あまたたひたけのともしひかかけてそみよのほとけのなをはとなふる
かはたけのなひくはかせもとしくれてみよのほとけのみなをきくかな
(六百番歌合~日文研HPより)
つくりけるつみものこらしけふしはやみよのほとけのみなをとなへて
(亀山殿七百首~日文研HPより)
としのうちにつもれるつみもきえぬらむみよのほとけのみなをとなへて
(永久百首~日文研HPより)
ゆきのうちにほとけのみなをとなふれはきくひともみなつみそきえぬる
(正治初度百首~日文研HPより)
十二月佛名
夜を寒み風さへはらふ宿なれは残れる君かつみはあらしな
(源順集~群書類従14)
十二月仏名する所
つみとかはめにしみえねは降雪のきえむ朝をみるはかり也
(忠見集~群書類従15)
となへつる-みよのほとけの-ほかにまた-おほみやひとの-なのるへしやは
となへつる-みよのほとけも-きくやとて-おほみやひとの-なのるなりけり
(六百番歌合~日文研HPより)
仏名を読侍ける 前大納言為家
となへつる三世の仏をしるへにてをのれも名のる雲の上人
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
正治百首歌に 鴨長明
ふけぬれは三世の仏のかすならぬ大宮人の名をもきく哉
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
十二月十九日、佛名のよまゐりたりしに、月いとさえて面白し。職事ども、例の鬼の間にて、ふむはい、左右の頭中將まゐらす。つねとし・むねまさ・みつくになど、せちかゝりしたびにしるす。ちんこ(ん)のまつりはむねまさなどぞきこえし。「むかしは小袖あはせといふこと、こよひ有りける。」などかたる。上卿皇后宮權大夫、きゝもしらぬ佛の御名、ともになのりつゞくるこゑごゑ、まことに滅罪のやくもあるらむとおぼえて、辨内侍、
まことには誰も佛のかずなれやなのりつゞくる雲の上人
(弁内侍日記~群書類從)
となへこし三世の仏のいつれにか生れあひにし我か身ならまし
年くるる法の袖にやつつむらんかつくるわたのあつきめくみを
一念に三千仏をとなふれはわか身ひとつの名にこそ有りけれ
(草根集~日文研HPより)
かねもすみよもあけかたになりにけりみよのほとけのかすとなへつつ
(為尹千首~日文研HPより)
百首歌奉し時 入道前太政大臣
雲のうへにねまちの月は更にけり野臥の袖も霜結ふまて
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
仏名の菊の花を御覧してよませ給ける 冷泉院御製
秋ならて霜夜にみゆるきくの花時過にたる心ちこそすれ
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
仏名のあした、けつり花を御覧して 朱雀院御歌
時過て霜にかれにし花なれとけふは昔のこゝちこそすれ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
佛名のあしたにゆきのふりければ
としのうちにつみけつにはにふる雪はつとめてのちはつもらざらなん
(蜻蛉日記~バージニア大学HPより)
年もやうやく暮れ行くままに、仏の御名を唱へさせ給へるにも、と、思し出づる。年の急ぎの業(わざ)し給はんこともなければ、なかなか、御心も澄みわたりて、亡き魂(たま)をまつらせ給ひて、春を迎へさせ給へり。
(松陰中納言~「中世王朝物語全集16」笠間書院)
(長和五年十二月)二十日、庚寅。
内裏の御仏名会始があった。我が家の秋季読経も行なった。中宮に参った。三条院に遷御されるからである。亥剋に、中宮は御出された。人々は、饗宴に着した。遷御が終わった後に、内裏に参った。御仏名会を始めた後に、退出した。(略)
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)