monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 二月雪落衣(にがつのゆきころもにおつ)

2018年02月03日 | 日本古典文学-春

松根(しようこん)に倚(よ)つて腰(こし)を摩(す)れば
千年(せんねん)の翠(みどり)手(て)に満(み)てり
梅花(ばいくわ)を折(を)つて頭(かうべ)に挿(さしはさ)めば
二月(にぐゑつ)の雪(ゆき)衣(ころも)に落(お)つ
(和漢朗詠集~岩波・日本古典文学大系)

二月雪落衣といふことをよみ侍ける 康資王母
梅ちらす風も越てや吹つらむかほれる雪の袖にみたるゝ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

たをりつつかさせるうめのはなちりてたもとにさむききさらきのゆき
(嘉元百首~日文研HPより)

手折つつかさす袂に二月の雪とや梅の花はちるらん
(嘉吉三年二月十日前摂政家歌合~続群書類従15上)

松の木蔭に立ち寄れば、千歳のみどりぞ身に染(し)める、梅が枝かざしにさしつれば、春の雪こそ降りかかれ
(梁塵秘抄~岩波・日本古典文学大系)

あをきが 原の 波間より。
「 あらはれ出でし 神松の。 春なれや 殘んの 雪の 朝香潟。
「 玉藻 刈るなる 岸陰の。
「 松根によつて 腰をすれば。
「 千年の 緑 手に 滿てり。
「 梅花を 折つて 頭にさせば。
「 二月の 雪ころもに 落つ。
(謡曲・高砂~バージニア大学HPより)

シテ「あらありがたや候。や。花の香の聞え候。いかさま木の花散り方になり候ふな。
ワキ「おうこれなる籬の梅の花が。弱法師が袖に散りかゝるぞとよ。
シテ「憂たてやな難波津の春ならば。唯木の花とこそ仰あるべきに。今は春辺もなかばぞかし。梅花を折つて頭に挿しはさまざれども。二月の雪は衣に落つ。あら面白の花の匂やな。
(謡曲・弱法師)