週明けは、アジア時間に発表された8月の中国の工業部門企業利益が前年同月比で8.8%減少と、2011年に中国国家統計局が調査を開始して以来、最大の落ち込みとなったことから始まった。これが、資源を中心にコモディティ市場のみならず株など金融市場全体にリスク・オフ気運を広める伏線となった。そこにスイス大手資源商社グレンコアの財務内容に関する懸念が急浮上。同社株が30%近く暴落し、市場の警戒感をさらに高めた。
グレンコアは300億ドル(約3兆6000億円)の債務を抱えるとされ、その圧縮を迫られているが、中国の景気減速による原材料需要の悪化と価格低迷が背景とされる。資源がらみは中国の影が付きまとう。これも中国バブル崩壊の一形態といえよう。というのも、10%以上の超高速で突っ走っていた(これがバブル)中国の姿に対応しようと、設備投資や人員配置をしてた企業が、本体の急減速というか“正常化”いわゆるニューノーマルという環境激変に振り回されている構図があるように見える。
それにしてもコモディティ価格の下落が目立つ環境は、需要不足を映しており、デフレ環境の印象が強く、その中で果たして(金融当局としてやりたいのは理解できるが)利上げしていいものやらと思ってしまう。
28日のダドリー総裁の発言内容は、先週のイエレンFRB議長の年内利上げ意向を追認というか確認するようなものだった。同総裁の前回8月末の発言は、9月利上げ回避見通しという市場観測を誘導したようにも見えたことから、FOMCコアメンバーの広報担当のような印象強く、それゆえ注目とした。同総裁は、10月利上げは情報収集の時間不足で難しいという指摘に対し、それは誤りだろうというニュアンスで10月引き上げ(lift-off)も排除せずというスタンスを示した。
ただし、同総裁にしても「状況次第」ということを加えるのはイエレン議長と同じ。いずれにしても、FOMCのコアメンバーは利上げを指向しているのは間違いない。問題は上げられるか否か。さらに持続的に上げられるか否かだが、足元の環境下では、「来年半ばまで利上げが正当化される可能性は低い(シカゴ連銀エバンス総裁、28日の講演、投票権あり)」という意見も当然あるわけでFRB内部も割れている。