注目の6月FOMC議事要旨はタカ派色の強いものとなった。
それを受け通常取引終了の時間外取引に入っていたNY金は下値を探る展開となった。
朝方は(9時半ころ)一時1942.90ドルまで買われ、これがこの日の高値となった。NY時間外のアジアと欧州時間に発表された中国と欧州の経済指標の悪化を受け、世界景気の先行き不透明感が強まり債券買いを誘い米長期金利は低下、金市場では買いが先行した。ちょうどこのタイミングで(日本取引所傘下の)大阪取引所の金先物価格も8962円と取引時間中の過去最高値を更新した。
中国メディアの財新と米S&Pグローバルが5日発表した中国の6月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比3.2ポイント低下の53.9だった。
一方、欧州ではユーロ圏の6月のPMI改定値が速報値から下方修正された。ユーロ圏総合PMI(改定値)は49.9と、拡大と後退の境目となる50を下回り、半年ぶりの低水準となった。欧州中央銀行(ECB)はインフレ抑制を掲げ利上げ継続の意向を強く示しており、景況感が一段と悪化するとの懸念を高めた。 ただし通常取引引け後にFOMC議事要旨の公表を控えて、終盤は様子見モードで前営業日の終値近辺に収れんし前営業日比2.40ドル安の1927.10ドルで終了となった。
午後に入り14時に注目の議事要旨が発表された。6月の会合は11会合ぶりに政策金利の据え置きを決め、最終的な投票は全員一致だった。しかし、「この会合で政策金利を0.25%引き上げることを支持したり、そうした提案に賛同したかもしれないと話したりした参加者が何人かいた」と複数の参加者が利上げの継続を支持していたことが明らかになった。
労働市場で深刻な人手不足が続いている点や、経済活動が想定していたよりも強かった点を理由に挙げ、「物価上昇率が目標である2%に落ち着く明確な兆候はほとんどない」とした。ほぼすべての参加者が「2023年中に追加で利上げをすることが適切になる」と判断しているとした。
議事要旨という点では過去のものではあるが、内容的には今月25~26日に開かれるFOMCでの利上げを示唆したものともいえそうだ。
もちろん明日7日に発表される6月の米雇用統計や来週12日の6月の米消費者物価指数(CPI)の内容次第では、修正は十分に考えられるものの、利上方針を示す(フォワードガイダンス的)意図を感じさせる議事要旨となった。
総じてタカ派的な内容を受け、米10年債利回り(長期金利)は一時3.948%と3月9日以来4カ月ぶりの高水準に上昇。時間外取引に入っていたNY金は1922.70ドルとほぼ安値引けで取引を終了した。
それでも市場環境を考えるなら、この水準を維持したことは、底堅さを感じさせるものといえる。