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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 秋 荻(をぎ)

2013年08月24日 | 日本古典文学-秋

天徳三年九月庚申歌合に、荻を読侍ける 藤原元真 
荻の葉に風のすゝしき秋きてはくれにあやしき物をこそ思へ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

 くれてのち、七月七日、かぜのよふけてふき侍りしかば、あはれとおぼえて
をぎのはぞ風にみだるるおとすなるものおもふほどに秋やきぬらん
(山田法師集~新編国歌大観7)

秋来(き)ぬと袖にしらせて吹きそむる荻の上葉の風ぞ身にしむ
(草庵集百首和歌)

百首歌に、はつ秋のこゝろを 崇徳院御歌
いつしかと荻の葉むけのかたよりにそゝや秋とそ風もきこゆる
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

をきのはのすゑこすかせのおとよりそあきのふけゆくほとはしらるる
(順集~日文研HPより)

荻風を 伏見院御歌
こゝにのみあはれやとまる秋風の荻のうへこす夕くれの宿
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

一品の宮に絵ども奉る中に、芹川の大将のとほ君の、女一の宮思ひかけたる秋の夕べ描きたるに、思ひ寄せらるることやありけん、書きて添へまほしかりける 薫大将
荻の葉に露吹き結ぶ秋風も夕べは分きて身にぞしみける
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

村上の御時八月はかり、うへひさしうわたらせたまはてしのひてわたらせ給ひけるを、しらすかほにてことひき侍りける 斎宮女御
さらてたにあやしきほとの夕暮に荻ふく風の音そ聞ゆる
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

かどちかきをぎの末を、馬にのりながら、結びてゆく人なんあると聞きて、つとめて
なほざりに穂末をむすぶ荻の葉のおともせでなど人のゆきけん
返し
ゆきがてに結びし物ををぎの葉の君こそおともせでは寝にしか
(大弐三位集~岩波文庫「紫式部集」)

その十三日の夜、月いみじくくまなくあかきに、みな人もねたる夜中許に、(略)かたはらなる所に、さきをふくるまとまりて、「おぎのはおぎのは」とよばすれど、こたへざなり。よびわづらひて、ふえをいとおかしくふきすまして、すぎぬなり。
ふえのねのたゞ秋風ときこゆるになどおぎのはのそよとこたへぬ
といひたれば、げにとて、
おぎのはの こたふるまでのふきよらでたゞに すぎにるふえのねぞうき
(更級日記~バージニア大学HPより)

待つ人にあやまたれつつ荻の音のそよぐにつけてしづごころなし
(祭主輔親卿集)

こんとたのめて侍けるともたちのまてとこさりけれは、あきかせのすゝしかりける夜ひとりうちゐて侍りける 僧都実誓
荻のはに人たのめなる風の音をわか身にしめてあかしつるかな
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

七月ばかり、人の許に
たれぞこの訪(と)ふべき人はおもほえで耳とまりゆく荻の上風
(和泉式部集~岩波文庫)

八月ばかり、人のもとに
音(おと)すれば訪(と)ふか訪(と)ふかと荻の葉に耳のみとまる秋の夕暮
(和泉式部続集~岩波文庫)

冷泉院みこの宮と申ける時、百首歌よみて奉りける中に 重之
荻の葉にふく秋風を忘れつゝ恋しき人のくるかとそ思ふ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

平かねきかやうやうかれかたになりにけれはつかはしける 中務
あき風のふくにつけてもとはぬかなおきのはならは音はしてまし
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

三条院みこの宮と申ける時、ひさしくとはせたまはさりけれは 安法々師女
世のつねの秋風ならは荻のはにそよとはかりの音はしてまし
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

白河院、鳥羽殿にて、前栽あはせせさせ給けるによめる 敦輔王
おきのはに事とふ人もなきものをくる秋ことにそよとこたふる
(詞花和歌集~国文学研究資料館HPより)

 田家暮風 藤原資隆朝臣
とふ人もなきわかやとの夕まくれ誰にこたふる荻のは風そ
(月詣和歌集~続群書類従14上)

とふひともなきやとからのさひしさをあきそとつくるをきのうはかせ
(新葉集~日文研HPより)

 荻をすなこしける扇にかきたるをある人の北の方歌つけてたふへきよしいひおこせたりけれはよめる
荻の葉の露うちはらふ秋風につらぬく玉をまくかとそみる
(出観集~群書類従15)

人のわづらひけるとぶらひにまかりて、昔思ひ出でらるることやありけん、荻の上風の渡るにしたがひて、ほろほろとこぼるる露に、涙も誘はれぬる心地して 風につれなきの太政大臣
秋風や昔をかけて誘ふらん荻の上葉の露も涙も
かく渡れるよし聞こえければ 冷泉院の一の宮
憂しとのみ思ひ果てにし秋風にそよめく荻の音ぞ悲しき
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

「此の頃袖の露けき」などいひたる人に
秋は猶思ふことなき荻の葉も末たわむまで露はおきけり
(和泉式部集~岩波文庫)

秋歌よみ侍ける 源重之女
秋はたゝ物をこそ思へ露かゝる荻のうへふく風につけても
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 後徳大寺左大臣
夕されは荻の葉むけを吹風にことそともなく涙おちけり
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

うゑすてて聞く人もなきふる郷のまがきにのこるをぎのうはかぜ
(光経集)