monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

名所紅葉

2012年09月18日 | 日本古典文学-和歌-秋

竜田川もみぢ葉ながる神奈備のみむろの山に時雨ふるらし(古今和歌集)

竜田川もみぢみだれて流るめりわたらば錦なかや絶えなむ(古今和歌集)

もみぢ葉のうつろふころは竜田川にしきをあらふ波かとぞ見る(延文百首)

かねてよりうつろひそめしもみぢ葉の散るをもいそぐ神奈備の杜(続拾遺和歌集)

おほゐがは山のもみぢをうつしもてからくれなゐの波ぞ立ちける(風雅和歌集)

大井河水のながれも見えぬまで散るもみぢ葉のうかぶ今日かな(新拾遺和歌集)

大井河うかぶ紅葉のにしきをば波の心にまかせてぞたつ(新勅撰和歌集)

大井河もみぢを分(わ)くる筏士(いかだし)は棹(さを)ににしきをかけてこそ見れ(金葉和歌集)

秋ふかき八十宇治川のはやき瀬に紅葉ぞくだるあけのそほ舟(玉葉和歌集)

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初紅葉

2012年09月17日 | 日本古典文学-和歌-秋

置く露や染めはじむらむ秋山の時雨もまたぬ峰のもみぢ葉(続拾遺和歌集)

はつしほはこころと染めてうす紅葉(もみぢ)ふかき色をば時雨にや待つ(延文百首)

しぐれ待つちしほの色はおそけれど山はいつしかうすもみぢせり(新撰和歌六帖)

山もいまだしぐれぬさきのうす紅葉(もみぢ)染むるや雁のなみだなるらむ(建長八年百首歌合)

しぐれする外山(とやま)が裾のうすもみぢ今いくしほか染めむとすらむ(正治二年初度百首)

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秋の山

2012年09月16日 | 日本古典文学-和歌-秋

春日山松の嵐にこゑそへて鹿もちとせの秋と告ぐなり(文治六年女御入内御屏風和歌)

菊に染めもみぢにつけて山姫のふたつの色を誰ゆるすらむ(夫木抄)

かりがねの声きこゆなり秋霧のたなびく山はもみぢしぬらし(万代集)

秋霧の山べも見えず立ちぬればもみぢのにしき甲斐(かひ)やなからむ(丹後守公基朝臣歌合)

露時雨もる山かげの下紅葉(したもみぢ)濡るとも折らむ秋のかたみに(新古今和歌集)

秋萩のうつろふ惜(を)しと鳴く鹿の声きく山は紅葉しにけり(新勅撰和歌集)

小倉山もみぢ吹きおろす木枯らしにまたさそはるるさをしかの声(新拾遺和歌集)

さびしさは深山(みやま)の秋の朝ぐもり霧にしをるる槙(まき)のした露(新古今和歌集)

下紅葉(したもみぢ)かつちる山の夕時雨ぬれてやひとり鹿のなくらむ(新古今和歌集)

山颪(やまおろし)に鹿の音(ね)たかくきこゆなり尾のへの月にさ夜やふけぬる(新古今和歌集)

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秋の旅、秋の旅宿

2012年09月13日 | 日本古典文学-和歌-秋

草枕旅ゆく人も行き触ればにほひぬべくも咲ける萩かも(万葉集)

秋ふかく旅ゆく人のたむけには紅葉(もみぢ)にまさる幣(ぬさ)なかりけり(後撰和歌集)

すがるなく秋の萩原朝たちて旅ゆく人をいつとか待たむ(古今和歌集)

あづまぢの野路(のぢ)の草葉の露をしげみ行くもとまるも袖ぞしをるる(新勅撰和歌集)

夕されば身にしむ野べの秋風にひとりや草のまくらむすばむ(続後拾遺和歌集)

さもこそは都恋しき旅ならめ鹿の音(ね)にさへ濡るる袖かな(金葉和歌集)

草枕かりがねの音(ね)に夢さめてつゆけさまさる旅衣(たびごろも)かな(為忠家初度百首)

月にゆく佐野のわたりの秋の夜は宿ありとてもとまりやはせむ(新後撰和歌集)

月を見てとまりはせじと漕ぎゆけばしらぬ波路に夜ぞ明けにける(新後拾遺和歌集)

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平清経を植物にたとえると

2012年09月05日 | 日本古典文学

 「平家花ぞろへ」より、平清経を植物にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」横山重・松本隆信編、角川書店、1984年)
 平清経は、清盛の孫で、横笛の名手として知られる人物です。

 この上達(かみたち)のやうに、藤、さくらなどの匂ひおほきかたはなけれど、そこはかとなくあざやかになまめかしく、人のこころめづべきさまぞし給へる。向腹(むかへばら)にて、またことにもてなさるる世のおぼえもことならむかし。
 長月のはじめつかた、虫の音(ね)やうやう鳴きからし、草むらの露、ことさら白く見えて、肌寒き風うち吹きたるほど、尾花の穂に出(い)で、折れ返りなびくけしき、ちぐさの花の中にもなほ目とまるなどぞ申したく侍る。
  うちなびく尾花が末の気色(けしき)にはたれか心をとどめざらまし

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