亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金1750割れを狙うファンド(CTA)

2021年06月30日 21時01分36秒 | 金市場
先週末は目立った動きのなかったNY金だが、6月29日のNY通常取引に入ってから、少しまとまった売りに、前々週のFOMC以降のレンジの下限を下回ることになった。安値は1750.10ドルまで見て、清算値(終値)は17.10ドル安の1763.60ドルと、目立って売られることになった。週末の雇用統計を控えこのところ債券相場は動意薄でこの日も目立った変化なく節目の1.5%割れの状態で金市場への影響はなし。ユーロがFOMC後のように4月中旬以来2か月半ぶりの水準に売られた関係でドル指数が上昇。しかし、92ポイントを少し超えたくらいで、NY金に1750ドル割れを試させるような動きでもない。

月末、四半期末のポジション調整といえばそうかもしれないが、思えば本日は2日の労働省発表の雇用統計の前哨戦とでも言うべき、ADP全米雇用報告の発表が予定されている。前回は市場予想に対し大きく上振れし、NY金は40ドル近く売られ1900ドル割れに至った経緯がある。今回、民間部門雇用者数の伸びが60万人と、前月の97万8000人から鈍化する予想となっている。ただし、29日のNY金の動きから類推するに、今回も上振れを読んだものか、ないしは、労働省発表の6月の(非農業部門)雇用者増加数が強めの数字となることを想定し、早目に売り込む動きがあったのかもしれない。柳の下にまたドジョウがいるのや否や。

あるいは、この日発表された住宅指標が前年比で強烈に上がったというのもあった。こちは、今に始まったわけではないが、やはり過熱を思わせる。発表されたS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比14.6%の上昇と、2005年9月を上回り、42年ぶりの伸び率を記録した。1987年の統計公表以来、最大の伸びとされる。FRB関係者の中で、住宅価格の過熱を指摘する声も高まっており、現在の量的緩和策毎月1200憶ドルのうち400億ドルを占めるMBS(住宅ローン担保証券)の買い入れは早期に取りやめにという声が地区連銀総裁の間で出ている。つまり、このデータも昨日の売りの材料にされた可能性がある。

先週末にCFTC(米商品先物市場委員会)が発表したデータでは、ファンドは、買い建て(ロング)を大きく減らし、売り建て(ショート)が漸増という結果となっていた。おそらくこの日の売りは短期の値下がり狙いのショート(空売り)と思われ、心理的な節目1750ドル割れを狙ったものと思われる。まずは、いずれにしても、間もなく発表されるADP全米雇用報告がどうなるか。まずは、見ましょ。。。



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