亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金4日以降7連騰104.60ドル高  

2021年11月14日 20時13分05秒 | 金市場

前週末11月12日のNY市場の金価格は7営業日続伸。NYコメックスの通常取引は前日比4.6ドル高の1868.50ドルで取引を終了した。発表された11月の消費者信頼感指数(速報値)が2011年11月以来の低水準まで落ち込み、前日まで堅調に推移していたドルが弱含み、金市場は買いが入りやすかった。また、同じ指標で1年先の予想インフレ率が4.9%と、2008年夏以来13年ぶりの高さになったこともインフレ対応を意識した買いを誘った。

この日の終値1868.50ドルは6月11日以来の高値水準となる。前日まで6連騰となっていたことから利益確定と高値警戒から売りが出やすく、実際に12日のNY時間外のアジアからロンドン午前の時間帯を通し売り優勢の流れとなり、水準を切り下げながら相場は進行した。 NYの早朝には1850ドルを割り込み1847.50ドルまで安値を見ていた。

この水準では押し目買いが入り反転し、NYの通常取引に入って以降それまでの下げ幅を埋める形で相場は進行した。現地10時に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数を受け、プラス圏に浮上。その後は1870ドル手前の水準を横ばいで推移し、そのまま終了となった。高値は通常取引終了後の時間外でつけた1871.40ドルだったが、終値、取引時間中ともに、このところの高値を更新して終了。週間ベースでは51.70ドル、2.85%の上昇となった。結局、11月4日以降の7営業日で104.60ドル、5.9%の上昇となるだけに、言うまでもなく利益確定を含め今週は売りが出やすいだろう。

注目されたミシガン大学消費者信頼感指数11月速報値は、市場予想の72.4を大幅に下回る66.8となった。10月の確報値は71.7だった。10年ぶりの低水準となるが、インフレ高進の持続が消費者心理に影響を与えている。

ミシガン大学調査部門担当者は「4人に1人の消費者がインフレによる生活水準の低下を指摘しており、低所得者と高齢者が最も大きな影響を受けている」としている。また「インフレ高進による打撃を軽減する効果的な政策が依然実施されていないという考えが消費者の間で広がっている」とした。

1年後に議会選挙(中間選挙)を控え、バイデン政権もアフガニスタンからの米軍撤退に際しての見通しの甘さなどから支持率を落としていることもあり、世論には神経質になっている。この点で今回のミシガン大学の調査結果は政治の動きにも影響を与えそうだ。

今月初めのバージニア州知事選挙で民主党候補が敗退したことに危機感を抱いた政権は、下院民主党が急遽インフラ法案(1兆ドル規模)を可決、今週、バイデン大統領の署名を経て成立する。成果を大々的にアピールするとみられる。このところのガソリン価格の高騰など消費者の不満の強い状況にも、政府の原油戦略備蓄の放出を検討中とされる。やったとして効果は一時的か・・・。もうひとつの看板政策、子育て支援や気候変動対策に1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案は、民主党内の折衝に時間を要しているが、こちらも早急に形にしようとするのだろう。12月に入れば、連邦債務の上限に関連し財政運営上の難題も控えており、与野党の攻防という政治リスクの高まりも予想できる状況にある。

さらに消費者マインドの低下は、個人消費への影響も懸念される要因となる。16日(火)には米10月の小売売上高の発表が予定されており、その影響を見る。

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