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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

はこどり(箱鳥)

2021年03月01日 | 日本古典文学-禽獣魚虫

 箱鳥(はこどり)
み山木によるはきて鳴はこどりのあけばかはらんことをこそおもへ
はるたてば野べにまづなくはこどりのめにもみえずてこゑのかなしき
とりかへす物にもがもやはこどりのあけてくやしき物をこそおもへ
(古今和歌六帖、第六帖~「和歌文学大系 古今和歌六帖・下」2020年、明治書院、314p)

桜花散りしは昨日青柳のはやまに今日ははこ鳥ぞなく
(寛弘年間_花山法皇歌合_雑載・5~「平安朝歌合大成 増補新訂 第二巻」同朋舎出版、1995年、744p)

はことりの-あけてののちは-なけくとも-ねくらなからの-こゑをきかはや 
(実方集(実方朝臣集)異同歌・00318 ~日文研HPより)

 同じ内侍、鳥の子を鏡の箱の蓋に入れて、はこどりとなむいふと聞(きこ)えたるが死(し)にければ、返しつかはすとて
はこどりの身をいたづらになしはててあかず悲しき物をこそ思へ
 御返し
雲の上(うへ)に思ひのぼれるはこどりの命(いのち)ばかりぞ短(みぢか)かりける
(斎宮女御集・178+179~「和歌文学大系52 三十六歌仙集二」明治書院、H24、120p)

太山木にねぐらさだむるはこどりもいかでかはなの色にあくべき
(源氏物語・若菜上~国文学研究資料館HPより)

ふたむらの-やまのはしらむ-しののめに-あけぬとつくる-はことりのこゑ 
(正治初度百首、太皇太后宮小侍従・02094~日文研HPより)

02611 家良 はるされは-ともまとはせる-はことりの-ふたかみやまに-あさなあさななく
02612 為家 よるはきて-あくるかなしき-はことりは-いつうらしまに-かよひそめけむ
02613 知家 よるはきて-あくれはかへる-はことりの-つらきならひに-ねをやなくらむ
02614 信実 なにことを-おもひいれてか-はことりの-あくるあさけの-ねをはなくらむ
02615 光俊 あけわたる-みむろのやまの-はことりは-ふたふたとこそ-とひあかるなれ
(新撰和歌六帖、第六:鳥~日文研HPより)