亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

トランプ・リスクの範囲外で下げる原油

2016年11月04日 19時14分08秒 | 金融市場の話題

FOMC(連邦公開市場委員会)は大方の予想通り何も変化なく通過。12月の利上げは“ほのめかし”で終わったのは、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが事前に予想していたとおりだった。利上げのタイミングを具体的に示すと次回以降もそうすると市場が見込む可能性があり、それはFRBが自らの手を縛ることになるため避けるのではということだった。もっとも、今回に関しては、大統領選の結果如何では状況が大きく変化する可能性があり、なおさらということだろう。

金市場に話を移すと2日は、1300ドル突破でテクニカル要因からショート・カバーと新規買い(フレッシュ・ロング)に弾みがつくことになったとみられる。それに対し3日の市場は、日本時間の今夜発表の10月の米雇用統計がまずまずの結果となることを先読みし、益出しの動きを強めたものとみられた。したがって予想通りの数字は織り込み済みで、むしろ下振れに反応しやすい地合いと言えるのではないか。いずれにしてもFOMCは金市場には益出しの口実程度に終わった。

“トランプ・リスク”の予想外の高まりに、にわかにリスク・オフ的な市場環境が到来しているが、波乱なく通過となると売られたものは反動高に、買われたものは反落ということになる。ところが足元の原油の下落は、こちらは希望的観測で膨らんでいた産油国間の合意成立という“絵にかいた餅”が、まさに絵であって食べられない現実が表面化していることによる。9月30日のここで、「OPEC非公式会合での合意?・・・何を?」と題して書いたが、やはりな・・という感じだ。仮に現状から多少の減産を合意したとしても、その“現状(生産量)”が当初この話が持ち上がった時に比べ膨らんでおり、産油国それぞれがシェアをできるだけ確保しておいて上限を設けようということのようだ。米シェール業界も、ここまで価格の戻りに応じて生産量を増やしており、技術革新も進み地域や企業間格差はあるもののコストも下がっているとみられる。

さて約2時間後に雇用統計の発表です。イベントが多かった今週締め。

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