌集)
草枕この旅寝にぞ思ひ知る月よりほかの友なかりけり(金葉和歌集・初度本、二度本)
月みれば旅寝の床(とこ)も忘られて夢のみむすぶ草枕かな(新後撰和歌集)
草まくら旅寝の夢は覚めにけり野原の月のありあけの空(住吉社三十五番歌合)