日本国語大辞典の「冬立つ」の最古用例は、源氏物語ですが、もっとさかのぼる用例があります。
ついでに「冬の空」「冬の波」「冬の日」の各用例も100年以上さかのぼる用例があるので、載せます。
けふけふとしもおきまさるふゆたゝばゝなうつろふとうらみにゆかむ
(『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、16ページ。〔仁和四年-寛平三年秋〕内裏菊合)
冬の空雲のあなたやいかならん雪の梢に春は来にけり
(『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、621ページ。41・御室五十首、藤原有家、冬七首、484)
志賀の浦や氷によどむ冬のなみのいくかをすぎてたちかへるらん
(『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、419ページ。197・千五百番歌合、87)
時雨れ行く雲まによはき冬の日のかげろひあへずくるゝ空哉
(岩佐美代子『風雅和歌集全註釈・上巻』笠間書院、2002年、513ページ。巻第八・冬、734、藤原為相)