(ゆきのうたのなかに) 津守国貴
けさは猶また霜かれとみゆるまて初雪うすき浅ちふの庭
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
庭のおもの真砂の上はみえわかで草ばにしろき今朝の初雪
(俊光集)
ふりかくすほとはつもらて松の葉のうす緑なる今朝の初雪
(後花園院御百首~続群書類従14下)
紅葉に雪のふりかゝりたるか桜ににたるをみて 弁乳母
神無月紅葉にふれる初雪はおりたかへたる花かとそみる
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
遠山初雪
久かたの空よりちりて又さくや雲まの嶺の雪の初花
(草根集~日文研HPより)
はなさきしあきにおとらすみゆるかなかれのかうへにふれるはつゆき
(右大臣家歌合_安元元年十月十日~日文研HPより)
めもはるにはなかとそみるしもかれのくさきもわかすふれるはつゆき
(永久百首~日文研HPより)
紅葉のちれりけるうへに初雪のふりかゝりて侍けるをみて、上東門院に侍ける女房につかはしける 藤原家経朝臣
山里は道もやみえす成ぬらん紅葉とゝもに雪のふりぬる
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
佐保姫の手たゆく染むる山の端に今朝しらくもの見ゆる初雪
(〔永承五年九月―天喜二年十一月〕冬_太宰大弐資通歌合~「平安朝歌合大成」2巻)
初雪の峰のまにまにふりぬればときはの山ぞ青末濃(あをすそご)なる
(元永元年十月十三日_内大臣忠通歌合~「平安朝歌合大成」3巻)
百首うたよませ給うけるに 順徳院御製
山川の氷もうすき水の面にむらむらつもる今朝の初雪
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
初雪は千重に降りしけ恋ひしくの多かる我れは見つつ偲はむ
(万葉集~バージニア大学HPより)
建保四年百首歌に 前大僧正慈鎮
初雪のふらはといひし人はこてむなしくはるゝ夕暮のそら
新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
策々窓戸前又聞新雪下といふ事を 前中納言定家
初雪の窓のくれ竹ふしなからをもるうはゝの程そきこゆる
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)
大和守にて侍けるとき、入道前太政大臣の許にて、初雪をみてよめる 藤原義忠朝臣
としをへて吉野の山にみなれたるめにめつらしきけさのしら雪
(詞花和歌集~国文学研究資料館HPより)
おもふ事侍けるころ、初雪ふり侍ける日 紫式部
ふれはかくうさのみまさる世をしらてあれたる庭につもる初雪
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
ひさしうまかりかよはすなりにけれは、十月はかりに雪のすこしふりたるあしたにいひ侍ける 右近
身をつめは哀とそおもふ初雪のふりぬることもたれにいはまし
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
かやうにてすぎもてゆきて。かみなづきにもなりぬ。いつしかとはつゆきふりわたり。れいにもにず。いとときことを人++けうじおぼすに。二ゐ中なごんどのより一でうのみやに
ふりがたくふりつるけさのはつゆきをみけたぬ人もあらせてしがな。とあれば
かへし命婦のめのと
きえかへりめづらしとみるゆきなればふりてもふりぬこゝちこそすれ。
(栄花物語~国文学研究資料館HPより)
○初雪見参事
(略)西京雑記云、太平之代、雪不封條、淩弭毒害而已、詩伝云、日上而下而雨雪、(雨音于具反)左伝、凡平地尺雪為大雪、文選謝恵連雪賦曰、盈尺則呈瑞於豊年、(略)
今之行事、初雪之日、遣蔵人於諸陣、取見参賜禄物、凡厥預見参所、大略如式、但諸陣官人以下、舎人以上、其禄有差、(官人絹参、長以下賜布、各有等差、)
(政事要略・第廿五~「史籍集覧 編外2」近藤出版部、1907年)
〔西宮記 十一月〕
初雪 初雪降者、依宣旨取諸陣見參給祿、延長三年正月十四日、今朝雪七寸、令内藏助仲連、以綿一千屯施給大内山御室道俗、以昨日寒今朝大雪也、應和元年十一月七日、今朝初雪、分遣殿上侍臣於諸陣、帶刀取見參、又男女房主殿掃部者同預例也、十日令給民部卿藤原朝臣去七日諸陣所々見參、仰以大藏綿令給祿、
(国文学研究資料館HPの古事類苑DBより)
〔公事根源 十月〕
初雪見參 昔初雪のふる日、群臣參内し侍るを初雪見參と申也、桓武天皇延曆十一年十一月よりはじまる、初雪にかぎらず深雪の時は、必諸陣見參をとるといへり、此事絶て久し、
〔助無智祕抄〕
初雪日 侍中アヲイロ、オリモノノサシヌキヲキテ、諸陣ヘムカヒテ見參ヲトルベシ、就中ニ帶刀ノ陣ニムカフ、藏人ヨウジンスベシ、アヲイロニアラズトモ、タヾビレイノ裝束ヲソクタイニテモキルベシ、
(国文学研究資料館HPの古事類苑DBより)
〔左經記〕
寬仁元年十二月七日辛未、白雪積地不及寸、早旦參攝政殿御宿所被仰云、可令取初雪見參、即差遣殿上五位六位等於左右近、左右衞門、左右兵衞、帶刀等陣、幷内侍所、主殿、掃部等、女官、主殿、内監所、御書所等、令取見參奏聞、{御書所衆等不候、仍不取見參、}
〔春記〕
長曆三年十一月十七日甲辰、有初雪、纔一寸許云々、未旦參御前、{未上御格子}奏初雪之由、即出御、仰云、早可令取見參者、即仰藏人少納言經成、差分侍臣、令取所々見參了、以藏人義綱令内覽之、令成内藏寮請奏、各可分依之由仰了、
(国文学研究資料館HPの古事類苑DBより)
(長和四年十一月)十四日、庚申。
卯から辰剋の頃から、雪が降った。初雪の見参簿を取った。後に退出した頃には、大雪であった。申剋の頃、晴気(せいき)が有った。庭に積もったのは、三寸ほどであった。(略)
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)
(長和五年十二月)八日、戊寅。
今朝、雪が降った。五寸ほど積もった。所々から見参簿(げんざんぼ)を取った。桂の山荘に行って、雪を見た。
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)
はつゆきにかきあつめてそきこえあくるおほみやひとのけさのありかす
(夫木抄~日文研HPより)