monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 秋 八月

2013年08月13日 | 日本古典文学-秋

名にあふ秋もなかばやうやう夜さむになるほど
こしぢのかりもはをならべては雲井になきてくるころ
萩が下葉もいろづきわさ田かりほすなど人の心も秋に成ぬれば
そのことゝなくものあはれにむしのこゑごゑもうらみがほなり
三五の夜はこと更月もひかりをそへ桂の実(み)のるゆふべの空
もろこしには洞庭(とうてい)の月の夜をながめあかして詩をつくるとかや
わが朝(てう)にはさらしなをば捨二見が浦清見が関こそ月に名をえし所なれ
都ちかきあたりには廣澤(ひろさは)の池のあたりぞ月をながむる名所とはいふなる
それならでは須磨あかしの月はさらなり
こよひの一輪(りん)まどにみてり万水の影てりまさりぬれば二千里の外まで空もなし
故人(こじん)の心はいかにとかおもふらんと
ふけゆく空にかたぶく月をながむるほどに
名残なく山のはにかくるゝは又すてがたし
(佛教大学図書館デジタルコレクション「十二月あそひ」より)