基本的にリスク‐オフの流れが続いている。昨日は、そこにJPモルガン・チェースのデリバティブ取引による20億ドルの評価損の表面化という新たな変数が登場した。もともとヘッジ目的の取引とされるが、これから取引解消を進める過程で損失がさらに10億㌦程度膨らむとの見通しも発表されていた。年始からNY市場では金融株の戻りも株高を支えてきたが、降って湧いたような損失話の表面化は、どこの銀行にも同じような話があっても不思議はなく、疑心暗鬼を生み金融株は上がりにくくなりそうだ。
この話を受けたこともあり、NY時間外となるロンドンの取引時間帯に入るアジアの時間帯から商品市場全般に売りが見られた。この中で金も一時1570ドル台に突っ込むことになった。下げ渋っていたプラチナは、結局下げ幅を拡大し1460ドル台に沈み、金との価格差も100ドル超に広がっている。
ところで、今回のギリシャの選挙は、その結果が金融市場の波乱要因になったが、選挙結果に表れる「民意」とは何か?ということも考えさせられた。「民意」を選挙を通じた国民の意思と解釈するならば、選ばれた政党は当然ながら民意の代弁者となる。今回第2党に躍進した急進左派連合は、連立内閣樹立に失敗したが緊縮策見直しが「社会に広く受け入れた」としていた。ただし前政権が取り決め、金融支援の交換条件となっている緊縮財政策を反故にすることは、支援が得られず財政破たんにつながる可能性のある行動でもある。すでにギリシャのユーロ圏離脱を指摘するレポートも出回り始めている。ところが、ギリシャ国内メディアの調査では国民の80%がユーロ圏に残ることを希望しているとされる。結局、急進左派躍進は、民意ではあるが、その民意は新たに議席を伸ばした政党が目指す(結果的に)ユーロ圏離脱もありという方針まで飲み込んだものではなく、その辺りの意識を巡る食い違いを感じさせるものとなった。
民主主義に基づき正当な選挙による選択だが、それ自体が逆に波乱をもたらすという皮肉。「民主主義のリスク」という感じだ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M3P5866KLVR401.html
借金はいつか返さねばならない、それが資本主義の原理。
今問われているのは民主主義のリスクではなく資本主義の在りかたの様な気がする。