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「花咲く」用例

2018年03月17日 | 日本国語大辞典-は行

 「花咲く」という用語は、日本国語大辞典・第2版では、『日葡辞書』(1603-04年)からの例が早いのですが、もっとさかのぼる用例が複数あります。

花咲きて実(み)はならねども長きけにおもほゆるかも山吹の花(巻十、1860)406ページ
見まくほりわが待ち恋ひし秋萩は枝も繁(しみ)みに花さきにけり(巻十、2124)428ページ
『新訂 新訓万葉集 上巻(岩波文庫)』佐佐木信綱編、岩波書店、1927年

桜をうへてありけるに、やうやく花咲ぬへき時に、かのうへける人身まかりにけれは、その花をみてよめる きのもちゆき 
花よりも/人こそあたに/成にけれ/いつれをさきに/こひんとかみし
(古今和歌集850~国文学研究資料館HPより)

みちとせに花さくもものめづらしくたがことづてぞわれにはあらじ
(4・古今和歌六帖、第五、人づて、2863)
『新編国歌大観2』角川書店、1984年、223ページ

中院に有りける紅梅の卸枝遣さむなど申しけるを又の年の二月計り花咲きたる卸枝に結附けて皇太后宮大夫俊成の許に遣し侍りける
昔よりちらさぬ宿のうめの花わくる心はいろに見ゆらむ
(千載和歌集~日文研HPより)

何方に花咲きぬらむと思ふより四方の山邊にちる心かな
(千載和歌集~日文研HPより)

やまふきの/花咲にけり/蛙なく/井手のさと人/いまやとはまし
(千載和歌集112~国文学研究資料館HPより)

花咲し/野辺のけしきも/霜枯ぬ/これにてそしる/旅の日数を
(千載和歌集510~国文学研究資料館HPより)

色も香もうつるばかりにこの春は花さく宿をかれずもあらなん
(梅枝、三)
『源氏物語3(日本古典文学全集14)』小学館、1990年、403ページ

病おもくなり侍りければ、三井寺へまかりて、京の房に植ゑおきて侍りける梅を、今は花(はな)咲(さ)きぬらん、見ばやといひ侍りければ、折りにつかはして見せければよめる
この世にはまたもあふまじ梅の花ちりぢりならん事ぞかなしき
(巻第十・雑下、361)
『詞花和歌集』(岩波文庫)松田武夫校訂、1939年、75ページ

まがふ色に花咲きぬればよしの山春は晴れせぬ嶺の白雲(30ページ)
山寒み花咲くべくもなかりけりあまりかねても尋ね来にけり(32ページ)
山吹の花咲く井手の里こそはやしうゐたりと思はざらなむ(173ページ)
『新訂山家集』(岩波文庫)佐佐木信綱校訂、1928年

むかしは宣旨をむかてよみければ、枯たる草木(そうもく)も花(はな)さきみなり、悪鬼悪神も隨ひけり。
(巻第八、鼓判官)
『平家物語・下(日本古典文学大系33)』岩波書店、1960年、154ページ


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