亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、戻り高値更新へファンドの買い加速

2021年11月16日 20時07分54秒 | 金市場

7連騰明け15日のNY金は、さすがに上値は重く結局小幅安で8営業日続伸とは行かなかった。NYコメックスの通常取引は前週末比1.90ドル安の1866.60ドルで終了した。それでも米長期金利が急伸し、ドル指数(DXY)が昨年7月以来16か月ぶりの高値となる中で、よく値を保った印象が強く残った。

さすがにほぼ105ドルの上昇の後だけに、週明け15日の金市場はアジアのスタート時から売りが先行しマイナス圏で推移。このところファンドが買い建て(ロング)を積み増していたことから、利益確定の売りが出るのは、市場でのルーティーン的な動きといえるもの。午前の段階で1860ドル割れの1858.50ドルまで売られた。結局この価格がその後のロンドン、NYの時間帯を通しての安値ということに。ロンドン午前からNY時間を通しては、1860ドル台半ばを中心とした狭いレンジの取引を繰り返し、そのまま終了となった。それでもNYの通常取引入り後に1873.00ドルまで買われ、取引時間中の戻り高値を更新したのは注目に値する。

先に触れたように15日は米長期金利の上昇が目立った。米10年債利回り(長期金利)が前週末終値(1.56%)から1.63%近辺と10月27日以来約3週間ぶり水準まで急伸。終値でも1.618%となった。しかし、長期金利を押し上げた手掛かりとなる目立った材料は特になかった。

遅ればせながら先週のCPI(消費者物価指数)の加速に反応したものなのか?先週の30年債入札が軟調に終わったことから、今週17日に予定されている230億ドルの20年債の入札に対する警戒感の表れとの指摘があった。しばらく発行されていなかった20年債は、他と比べて需要が低い傾向が続いているとされる。

長期金利の上昇に刺激されたこともあろうが、この日はドル高も金の上値を抑えた。主要中銀間での正常化に向けた進展の違いに加えインフレ高進による景気への懸念もありドルが買われる傾向が続いている。

この日ドル指数(DXY)は2020年7月以来の高値となる95.60まで上昇した。ドル指数を構成する主要通貨の中で下げが目立つのがユーロで、16カ月ぶりの安値となる1.1357ドルまで売られた。つまりユーロ安が、そのままドル指数を押し上げている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁がこの日、インフレ抑制のために現時点で金融引き締めを行えば、ユーロ圏経済の回復が頓挫すると述べたことがユーロ売りにつながったとされる。寄り合い所帯の運営は難しい。

いずれにしても、米長期金利高、ドル高の中で利益確定売りが出たにも関わらず、小幅安に収まった金の動きは、この高値水準でも買いの勢いが続いていることを表すといえた。

実際に発表が遅れていた米商品先物取引委員会(CFTC)のデータが週明けに明らかになり、11月9日までの1週間で、NY金先物市場のファンドのポジション(持ち高)は、ネットの買い建て(ロング)が重量換算109トンもの増加(オプション取引を除く)となっていたことが判明した。これでロングの増加も6週連続となった。11月5日のラジオNIKKEI「マーケット・プレス(前場)」にてインフレ対応のファンドのロング積み増しの話をしたが、週明けのデータは、それが加速していることを表す。

ちなみに昨日は、「よみがえるインフレの金」と題してYouTubeの収録をしたが、音声のみPodcast版を先行して今夕公開している。

以下のサムネイルをクリックするとポッドキャストに

 

 

 

 

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